福島ユナイテッドFC 2020シーズン選手通信簿

とっくにシーズンは終わってたんですけどね。今シーズンは18チーム中13位と去年より成績を落としました。昨年以上の若手主体の編成と選手層の薄さに過密日程が重なって相変わらず厳しいシーズンだったのではないでしょうか。低空飛行を続けた序盤の4-4-2や4-3-3システムから中盤戦で3-4-2-1システムへの変更により一時は息を吹き返すも、最後は4連敗フィニッシュ。チャンスも作れてるしシュートも打ててるけど、得点力というより、試合の行方を決める「決定力」が欠けていたと思います。

GK
1番 ファンティーニ 燦 19試合出場 33失点
中盤戦まではレギュラーだったものの終盤は渡辺健太にポジションを明け渡すこととなってしまった。レスポンスは悪くないし、ビルドアップもうまかったけど、ここ一番でのセーブが欠けていたと思う。言葉にするのは難しいけど、「ここで失点しちゃまずい」みたいな試合の行方を左右する場面でのセーブが。そこが渡辺健太との最大の違いだったのではないか。イタリア人の血が流れる身体の胸板の厚さと頑強さはGK陣屈指で、混戦でも相手との交錯をものともせず飛び込めるガッツと強さは大きな武器。セービングに磨きをかけて来年こそポジションを掴みたい。

16番 キム ミンジュン 3試合出場 8失点
中盤戦、失点がかさんだファンティーニに替わって3試合連続の出場も大量失点の流れは変わらず。まだ日本語が流暢じゃないのでコーチングに不安があるのか、本人はいい動きしてても失点が減らなかった。長い手足のリーチと横っ飛びの伸びの良さにモノを言わせた強気のポジショニングがとれることが最大の持ち味。GKとしての能力は高いので言葉の部分を解決できればレギュラーもねらえるんじゃないか。来年も湘南からレンタル延長してくれんか。

50番 渡辺 健太 12試合出場 14失点
プロ4年目、出場機会を掴むべく町田から強い覚悟を持ってレンタル移籍してきたが、見事に後半戦のレギュラーの座を確保した。初出場だった岐阜戦、前半立ち上がりの川西の決定機を防いだシーンをはじめとしてここ一番でのビッグセーブを何度も見せ、チームの勝利に貢献した。コーチングが的確でDFラインへのポジショニング修正やプレー選択の指示もかなり細かく行っていたのも失点を減らせた要因なのではないだろうか。混戦や至近距離からのシュートや1対1の強さは抜群。長身なので厳しいコースのシュートにも届くのが強み。来年どこに行くかわからないけど十分実力を証明できたシーズンだったのではないだろうか。

DF
3番 阪田 章裕 4試合出場 0得点
大ベテランも今シーズンは全く出場機会を得られず、契約満了となってしまった。昨シーズンから身体能力の衰えは感じさせてたけど、後ろからのビルドアップを重視する戦術と若手の勢いに完全に押し出されてしまった。出場すれば経験値の高さは見せていたのでなんとか次のクラブが見つかる事を願う。契約満了が発表された後もクラブの農業活動を発信し続けるなど、その姿勢はプロの鑑。

4番 宇佐美 宏和 15試合出場 0得点
今シーズンもフル稼働はかなわず。CBをメインに出場したが11月くらいからベンチにすら入らなくなってしまった。相変わらず身体能力の高さは健在。スピードを活かしたカバーと身体を張った守備も光ったものの、正直DFラインの統率に長けたタイプでもないので大量失点を繰り返してしまったのは反省点。健康体を維持できれば間違いなくレギュラーなのだが・・・ベテランとして、チームの兄貴分としての振る舞いは満点。ベンチ外になってもTwitterで試合実況をして盛り上げたりと欠かせないベテランであることは間違いないので来年ももうひと頑張りしてほしい。

