オプション初心者に有用と思われる覚えておきたいたった5つの原則

オプション取引にはさまざまなスタイルがありますからここに書かれていることが絶対ではありません。私が考える、手始めの戦略としてリスクが小さく、取り組みやすい始め方として良いと思われるものを挙げています。


1. 投資スタンスとトレードの時間軸を決めておく

個別株と同じことですが時間軸(スキャルピング、デイ、スイング、中長期)は決めておくほうが急な予想外の値動きに慌てずに済みます。(オプションは限月がありますのでせいぜい長くて期先(2ヶ月)が限度と思います。
もう一つ個別株にないものとして、期中の売り買いによる売買益(個別株や先物と同様)を狙うのか、SQ持ち込み(権利行使・権利放棄)にて利益を狙うのかはポジションを組む時点で決めておくのが良いと思います。
(もちろん、予想外の動きで、臨機応変にスタンスを変えることも必要ですが)

2. 売りは先にプレミアム(収入)が手に入る(代わりにリスク無限大)、買いはプレミアム分のコストがかかる(代わりにリスク限定)

私が参考にする二人のオプショントレーダーはどちらもショートストラングル(コールとプットの売りを遠くに建てる)を基本戦略にしてそれだけで稼ぐ月もあります。その二人は、その基本戦略に「相場が適切な時」のみ買いを組み合わせたものをアドバンストレードと呼んでいます。
オプションの売りは世界三大利殖の一つ https://option-trade.hatenablog.com/entry/2016/05/13/222251 に挙げられ、手元の資金量が多く、リスク管理がしっかりできれば、安定的に収益が上げられます。
売りや買いを単騎(裸で)扱うもよしですが、それではオプションの特性を十分に活かせていません。(次項につながります)

3. 単独の建て玉で考えず組み合わせ(ポジションやスプレッド)で考える

オプション独自のメリットと魅力の一つに、複数の建玉を組み合わせて、自分の想定する損益分布(どの価格帯で最大リスクがいくら、どの価格帯で最大利益がいくら、など)をデザインできることにあります。
うまく組み合わせることで、前述の売りと買いの双方のメリットを残しつつデメリットを相殺することが可能となります。
以下のように文章だけで書けば難解に思えますが、損益分布図を書いてくれるシュミレーターに何度も入力して損益分布図を書いてみると良いと思います。
複数の建玉を組み合わせることを「スプレッドを組む」「ポジションを組む」と言います。多くのスプレッドが存在しますが、まずはクレジットスプレッドとデビットスプレッドを使えるようになることをお勧めします。(自分が納得して受け入れることを決めたリスク以上に損が出ることが「絶対に」ないのでほったらかしにすることが可能です)

# クレジットスプレッド
売りを収益の中心に考えるならば、無限大のリスクをヘッジするためにその外側(ファー)に買いを入れてリスクを限定する(売りのプレミアムから買いのプレミアムを引いた分が利益となる。リスクは権利行使価格の差額からその利益を引いた分が最大。=クレジットスプレッド)
参考:【オプション基礎講座】#06 証拠金を抑えたい! クレジットスプレッドの基礎知識 https://www.youtube.com/watch?v=r28U7iYWe5I&list=PLdiBGG5W4bmtiGkwgXwne3Pd1yPSFWZV_&index=6

# デビットスプレッド
買いを中心に考えるならば、そのコストを減らすために売りを追加でそのコストを軽減する。同じ方向で軽減する(コールとコール、プットとプット)場合は買いよりもファーで売りを追加して、その売りのプレミアムの分だけ買いのコストが下がる(その代わりに買いの無限大の利益を放棄して、売りの権利行使価格と買いの権利行使価格の差からスプレッドのコストを引いたものが最大利益となる=デビットスプレッド)
参考:【オプション基礎講座】#05 相場の方向性を当てろ! デビットスプレッドの基礎知識 https://www.youtube.com/watch?v=6aGZBOZx79c&list=PLdiBGG5W4bmtiGkwgXwne3Pd1yPSFWZV_&index=5

