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第八夜・都会では自殺する若者が増えている

展示開会式に上演する作品についてを書きます。「暗黒御伽噺-C-」という演目です。2009年3月が初演の作品。

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この作品は、因縁深い演目でありSAIでは形を変えて何度も上演している演目であります。しかし初演に近い形で再演をしたのは今年の4月がはじめて。その時はライヴイベントでの上演でした。ドラムもあり全体の音のレベルが強くてそのため、叙情感より熱量の方が強い演出にならざるを得ず、終了したその時から「叙情性を持ったアトリエ版もやりたい。必ずやろう。」という話をしていたのですが、今回上演するのはそのバージョンです。しかし展示開会式でまさかやる事になるとは。

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出演者に関しては、ゲストに小林機械が登場。常盤と二人で作品の中心的な部分を担ってくれます。SAIの歴史的にも、小林は2012年以降関わりがあり、「イト」シリーズをはじめ様々な作品に出演してきてくれました。

作品については、誰もが通る少年期・少女期の絶望を題材にし自分って何だろう?生きるって何だろう?と、アイデンティティを模索する少女が少年と出会い対話をする、詩的で哲学的な雰囲気を持った作品です。

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この作品は2009年当時。
倉垣と当時のメンバーであった本田良とで「2人でぶつかり合える作品をやろう」という話から生まれました。2007年の夏の路上ツアーで、「ROMANTIC+GROTESQUE」を上演以降、2人が密に絡み合う作品はなかった。今の自分たちを出す作品を、ということで描いた記憶と、

当時、自分がいろんな人との別れを経験し去りゆく者と残された者の感情を詩にして残し、それらが融合した結果、妙に詩的な台詞が多いというのはあります。

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路上演劇時代SAIは「パンク演劇」と呼ばれていました。そのイメージについて思う事があったようで当時のブログにこんな想いを綴っていました。


『演劇』に対するイメージや固定概念、それに反発し、変えたくて、ずっと反抗し続けてきた僕ら。
『演劇』は観るのもやるのも面白いもんだ。
だがただの娯楽やエンターテイメントじゃない。
そこに"毒"があるから『演劇』なんだ。
そしてその放たれた"毒"は何かを変える力になる。
大きくなくても、少量の"毒"でもそれは劇的な効果をもたらすことだってあるんだ。
『演劇』は文字通り『劇薬』だ。
そしてそのことを忘れて、
テレビの真似事や
お笑いをなぞる事や
更に言えば"毒"にも"薬"にもならない"お菓子"みたいなもんやらだけの
甘ったるいもんを作って、
一体何になるというんだ。
僕らが"SAI"がパンクと呼ばれるのは常にそうした何かと戦ってるからじゃないのか、自分ではそう信じてるし、実際パンクの精神論は自分の礎でもある。
舞台上での僕らはみっともなくあがき、もがき、のたうち、叫ぶだけだ。
だけどそこに何かを見出して観に来てくれる人たちがいる。
元気が出たと言ってくれる人がいる。

別にそうするつもりで自分たちはやってはいない。
でも、観た人の中で、1%でも何かが弾けて変わったならば、板の上であがく僕らに意味があるということになる。


今回もまた僕らはあがく。戦う。
壊せるまで、演り続ける。
精一杯とか、努力とか、それは格好悪いことじゃないから。
一番格好悪いのは口だけでろくになにもしないで惰眠と食欲に溺れることだから生気に塗れることだから。


『パンク演劇』

大いにけっこうです。


これは今も変わらない部分だし、最近だと〇〇アングラとか呼ばれたりもするので、呼び方やラベリングはしたい人がしてくれたらそれでいいと思ってます。この作品自体、10年ぶりに取り組んだ演目でもあるし、当時の自分が出来なかったことをやるのが今回のテーマ。一日だけの上演ですので是非ともお見逃しなく。

チケット受付中→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01164510hvygi.html

次回へ続く。

展示の詳細は下記より。
https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/deathrebirth/

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