5番 岡田 亮太 21試合出場 2得点 1アシスト
バンディエラはまさかのボランチへコンバート。本職のCBでは全く出場機会を得られなかったが、16節沼津戦でボランチとして途中出場すると得点まで挙げて勝利に貢献。その後もボランチを基本に起用され続けた。若手の勢いに押され先発の機会こそ減ったもの、タフでクレバーな対人守備と空中戦の強さはボランチ起用でも相変わらず。元より左右問わずに精度の高いキックが出来るのはボランチでも強味となり、シンプルに手数少なく縦にボールを付けていくビルドアップが光った。特に右足のコースを切られても左で迷わず蹴れるのは間違いなく岡田の強味だろう。さらに、味方がサイドで作っている内に3列目の動きでペナルティエリアに侵入しシュートやラストパスに持ち込むプレーも新たに習得。持ち前の高さでセットプレーのターゲットマンになりつつ、エリア内で絶妙な動き出しでシュートに持ち込むなどのプレーは今まで見せたことがなかっただけに、ベテランとなっても進化を続けプレーの幅を広げ続けているのは賞賛に値する。ここ数年は本職のCB以外にも右SB、左SBでも監督の求めるものに応じて高いクオリティを見せていて本当にすごいと思う。

13番 石渡 旭 2試合出場 0得点
昨年に続き出場機会を得られず、契約満了となってしまった。SBとしての上下動とタフさは光るものがあるが、ビルドアップのタスクを重視する戦術にうまくマッチしなかった。5節藤枝戦で見せた味方との連携からのカットインには可能性を感じさせたが・・・まだ若いし、福島みたいに特殊なことをSBに求めるチームじゃなければ普通に試合でられんじゃなかろうか。

19番 河西 真 21試合出場 0得点
怪我もあったりで昨年より出場数は減ったものの、最後はしっかりCBのレギュラーとなった。屈強な相手CFやエースをも封殺する対人守備のうまさと空中戦の強さはリーグでも上位クラスなんじゃないだろうか。ビルドアップ面でも精度はもう少し欲しかったが果敢にフィードを狙っていたし、自分で前に運んでコースを作り出すなど昨シーズンより成長。終盤戦ではDFリーダーとして3バックの中央で奮闘した。守備力は証明してきたので、DFリーダーとしてのラインコントロールを含めた統率力が来年への課題となる。着実にCBとして成長してきているので来年は福島での集大成の年としたい。

21番 吉田 朋恭 34試合出場 1得点 2アシスト
大卒ルーキーながら福島不動の左サイドとしてSBとWBで全試合に出場。左足からの精度の高いキックと高速クロス、縦への推進力で攻撃を支えた。得点こそセットプレーからの1点のみだったが、何度も相手のサイドを破り、フリーで受けてシュートを放つなど攻撃力は折り紙付き。ポジショニングが良く、攻守どちらもサボらず走り続けられるし、ボールを持っても簡単に失わないどころかビルドアップに詰まった時の逃げ場にもなれるなど能力は申し分なし。フィジカル面でも当たり負けしないタフさと相手に着いていける機動力を兼ね備えた左サイドのオールラウンダーであった。J2でも通用する実力があると思うし、「左利きの本職左SB」ってどこも欲しがるタイプの人材なので普通に引き抜かれるんじゃないか。

23番 福島 隼斗 22試合出場 2得点
湘南からの武者修行でレンタル加入。序盤こそ怪我の影響で出場が無かったが、負傷明けの12節セレッソ戦で初出場するとCBのレギュラーをがっちり確保。パス精度の高さと足下の技術の高さでビルドアップも難なくこなしつつ、攻撃参加時はラストパスも出せる器用さを披露した。試合に出始めの頃は要所での甘いディフェンスが目に付いたが徐々に競り合いやタックルでハードなプレーを見せるようになり、相手アタッカーを単独で抑えられるレベルまで短期間で成長。特に3バック採用後の安定感は抜群で、まだ20歳ながら攻守両面でJ3では実力十分であることを証明した。攻撃時のセットプレーでは絶妙なポジショニングでゴールを奪うなど得点力も発揮し、充実のシーズンだったのではないか。来年は湘南に戻るよりはJ2でさらにレベルアップして力をつけた方がもっと伸びそう。

