【参考動画あり】はじめしゃちょーの動画を紐解いてみた 後編
この記事は前回の続きです。前編はこちらから。
この記事はこちらの動画を元にyoutuberのはじめしゃちょーを解説しております。
さて、前回の続きから早速書いていく。
いよいよクラッカーの登場だ。
ここから紹介していきたいのは
構成力。
この動画(4:55)の中でタイトルの「大量のクラッカーを全方向に発射できる方法」という内容の映像はラスト1分間だけなのだ。
では一体、後の4分間は主に何をしているのか。
冒頭挨拶→企画説明→電動ドリルの紹介→クラッカーの紹介→とりあえず軽くやってみる→失敗→再度とりあえず軽くやってみる→成功→本番のための準備に取り掛かる→いよいよ本番
といったように動画のほとんどが「準備と失敗」なのだ。
映画や小説の構成によく似ている。
内容は”本当にくだらない”ものだがその中に「失敗」を入れる事でそのくだらなさをもっと強調させているのだ。何故なら、こんなにくだらない企画は「失敗」してまでやるような事ではないから。
そして何より、彼本人ですら本当に成功するかどうかやってみないとわからないのである。それがリアルでおもしろい空気を醸し出している。
"youtuberあるある"のひとつとして、
「企画倒れだがそれすらもエンタメと捉えて配信する」
という価値観がある。それはTVでは基本的にNGであり、そもそもそんなものを人様に見せるなんて今までありえなかったのだ。しかし、youtuberたちは違う。彼らはTVタレントや企画制作会社とは違い、企画、撮影、出演、編集、宣伝を基本的にすべて本人が受け持っている。動画の内容がグダグダであろうがなんだろうが、とにかく「毎日更新」を続けなければいけないのだ。
その為、今回取り上げているような「実験系」とされる動画の中には結構な頻度で「失敗」が繰り広げられていたりする。(例↓)
ちなみに"youtuberあるある"をもうひとつ。
ドッキリ企画グダグダになりがち。
そんな「失敗動画」たちに出会った時、ぼくは"鼻で笑って忘れて"いきます。きっと世のファンたちもだいたいの事は"鼻で笑って忘れて"いるのでしょう。勝手に動画を撮って勝手に配信しているものに対して「こんなもの見るに値しない」と目くじら立てているような時代じゃないのかも。また、そんな愛すべき失敗動画たちをフックとして見続ける事により今回のような成功動画が際立つのだ。
話を戻します。
そんな失敗の連続の中、配信された「電動ドリルクラッカー」。ぼくが前回の記事で「度肝を抜かれた」と書いた最大の理由は
「今回は成功するんじゃね?」
という期待感が動画全編を通して漂っている事。そして、そんなリスナーのドキドキワクワクをリアルタイムで撮影している彼本人も味わっているという事。
もう一度動画のタイトルを確認しよう。「大量のクラッカーを全方向に発射できる方法」
こんなにも"くだらない事"に必死になって取り組んでいる彼をみながら「成功」を期待してドキドキワクワクしているのだ。
だんだん解ってきてもらえただろうか。「いかにくだらない事」で「本気」になれるか。このギャップこそが"はじめしゃちょー"のそして"youtuber"の魅力なのである。
そしていよいよ本番シーン。
この溜まりに溜まったドキドキが文字通り「爆発」するのだ。本当にこの企画はよくできている。電動ドリルの回転スピードが上がるとともにクラッカーは円を描き、期待が膨れ上がるように電動ドリルの回転音が上昇していく。その回転スピードがMAXに達した時、クラッカーが飛び散る。その瞬間ENDムービーにカットチェンジ。
センス抜群の天才的な編集である。
映画"セッション"の演出に似た技法だ。
はじめしゃちょーの動画にはENDムービーの後におまけ映像が入る事が時々あり、今回の動画にも挿入されている。そのおまけ映像の中では驚きながらあたりを見渡すはじめしゃちょー。床に落ちた"不発のクラッカーの束"を持ち上げ手動で発射する。結局この実験は成功したのか失敗したのかわからない。そこにあえて言葉を入れない。完璧なオチがついて動画は終わる。
そこにも彼のセンスを感じる。「大成功~~~!!!」や「結局失敗。。。」のような"本当の意味でくだらない"無駄な言葉は必要ないのだ。「ただ呆然としている。」それがベストの演出なのだ。
まとめ
どうしても前編後編にわけてまで書きたかったこの「電動ドリルクラッカー」。それは単純にもっと多くの人にこの「くだらなおもしろい」を共感してもらいたかったからなのだとこの記事を書き終わって気がついた。
「はじめしゃちょー=王道のyoutuber」と前回の記事で書いたのは世のyoutuberたちにとって"はじめしゃちょー"の企画、構成、撮影、編集、出演どの要素をとってもきっと真似をしたくなるものだから。そして逆に、真似をせずにどこまでのクオリティーの動画を作る事ができるのか?というひとつの基準になっているから。彼は更地であった"youtube業界"にひとつの基準を作ったのだ。だからこそ「王道」と言える。
まだまだ始まったばかりのyoutube業界は今もなお進化を続けている。トップを走る"はじめしゃちょー"もまた進化し続けてはいるもののニューカマーたちが押し寄せてくる中で、新たな挑戦を試みている。
次にこの「基準」を塗り替えるのは一体どんなyoutuberなのだろう。はたまたはじめしゃちょー本人が塗り替えてくれるかもしれない。
そんな事を考えながら、今日もぼくは「どうしようもなくくだらない動画」たちを見て鼻で笑って忘れていくのである。
追記:前編後編あわせてまとめるのに6時間かかりました。
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