牧 兼充

日本のスター・サイエンティスト

はじめに

私の研究分野は、「科学技術とアントレプレナーシップ」という経営学や経済学などを合わせた複合領域です。とは言え、この研究分野がどういう分野かというのはなかなか分かりづらいので、「スター・サイエンティスト仮説」という一連の研究を交えながらご説明します。 

私は経営学者ですので、研究において交流の多いサイエンティストからすると遠い分野と思われがちなのですが、私の研究対象自体が「サイエンティ

もっとみる

アントレプレナーシップとは何か?

「アントレプレナーシップ」という言葉は、最近すっかり頻繁に使われるようになりましたが、Buzz Word (もっともらしいけど定義が曖昧な言葉)的に使われることが多々あります。

「アントレプレナーシップ」という言葉の定義

まず「アントレプレナー」という言葉はどういう定義なのかを探って行きましょう。この言葉もともとは、フランス語で「業を起こす人(企業家)」という意味の言葉が、英語に転用されるよう

もっとみる

「実証論文」の効率の良い、手を抜いた読み方

今回の授業では、「実証論文」を毎週のように学生に読んでもらう訳ですが、博士課程の学生ならまだしも、実務家として修士課程に来ている学生はとても高いハードルです。なので、いくつか「実証論文」の読み方のテクニックを伝授しています。ちょっと小難しい話になりますが、今回でこういった前置きは最後ですので、どうかお付き合い下さい。今の段階ではこれらのキーワードだけ頭に入れておいていただければ十分です。今後具体的

もっとみる

「科学的手法」という言葉に騙されないために (2)

今回は前回に引き続いて、「科学的手法」という言葉に騙されないために必要となる基礎知識を解説します。さて前回の最後に以下のような例題を出しました。

STE Inc.は、カリフォルアニア州にある会社です。社内の研究所には300人以上のサイエンティストが働いています。この会社に新しいCEOが雇われました。これからの経営計画を立てるために、CEOはコンサルタントを雇い、なぜ社内でサイエンティストには業績

もっとみる

「科学的手法」という言葉に騙されないために (1)

この連載では、「科学技術とアントレプレナーシップ」分野における先端的な経済学や経営学の論文のご紹介を行っていきます。それぞれの分野で私が面白いと考える論文を毎回3本程度、取り上げます。

社会科学の論文には大きく分けて、「理論系論文」と「実証系論文」の二種類があります。「理論系」というのは、数理モデルだったり、既存の研究の積み重ねだったりに基づいて、演繹的に理論を構築していく類の論文です。ゲーム理

もっとみる

「科学技術政策」と「アントレプレナーシップ」を融合させる!

私は現在政策研究大学院大学において、「科学技術とアントレプレナーシップ」という授業を担当しています。この授業は、「科学技術政策」と呼ばれる公共政策の一分野と、新しい産業を生み出していく「アントレプレナーシップ」という経営学の一分野を融合させたものです。この二つの研究分野は全く別のディシプリン(体系)を持っている分野ですので、実はこの二つの両方を研究している人というのはあまり多くはないのです。しかし

もっとみる