MF
7番 田村 亮介 34試合出場 9得点 5アシスト
キャプテンマークと福島ユナイテッドの特別な背番号である「7」を託された今シーズンは終始気を吐き続けたシーズンだった。前半戦は左サイドハーフとして、3-4-2-1システム採用後は右シャドーとして全試合に出場。キャリアハイの得点数だった昨シーズンをさらに上回る9ゴールを挙げ、アシストも昨シーズンに並ぶ5アシストを記録するなどJ3屈指のアタッカーへ成長。切れ味鋭いドリブルからのクロスでチャンスの山を築き、ボールが出て来なくても精力的にゴール前に走り込み続け、チームが攻めあぐねれば強引にでもミドルを狙いチームを鼓舞し、味方がボールを失えばどこにいようとも全力のスプリントで帰陣し守備に参加し、ビルドアップがノッキングを起こせば中盤の底に降りてゲームを作り、ありとあらゆるタスクをこなし続けた。前半戦はタスクに忙殺され頑張ってるのに結果を残せない状態だったが、シャドーに固定されてからはよりゴール近くでアタック集中出来るようになり一気に爆発。トップのイスマイラを囮に抜群の加速力で相手DFラインの裏に飛び出しGK1対1を確実に沈める必殺の形でゴールを量産。シュートにしてもクロスにしても左右両足どちらでも正確なキックができる上に、シュートはGKと1対1になった時の決定力が別格だった。昨年も闘志を剥き出しにするプレースタイルだったが、キャプテンを務めた今シーズンはその闘志を自分のためだけでなくチーム全体へのポジティブな声かけとして還元した点も大きな成長であり、賞賛に値するポイント。若手ばかりのチームを中堅、キャプテンとして引っ張り続けたポイントも含め、今シーズンの活躍はチームMVPにふさわしいと思う。現状記録したスタッツなどからも間違いなくJ3屈指のアタッカーなのでJ2以上への引き抜きは普通にあると思う。

10番 橋本 拓門 21試合出場 0得点 1アシスト
岡田に次ぐ古株は今シーズンは昨年以上の大苦戦。最終的に契約満了になってしまった。4バック採用時はボランチとしてレギュラーだったが、諸岡や岡田、更に池田といった「中盤で戦えて縦に行ける選手」が重用されはじめると出場機会を失ってしまった。要所で鈍足なのが足を引っ張ったとはいえ決して戦えない選手ではないのだが、前に持ち出すスピードやボール奪取に長けたタイプでなかったのは事実。針の穴を通すような鋭いパス、美しい軌道で局面を動かす正確なサイドチェンジ、何より攻撃を加速させるメッセージのあるパス、スイッチを入れるパスを出せる司令塔だったが、15節鹿児島戦後のコメントで本人も語ったように戦況を読んで判断してゲームを作り動かすということが出来なかったのは最終的に致命傷となってしまったのではないか。J3で200試合以上を経験した実績と実力は伊達じゃないのでJ3クラブでどっか拾うところ無いかしら。正直このまま岡田に次ぐバンディエラとして福島に骨を埋めるもんだと思ってたし、監督が変わる状況もあるし試合でれば高いクオリティを発揮する場面もあるしで切らなくても良くないかと思うんだけど・・・拓門との別れがこんな形になるとは思ってなかったし、次のクラブでも幸せなキャリアを送れることを願います。

14番 青山 景昌 8試合出場 0得点
大卒ルーキーだが開幕前の負傷で出遅れると出場機会を得られず。技巧派のレフティで、機動力と左足の一撃の精度の高さは素晴らしかったがチームにはあまりマッチせず、左足を持て余し続けた印象だった。プレースキックやクロスは結構いいボール蹴ってたけど何でか全然結果につながらなかった。来年も主にサイド起用になるだろうが、来年は勝負の年になるだろう。なんとなくプレイヤーとしてのドラと同じ匂いがするんだよなあ・・・

17番 諸岡 裕人 29試合出場 0得点 2アシスト
前十字靭帯損傷から復帰した今シーズンはボランチで年間通して出場機会を確保。鋭い出足の守備と縦への早いパスが光った。昨年に引き続き攻撃面で特別なスキルがある訳じゃないしビルドアップでのノッキングをおこすこともあるけど、基本に忠実に「奪ったら縦にボールを走らせる」プレーを選択するのでわりかしアシストも記録。フル出場が少ないのは攻撃面でのプラスアルファが足りないせいなんだろうけど、攻撃で何か武器がもうひとつでも持てれば大化け出来る可能性があると思う。鋭いインターセプトに加えてファールをいとわないハードなタックルも魅力で、意外とダーティなレイトタックルを多用する傾向にあるんだけどファールの仕方がうまいのかプレーの割にカードをもらわない。なんだかんだ守備的なボランチが福島には諸岡しかいないので来年はもっとプレーの幅を広げて活躍してほしい。

