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趣味で出会いをつなげる「タップル誕生」を #マーケティングトレース

個人的に注目しているマッチングアプリ業界。前回の「Pairs」に続いて、第2弾は「タップル誕生」をピックアップしてみます。

まず、運営元のマッチングエージェント社の基本情報を確認しました。2013年設立、サイバーエージェントの100%子会社です。

マーケッティングトレース tapple(1)

ビジョンは「出会いで世界を変える」。追って見ていきますが、唯一の運命のひとと出会おう……というより、人生の中で出会える人は限られている、その限られた人との出会いを、少しでも価値のあるものにして、人生や世の中を豊かにしよう……という価値観です。また、

2019年1月、2018年のiOS・Google Playの合計消費支出ランキング 恋活・婚活マッチングアプリで国内1位を獲得

という状況で、ビジネス的には非常に良い状態にあるようです。

次に、4P分析。

マーケッティングトレース tapple

Price: 男性はPair同様に有料プラン必須ですが、それに加えて、男女ともに一定数以上の異性をチェックするためには「カード」購入が必要。女性は無料でも使えますが、男女ともにフリーミアムモデルととらえることができます。また、検索機能はプレミアムプランに入らないと使えない!ので、それ目当てで課金するユーザーも多いようです。

Price/価格
・相手探し(マッチング)までは有料プラン不要、メッセージやり取り以降は男性のみ有料。
・異性を選ぶ際に、基本料金とは別に「カード」購入が必要(10枚120円、1日10~20枚程度、無料付与)
・男性向け有料プラン:1カ月3600円~(複数月一括購入で割引あり)
・男女ともにプレミアムプランあり(検索や並び替え、メッセージ既読確認等):男性4800円/月、女性2800円/月

ProductかPlaceか分類に悩んだですが、タップルで特徴的なのは、マッチした相手とのデート代が50%オフになる「デートパス機能」(マッチ後いつでも使えるため、おそらくマッチ後のアプリ継続利用を促進するのが狙い)、時間・場所を指定して合う相手を募る「おでかけ機能」です。誰かひとりを見つけてアプリ卒業……ではなく、色々な人との出会い機会を創出しようという方向性でしょう。

2019年8月に佐賀県有田町と「若い世代のライフデザイン構築支援に関する連携協定」を締結したというのも、自治体の婚活支援と絡めてビジネス拡大を図るという独特な打ち手ですね。「おでかけ機能」で地域での出会い創出→地域内での結婚率を上げる……という発想でしょうか。

次は、STP分析です。前回に引き続き、婚活/恋活軸、年齢軸で整理してみました。

マーケッティングトレース tapple(2)

主には、以下のようなユーザー層を想定していると分析しました。

Positioning
・あまり気取らずに恋活したい・あれこれ言葉で説明するよりも写真ファーストで判断して、あとは実際に会ってみようと思う。Instagramも好き、長文は重いので苦手。
・相手を指定しないで遊び相手募集する「おでかけ機能」やデートの飲食代50%オフの「デートパス機能」を活用して、1対1のシリアスなマッチングよりも、いろいろな異性に気軽に出会って、ピンとくる人を見つけたい。
・ペアーズや他のアプリも試したけど、長い文章のひとが多くてちょっと面倒。タップルのほうがゲーム感覚で相手を探すことができて楽しい。

いやー若者感……(笑)。

最後に、もし自分がCMOだったら。せっかく高収益モデルを確立しているので、それを継続・拡大させるにはどうすればいいか?という視点で考えてみました。

マーケッティングトレース tapple(3)

If I was a CMO
20台ユーザーメイン・ゲーム感覚の恋活路線を継続・拡大。学生割引を導入て若年層囲い込みに注力。デートパス提供地域を拡大+合コンにも使えるようにして、マッチング後の有料会員継続率を上げる。

マッチングした後も継続することが前提……って、それはマッチングアプリなのか?って気もしますが、色々な人との出会い機会を創出する…という世界観のタップルなら、ありな方向性と思います。

ただし、昔の「出会い系」みたいな倫理的にグレーな感じになってしまうとユーザーが離れてしまうと思うので、あくまで昨今の恋活ブームに乗った形で、健全性をアピールしながら進めるイメージです。

以上、調べてみると、さすがサイバーエージェント関連会社!という感じのプロダクトでした。自分がユーザーになることはないと思うので、そのぶん純粋にビジネスとして捉えて分析できました。

やはり1~2時間で深く掘り下げて分析するのは難しいですが、同じ業界内の別プレイヤーを分析するのは理解が深まって良かったです。めげずに続けていこうと思います。次はPEST分析・4C分析にも取り組んでみようと思います。

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