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オンライン習い事のcafetalkを #マーケティングトレース

オンライン英会話サービスはすっかり普及して、無数のサービスがひしめく競争の激しい業界になりましたね。私はオンライン英会話のヘビーユーザーで、かなり色々なサービスを試しましたが、最近はオンライン習い事サイト「カフェトーク」がお気に入りです。

カフェトークはレアジョブやDMM.英会話のような月額制課金での管理された(時間・フォーマットが決まった)クラスを行うスクール形式ではなく、オンライン習い事のマーケットプレース=講師と生徒のマッチングを行うCtoCプラットホームです。登録講師が増えるとクラスの種類も増えまるので、ウェブサイトに「英会話や韓国語、ピアノや歌、ヨガ・囲碁まで」とある通り、色々な種類の習い事が提供されています。英語を使ったコーチングやヨガなどもあるので、英語上級者にもオススメ!

類似サービスは海外だと「Skillshare」「Udemy」などがあります(参考:Online Learning Platforms)。いっぽう国内は「サイタ」「スクアカ」のように対面式習い事の検索・予約サービスか、オンライン英会話やオンラインプログラミングスクール等、教育を提供する事業者が運営するスクール形式のサービスに分かれているようですが、カフェトークのようなマーケットプレース方式・CtoCのプラットホームは見つけられず……。もし同種のサービスをご存知の方がいたら、教えてほしいです。

今回はこの「カフェトーク」を、マーケティングトレースしてみます。

カフェトークの運営企業は株式会社スモールブリッジ。企業ビジョン・サービスコンセプトは「いつもの生活に、世界のスパイスを。」

会社概要
2010年2月、創業
2012年7月、登録生徒数1万人突破
2013年10月、3800万円の資金調達
2013年11月、日米在住講師に福利厚生サービス提供開始
2014年6月、提供レッスン種類数3000突破、芸術趣味系レッスン拡大、講師ライブセミナー開始
2015年、銀座で音楽発表会を開催、米国などでのホームステイプログラム提供開始
2017年、体験アクティビティ提供旅行ECサイト「KKday」と提携
2019年、キッズサマーアートレッスン提供(連続セミナー)

事業内容は、オンライン教育サイトの運営。カフェトークの他に、韓国語学習者向けの「K-ACADEMY」、日本語学習者向けの「WASABI」を運営しています。株式上場はしていません。

まず、4Pで事業分析してみます。

Product:CtoC型オンライン習い事サイト、講師・生徒ともに登録制(講師は質担保のためスクリーニングあり)
Price: 登録講師がクラスごとに個別設定
Promotion: オンライン旅行サイト「KKday」と送客提携
Place:検索・予約・授業、すべてオンラインで行うオンライン完結型。ただしホームステイプログラム、音楽発表会などオフライン企画もあり

「講師と生徒のマッチングを行うCtoCオンライン習い事サイト」というプロダクト自体が特徴的です。ただし、このコンセプトが日本国内ではあまり主流にはなっていません(個人的には大好きなのですが…)。

そこを補うためか、Placeであげたオフライン企画は力を入れているようです。2015年以降は毎年、銀座のヤマハホールで音楽発表会を行っていますし、ホームステイ先も米国に加えて、スペイン・イタリアが追加されています。費用面を考えるとオンラインレッスンが良いけど、できたら対面で習いたい…というニーズがやはり根強いのでしょうね。また日本はアメリカほど広大ではないので、中規模以上の都市にはカルチャースクールなどがあって対面式習い事のニーズが満たされている→つまり、マーケット拡大のためにはその市場に食い込む必要性がある……という側面もあるのでは……と想像しています。

オンラインでも特定講師とコラボした特別企画プログラムや、半年に1度優れたレッスンを投票で決める「カフェトーク対象」など色々な試みをしていますし、その都度プレスリリースを打っているようですが、Promotion/広報面は苦戦しているように見えます。

私がこのサービスを知ったきっかけは友人からの口コミです。紹介されなければ、たぶん認知に至らなかったと思います……オンライン英会話のくくりで紹介されることが多いと思われますが、オンライン英会話は事業者が乱立しているので、そのなかで目を引くのは難しい気がして……。それに日本では「オンライン習い事」「学びのマーケットプレース」というコンセプトが浸透していないので、その切り口から認知が広まるのは時間がかかるかも……というのが率直な感想です。

次に、STP分析でターゲット層とポジショニングを考えます。

Segmentation:生活充実志向←→キャリアアップ志向、カリキュラムのあるスクール型←→自由に受講できるマーケットプレース型、オンライン完結型←→オフライン補完型、都度課金型←→定期購読(サブスク)型
Targeting:家にいながら好きな時間にマイペースに、オンラインで習い事をして、生活を豊かにしたいと考える層
Positioning:自宅周辺でレッスンが受けられない、または時間的に難しいが、独学ではなく講師と交流しながら学びたい地方在住者。または教室に通うのが難しいキッズ・ファミリー層。ある程度スキルがあり「英語でXXを学ぶ」ことに興味ある英語上級者

習い事は、「キャリアアップ系」と「生活充実系」を軸にセグメンテーションを整理できます。カフェトークの提供レッスンは幅広く、キャリア系から生活充実系までありますが、「スクール」ではなく各講師それぞれが企画・提供するレッスンを好きに選んで受講できる「マーケットプレース」型です、さらに都度課金制で継続受講を必須としない(=ほとんどのレッスンは1回だけ受講でもOKな)ので、サービスコンセプトにある通り「いつもの生活に、世界のスパイスを」という趣味感・習い事感が強め。

なので、「生活充実系」のなかでオンラインでの受講欲がある層、具体的にはこんな人たちかな~というペルソナのようなものを、ポジショニングとしてまとめました。プロダクト(サービス)が個性的なので、立ち位置はかなり明確です。

分析してみると、個性的で面白いサービスですね~。やはり個人的には好きなサービスです。

最後に「もし自分がCMOだったら」フレームに沿ってまとめた内容を記して〆ます。

Market, Industry, Customer(市場、業界、顧客の状況)
・オンライン通話サービスの充実と品質向上・スマホ浸透で、2005年以降、市場は大きく拡大
・オンライン英会話市場およびプログラミングスキル・PCスキルオンライン教室は供給過剰気味
・その2つ以外のオンラインレッスン提供は限定的。しかしニーズも限定的?
Structure, Resources(組織の状況)
・幅広い講師ラインアップ(国籍、提供レッスン)、講師リクルート力、
・ホームステイプログラム・「英語を使ってXXX」・子供向けワークショップなどユニークなプログラム
If I was a CMO(もし自分がCMOだったら?)
・同業種サービスとのコラボ・送客連携
・大手カルチャースクールや大学の公開講座とのコラボ
・価格オートメーション?(Uber的な、需要と供給で価格を決める方式)

販路拡大が課題と思いますが、大好きなサービスなので、ぜひ今後も発展していってほしいです!

このnoteを書きながら、「(独立型)CtoC型プラットホームで圧倒的な知名度を誇るのはメルカリだけど、メルカリは初期の段階でどうやって顧客ベースを拡大していったのだろう?」ということが気になり始めました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました❤


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