18番 橋本 陸 25試合出場 3得点 1アシスト
大卒ルーキーのレフティは自慢の走力を武器にスーパーサブの地位を確立。愚直にスプリントを繰り返すプレースタイルでスペースへのランニング、相手ボールホルダーへの全力プレスを何度も繰り返し続けた。右ウイングや左サイドや左シャドーで起用されたがスタメン出場は少なく、主に後半に運動量で流れを引き戻す役割を担った。中盤戦までは消極的なプレーも多かったが、本人も「ゴールを決めることにフォーカスした」と語るように、ゴールへと突き進むプレーを増やしたことが拮抗した試合で勝利を呼び込む事に繋がった。27節富山戦と29節今治戦の勝利は彼の記録にはならなかったものの、間違いなく陸のゴールへの強い意識とプレーが呼び込んだ勝利だった。攻撃意識とスプリンターとしての能力は申し分ないが、守備に強みがある訳じゃないしクロスやドリブル突破に強みがある技巧派でもないので、もっとプレーの幅を広げること、出来ることを増やすことがスタメン奪取には必要となりそう。アタッカーとして、いいクロスを入れられる、1枚でも相手を剥がせる、逆サイドからのクロスに競り合いながらでも飛び込めるタフさ、そうした武器をもうひとつでも身につける事が来年求められる。

24番 鎌田 大夢 25試合出場 1得点 1アシスト
「日本代表 鎌田大地の弟」の触れ込みで注目されたアタッカーは高卒ルーキーにしては十分といえる出場機会を得た。ボランチやシャドーで起用されたが、どこで出てもキックの精度とボールコントロールの技術は申し分なし。抜群のアタッキングセンスを随所に見せたがピースとしてはうまくチームにはまらなかった。ヌルヌルとしたボールキープで相手を引きつけ、十分に食いつかせてから味方へ通すパスは一級品、ドリブルもヌルヌルとした動きで次々相手をかわすなど技術はこのカテゴリでは別格。しかしフィジカル面の脆弱さによって潰されたり、鎌田自身も嫌がって踏み込んだプレーが出来ないなどプロの洗礼を受ける形となってしまった。まずはフィジカルの強化が来シーズンへの最優先課題となる。技術が通用する事は証明したので、ある程度のプレスにさらされてもブレないプレーが出来ればすぐにでも上のカテゴリに行ける逸材なので、本人も意気込むように来シーズンは「福島は鎌田大夢のチーム」と言われるくらいの活躍を期待したい。

25番 前田 椋介 20試合出場 0得点 1アシスト
大卒ルーキーながら4バックの時は右SB不動のレギュラーだったが、3バック採用後はほとんど出場機会得られず。本職はボランチだが司令塔としての能力や走力、キック精度を買われて右SBとしてビルドアップの中心となったが、より「戦える選手」でメンバーを固めた中盤戦以降はなかなか試合に絡めなくなった。技術は確かなものがあるし、ビルドアップでのボールの逃げ場になれるし、ゲームメイクも出来たのだが、チャンスシーンでのミスやビルドアップ時に淡白にボールを失いピンチを招くなど勝敗に直結する部分で仕事をやりきれなかったのがポジションを失った要因ではないか。守備でも負担が大きかったとはいえ強味は見せられなかった。来シーズンは監督も変わるので中盤での起用になるとは思うが淡泊さの改善は必須。来シーズンは司令塔としてその技術を発揮してほしい。

