1枚目

今日は令和元年5月9日、時刻は22時25分です。
ベッドに横になって胸のあたりまで布団をかけてこの文章を書いています。

今日は少し寒かったですね。朝7時過ぎに仕事に向かったのですが、半袖で外に出たことを少し後悔しました。車に乗って久々に空調を赤色に合わせると、すぐに温風が手に当たりました。ちょっとだけ顔を上げてみたけど、太陽は見当たりませんでした。

そんな話はどうでもよくて、でもあなたのことを想像すると自然と頭に浮かんだことなので、僕にとってはどうでもいいのとは違いますね。

1週間ほど前に、映画を観たんです。
その日は久々に1日休みで、昼は本を読んでいました。
ある人に美術史を教えてほしいと言われて、いいですよと言ってしまったのですが、持ち合わせの知識だけでは心許なかったので、少し勉強していたんです。
夜になって、休憩がてら観たのがその映画でした。
そこに、あなたにそっくりな人が出ていたのです。病室での姿も、おどけ方も。境遇も全てが同じでした。最初はもう観るのをやめようと思いました。けれど、なんと言えばいいんでしょう、胸がいっぱいになっている自分もいたんです。胸がいっぱいになって、もうそこから動けない自分です。私たちと同じ状況だったことよりも、あなたをそこに見て、胸がいっぱいになりました。

ここまで書いて、しばらく筆が止まっています。
文書を書くというのは、苦しいことですね。
癖で唇を噛んで、少し血の味がします。

東京へ会いに言った時の、あなたの姿を思い浮かびました。髪は鎖骨にかかるほどで、動くとさらさらと揺れていました。肌は白かった。金属アレルギーだというのに、かわいいからと、指輪を1つ嵌めていましたね。飾り気のない、華奢なアクセサリーがよく似合っていました。誕生日に渡そうと思っていた指輪があったのですが、残念です。あなたがいつか、音叉みたいだと笑っていた指輪です。それから、歩くのが少し早かった。こっちに来ていた時はそんな事はなかったのですよ。面白いですね。

もう23時になりました。明日の仕事の準備がまだできていません。いつも早くしなよと言われていたのに、すみません。

また手紙を書こうと思います。おやすみなさい。


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