逆方向の売りを追加してコストを減らすのはベアスプレッド(プットの買いにコールの売り)またはブルスプレッド(コールの買いにプットの売り)と呼ばれますが、無限大の利益を放棄しない代わりに無限大の損失のリスクも残るので、先物の売買と同じで、想定している方向性に確信がない場合以外はオプション独自のメリットを活かせていないので初心者にはあまりお勧めしません。

補足:クレジットスプレッドとデビットスプレッドは損益分布図が互いに上下逆の鏡像関係なので類似点も多くペアで紹介されることが多いですが、コンセプトが根本的に違うのでそれぞれのイメージを持っておくと良いと思います。前述の通りクレジットスプレッドはまず売りで利益を取ることありきで、無限大のリスクを限定させるためにその利益の一部を使って買いを加える。デビットスプレッドは買いで利益を取ることありきで、そのプレミアムコストの負担を減らすために無限大の利益を放棄することで売りのプレミアム分だけコストを減らす。ということです。

4. 売り長になればなるほど、そのプレミアムが高いほど必要証拠金がかかる。

これは文字通り。オプションの必要証拠金の計算は複雑なため一言では言えませんが、買いは必要証拠金は不要で、購入するプレミアムの金額だけ口座にあれば購入可能です。
売りは権利行使価格(ATMとの距離)とプレミアムによってさまざまですが、繰り返し述べたように損失リスクが無限大ですので、それを払えるだけの金額が必要証拠金として求められます。
売りを立てることで先にプレミアム分の収入が得られるのでそれを守り切れば良いから楽勝、のように思い、売りだけを複数枚建ててSQ待ちという戦略を取りたくなりますが、枚数が増えるほど必要証拠金が増えますが、「手持ちの証拠金との差額」が追証までの余裕額ということ、枚数が増えるほど、逆方向に行った時の含み損が増えるスピードが速くなる、ということから思った以上に追証の洗礼を受ける可能性が高くなることは承知しておく必要があります。(複数回経験者は語る)(次項に続く)

5. 初めのうちは同方向の縦玉を買い:売り=1:1かそれ以上の買い長になるように組む

前述の通り、売り玉短期(裸売り)だとそれなりの証拠金が必要で(例えばATM 32630の時の期近のP32000の売りがプレミアム170円ですが、証拠金が80万円かかります)すが、その理由はリスクが無限大だからであって、これに同じ方向の買いを組み合わせると無限大のリスク→リスク限定となるので、理論的には証拠金が少なるなることになります。

説明は長くなりますが、原則「買い:売り=1:1かそれ以上の買い長になるように組む」を基本にするとリスクも限定、証拠金も少なめで済むと思います。ただし、プットの売りにコールの買いを組み合わセル、その逆のコールの売りにプットの買いを組み合わせるは無限大のリスクをヘッジしないので(損益分岐図を書いてみてください)、証拠金の軽減にはなりません。「同じ方向(コール・プット)の」買い:売り=1:1が重要です。
もちろん買い長(買い枚数>売り枚数)とすることで、買いが多ければ多いほど証拠金は少なくなりますが、その分、プレミアムのコストがかかることになります。

余談ですが、
組むときは、買い玉を先に建てる、決済は売り玉から処理」
も忘れずに。本項の詳細は以下の動画がわかりやすいです。

参考:【オプション基礎講座】#06 証拠金を抑えたい! クレジットスプレッドの基礎知識 https://www.youtube.com/watch?v=r28U7iYWe5I&list=PLdiBGG5W4bmtiGkwgXwne3Pd1yPSFWZV_&index=6

最後に、経験の長い人や上級者はこれらのルールから外れたこともたくさんしています。それらに取り組むのは安定的に利益が確保できるようになってからがよいと思います。
以上、何らかの参考になりましたら。感想やコメント、質問をお寄せください。
(この記事ここまで)

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