29番 吉永 大志 31試合出場 0得点 1アシスト
大卒ルーキーだった昨シーズンは全然出場機会を得られなかったが、今シーズンはポジションを転々としつつほぼレギュラーとして出場。序盤は2トップの一角として、中盤戦はボランチとして、終盤戦は右WBへコンバートされシーズンを戦い抜いた。トップとボランチで起用された際には持ち前のパスの技術に加えて独特の間合いのボールキープで時間を作れる数少ない選手としてビルドアップやアタッキングで貢献。豊富な運動量で攻守に走り続け走れる司令塔として活躍したが、WBへ転向後は戦えるパサーへと変貌。サイドでの精力的なランニングや前が空けば果敢にシュートを狙うなど攻撃面でも存在感を発揮。守備でもイーブンボールに対してコンタクトを厭わない姿勢とロストすれば意地でも奪い返そうとするなど気迫のプレーでチームを支えた。実際奪いきれないまでも吉永が身体をぶつけにいったプレーでチームを危機を救った場面は何度もあった。決定的な仕事は少なかったがJ3で戦える力を証明したという点では本人にとっても非常に良いシーズンだったのではないだろうか。3年目となる来シーズンはラストパスとシュートに磨きをかけて結果を残していきたい。

FW
8番 池田 昌生 32試合出場 3得点 10アシスト
高卒3年目生え抜きの切り込み隊長はついに覚醒。J3アシスト王の肩書きを手土産にJ1湘南ベルマーレへの完全移籍を勝ち取った。序盤戦は今まで通り福島不動の右サイドハーフだったが中盤戦以降はボランチへコンバート。長短のパスの正確さでゲームメイクもこなしつつ、ピッチ中央でプレスにさらされながらもプレー出来るタフさを身につけるなど更にアタッカーとしてスケールアップ。タッチライン際で発揮された突破力は中央の密集地帯すら切り抜ける力強いドリブルへと進化し、より破壊力を増した。チャンスメイクもエリアを問わずゴール前に上質のボールを送り続け、以前から正確無比だったクロスのみならず、相手DFライン裏への正確なロビングパス、ブロックの間隙を縫う高速スルーパスなど多彩なパスを繰り出す「黄金の右足」でアシストの山を築いた。特に右のハーフスペースの浅い位置から送るクロスボールの精度と質はこのカテゴリでは異次元ともいえるレベルだった。そして特筆すべきは単独でボール奪取から持ち上がってラストパスまで持っていけるようになったこと。9節讃岐戦や23節長野戦のアシストはその持ち味が凝縮されたプレーだった。唯一ゴールの型を作り上げるところまで至らなかったのはもったいなかったが、果敢なミドルやライン裏への飛び出しは見せていたのでそこは今後への課題。ここまで着実に成長してきたので来シーズンJ1でさらなる飛躍をしてほしい。高卒で福島にやってきた選手がここまでやれるようになって結果を残してくれたのは本当に嬉しい。

9番 イスマイラ 33試合出場 13得点 2アシスト
ジョーカーだった昨シーズンから今年はCFとしてチームの主砲に据えられシーズン通してフル稼働。二桁得点を達成しつつプレーの幅を広げた。相変わらず技術的に優れてる訳じゃないのでサイドに流れても出来ることは少なかったけど圧巻の身体能力にモノを言わせたゴール前での迫力はリーグ屈指。快速を飛ばすラインブレイクやどんな状況でもシュートに持ち込む攻撃性と圧倒的な高さから放つヘディングを武器に、シュート数はリーグでダントツだったが決定力が壊滅的だったのは減点材料。得点王となった熊本の谷口がJリーグ公式記録でシュート決定率18%以上を記録しているのに対しイスマイラの決定率は半分以下の8%なのはいくら二桁得点をしているとはいえ流石に反省してほしい。特にGKとの1対1は尽く決められなかった。それでも昨シーズンに比べればよっぽど守備するようになったし、ポストワークやプレスバックからのボール奪取で攻撃の攻撃の起点となったりチーム戦術にしっかり組み込めるようになったのは大きな進歩。特に3-4-2-1システム採用後は1トップとして高さ、スピード、シュート力で相手の脅威となり続けることで囮役をこなせるようになったのは非常に大きな要素だった。イスマイラに相手が引きつけられることで出来たスペース、時間を使って2シャドーの田村とトカチがゴールを量産できたのは間違いない。あと何気にリーグ最多の6ゴールをヘディングでとってるヘッドの強さも素晴らしい。シュート精度の向上は最優先課題だが、何より来シーズンは我慢がテーマとなる。相手最終ラインとの駆け引きや、自身が相手を引きつけることで味方にチャンスを供給するプレーを受け入れコンタクトを嫌がらない事、そうした我慢が出来るようになればもっと上のレベルでやれる選手になれるはずだ。他からの引き抜きの可能性はあるけど、正直福島はイスマイラ以外CFがいないから結果としてイスマイラの出場時間が長くなっただけなのも考慮しないといけないので他のクラブに行くとそこまで活躍しないような気も・・・

