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合宿の夜、僕たちは夜道を歩いた

今日は部活の合宿最終日、みんな練習では疲れたなどといっても、仲のいいグループで集まったり、夜な夜な語り合ったりしている。

自分の部屋にも何人か集まってきて、あんまり休めないなと思いつつ、周りには「飲み物でも買ってきます。」といい部屋を出る。
こんな時間なら誰もいないだろうと思い、ロビーへと向かう。

スマホをロビーでいじっていると、お風呂から上がってきた君がそこにいた。
「合宿最終日なのに、なに1人でやってるんだー!」と言われたものの、日常では絶対に見ることのできない、お風呂上がりで濡れた髪の先輩に見とれて、返事をするのも忘れてしまった。
「聞いてるの?」と迫ってきたのにびっくりし、「さ、さっきまで部屋で遊んでたんですけど、疲れちゃったのでちょっと休憩中です。」と言葉に詰まりながら正直に答えた。

そんな時、「そうか。ねぇ、アイス食べたいから一緒に買いに行かない?」
と先輩から誘ってきた。

その言葉に裏の意味なんてないのはわかっていながらも、心の中でガッツポーズした。

夏の夜でも乾ききってないその濡れた髪を後ろから見つめつつ、先輩の少し後ろをついていった。

コンビニに着き、「アイス何にする?」と聞かれるが、「僕は飲み物買ってきます。」と言って、その場を離れた。2人とも会計を済ませ、店を出た。

「本当はね、私も少し疲れちゃって、1人でお風呂入りに行ったんだー。君にあんな偉そうな言い方してたのにね。笑」と無邪気な笑顔も、濡れた髪と月明かりのせいなのか、いつもより艶めかしい。

先輩はパピコを半分こしてくれた。「もう少し私のわがままに付き合ってくれる?」と、コンビニの袋からチラッと見せてきたのは、手持ち花火のつめ合わせを見せてきた。

近くの浜辺まで2人で歩き、浜辺に着くとともに、花火の準備を始めた。それから花火を楽しみ、最後は横に並んで線香花火をして終えた。

線香花火が消えるのと同じくして、この時間も終わるのかと思うと、切なくて、胸をキュッと締め付けられた。

隣にいる先輩が、「平成最後の夏に君と花火ができてよかったよ!」と言ってきたと同時に線香花火が落ちた。

少し前を歩く先輩のシャンプーの香りに包まれながら、後ろ髪を引かれる思いで、帰っていった。

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