11番 雪江 悠人 33試合出場 1得点 1アシスト
FWとして勝負するために背番号を変え、強い気持ちを持って臨んだシーズンだったが開幕からまさかのCBへコンバート。たまにSBやSHもやったけど一貫してCBでレギュラー起用された。昨シーズンから持ち味だったとにかく身体を張る、上背の割に空中戦に強い、圧倒的スピードといったポイントはCBとして非常に有効に機能した。スピードを活かして高速アタッカーを封殺し、多少無理な体勢でもボールを跳ね返せる競り合いの強さでストッパーとして十分な活躍を見せた。アタッキングでは技術不足を感じさせた足下の技術も後ろからのビルドアップでは逆にそこらのCBより上手いくらいに機能。結論からいえばコンバートは成功だったが監督が変わる来シーズンはどうなるか。流れの中での飛び出しとかは可能性を感じるし、前線で勝負してほしいと個人的には思うが。

15番 賀澤 陽友 出場なし
高卒ルーキーはベンチ入りは経験したが出場はかなわず。怖いもの知らずな仕掛けと果敢なシュートは練習でも見せてたけど、フィジカルやプレースピードの面でプロの洗礼を受ける形になってしまったか。といってもまだ高卒1年目なので来シーズンに期待したい。

20番 トカチ 32試合出場 7得点 3アシスト
レバークーゼンユース出身のトルコ系ドイツ人とかいうマニアが涎を垂らしそうな経歴を引っさげて湘南からレンタル加入。前半戦はサイドハーフで、3-4-2-1導入後は2シャドーの一角として常に出場機会を得た。欧州基準のフィジカルと馬力のあるドリブルとパンチ力のある強烈なシュートを武器に、終盤戦はイスマイラ、田村と共に攻撃の中核となった。結構ボールを持ってから考えちゃったり足元でもらいたがったりでプレーテンポに難があったけどゴールもアシストもできるキック精度の高さと、球際で見せる闘志とゴールへの執念は素晴らしいものがあった。右足で2点、左足で3点、頭で2点と右利きながら形を問わずに点を取れるのが持ち味で、特にチャンスとみれば利き足に持ち替えることなく迷わず左でもシュートにいくのが最大の強味だったのではないか。最終節讃岐戦で見せたように左でも高精度のシュートが打てるし、23節長野戦のように右足も二アを打ち抜ける精度があるので間違いなくストライカーの大器。来シーズンはレンタルバックとなりそうだがJ2以上で更なる経験を積んでほしい。何気に20でここまでやれるのもすごいと思うのよね。

40番 樋口 寛規 24試合出場 2得点 3アシスト
昨シーズンに引き続きボランチをやったりしつつトップやシャドーもやったりしたしWBにもコンバートされたがどこでも可もなく不可もなくなプレー。終盤は負傷で離脱となってしまった。フィジカルを活かしたキープや攻守の運動量は地味ながら欠かせない存在だったけど決定的な仕事が少なかったのも事実。2ゴールはどちらも点取り屋らしい上手さを見せたゴールだったけどシーズン通して見れば若干点の取り方を忘れてるような感じもあった。何気にプレースキックは一番うまかった。監督が変わる来シーズンも便利屋みたいな使い方されそうだけど、個人的にはそろそろCFに固定して使ってあげてほしいんだけどなあ・・・ピッチ外では農業部長としての精力的な活動に加えてカレー部長としても玉ねぎとの対話を披露。ピッチ外ではクラブ活動の根幹を担ってくれてるのでピッチ内でもっと活躍してほしい。

以上今シーズンの選手評でした。監督も決まらない年越しになりそうですが来年も頑張りましょう。今シーズンは各所で言われているように3-4-2-1システム採用とGK渡辺健太の起用がターニングポイントでした。各選手のタスクの分散と明確化が成された3-4-2-1は選手の動きも意思統一もよくできていたと思います。特に1トップ2シャドーのイスマイラ、田村、トカチの攻撃ユニットは最高に面白かった。選手は変わりますけど来シーズンも楽しく観戦していきたいと思います。

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