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第九夜・再生術と加害者/被害者について。

1931年昭和6年9月18日。
満州事変が起きた日である。

満州事変は学校教育で習うと思うけど、この日は中国では空襲警報が鳴り黙祷を捧げる。

満州事変は日本が起こした事件である。(詳細はこちらをどうぞ。)
満州での軍事展開と占有を目的に、日本軍が線路を爆破しそれを中国軍による犯行と声明した事件だ。その結果日中戦争へと発展した。

日本側はこの一連に関しては「加害者」であり、中国側は「被害者」である。「加害者」側である日本では9.18の事は殆ど取り上げられない。広島・長崎のように「被害者」側である日のみ、繰り返し繰り返し忘れてはいけないとされる。

争いには必ず「加害者」と「被害者」の関係があり、報復を行えば争いに発展する。個人間でも上記関係に基づき裁判という代理戦争を行う事が出来る。

「忘れない」ということは「繰り返さない、繰り返してはいけない」ということでそれは祈りであり誓いだと私は考えています。

日本は第二次世界大戦時の被害者ではなく戦火を拡大させた「加害者」であり敗戦国です。原爆「被害者」ではあっても、戦争「被害者」ではないと考えます。報復として受けた傷である事を忘れてはいけない。何のために憲法第九条があるのかを忘れてはいけないのではないでしょうか。

そしてこの一連には「父性性」が絡んでいると考えています。



さて、今日は何の話かというと展示の最終に上演する「再生術」のお話です。

この作品は「親と子」を題材にした演目です。
この親子というのは作家自身の実体験を基にしたドキュメンタリー作品です。

上演においては一部フィクションを交えますが基本的には全て事実を基にします。

倉垣は「親=加害者」「子=被害者」であると考えており、この螺旋は子が親になった瞬間から延々と繰り返されていく螺旋と考えています。
加害/被害という言葉はセンセーショナルに聞こえますが、これは例えばキリスト教の考えである「原罪」と同じ理屈で捉えています。

子づくりは偶然性の高いものです。
どれだけ計算したり狙ったりしても子供に恵まれない時は恵まれないし、またワンナイトラブだろうと恋愛関係がない性交渉であろうとデキる時は出来てしまいます。
責任を取るというのは
親になる=加害者になる。という事実を受け止めた後の行動であり、被害者から加害者へと転身する瞬間です。
特に妊娠・出産を伴わない男親に関しては「父性の出現と獲得」を経て、加害者にならなければなりません。

被害者である子供は誕生を選べず、親も環境も選べず、生まれたその後の生き方も多くは選べない(親の影響を受けざるを得ない)のです。
生まれながらに被害者として生を受け、たとえば社会に出て(保育園、幼稚園、小学校など)周囲の被害者たち(子供たち)と自分を比較するまで自分が特殊である事に気がつかないケースが殆どです。


この親子の因果を、「加害者と被害者」という物差しで見つめていくと、世界で起きている争いの全ても根本には同じ物差しが働いている事に気づきます。そして憎しみあえば争いが生まれ、認め許し合えば共存が出来るかもしれないというところまで、親子関係と似てると考えています。(国と国民も親子だと言えます。)
責任を取らない親・・・父性性を放棄した加害者や、母性性を放棄した加害者の増加の原因には、加害者の中に被害者意識が強く存在しより深刻な負の連鎖が続くという側面もあります。

お前さえ生まれてこなければ、お前がいなければ(父性/母性の放棄)
俺も/私も、両親には厳しくされたからお前にもそうする(被害者意識による責任転嫁)などなど。


倉垣の家庭環境は、連綿と続く加害/被害の螺旋の中にありました。
私の祖父は僕の代でその螺旋を終わらせたいと言っていたそうです。
私は考えました。
それはどうやれば終わらせられるのだろうか??


倉垣個人の話を、簡単に説明していきます。


私の父は三度離婚しています。
私は初婚時に生まれた息子でありますが、その後一歳になる頃には父が離婚し、祖母と叔母に一旦預けられます。
その後、父が再婚する度に一度は父の下に戻るのですが、私はその継母たちから物理的・性的なネグレクトを受けていきます。その事実を知った祖父母が私を引き取り、先述の家族構成である「祖母・叔母・自分」になりその後上京するまでの約18年を共に過ごすようになります。

「何で自分だけ」
「仕方がない、これがぼくの普通」
「どうしていないの」
「ゆるせない」

いろんな感情を抱えたまま成長していった私は、日本舞踊をやっていた祖父の影響もあり、芸道を志すようになります。

その後、演劇をやるようになる中で、自分の中のマイナスな感情や闇と向き合う事、利用する事、ある時は逃げ場所として演劇を使い、その後の青年期を生きてきました。

被害者である私は、加害者に与えられたトラウマから逃げ出すために、劇団を作ります。(勿論そんな理由ではないのですが、子供をつくる理由は子供には関係がないのです。)
この時点で私もまた加害者となり、その子=劇団がどう思っているかなんておかまいなく、私のやりたい事や思う事をぶつけていきました。

人は誰かの影響を受けた時、自分が影響を与える立場になった時に2択で行動します。
①された事と同じ事をする。
②された事と違う事をする。

(倉垣の育て親たる、祖母と叔母は②でしたし、特に叔母は自分が酷い事をされた事から私に同じような思いをさせたくないと育てました。)

子が親になる時、
後輩が先輩になる時、
自分が誰かを導く立場になった瞬間からこの連鎖がはじまります。

私は、劇団を続けて15年の中で、子=劇団に対して自分がされた事をしてきたのではないかという疑念があります。
私は子に対して対等ではないなと。いや対等であろうとするのはおこがましい、向き合えていないと言った方が正しい。
だから一度、もう15歳というのはある程度話が分かるだろうから、私自身の半生を基にした作品を作り、親が子に歩み寄る試みをしてみようと考えたのです。


「再生術」は自伝です。
「再生」には、関係性の修復や修繕、または見つめ直すというメッセージを込めています。
また今作は旗揚げの演目であった「KNIGHT OF GOLD」と同じテーマを持つ作品であります。
マクロにした世界観から何か1%でも感じられるものがあれば・・・と祈りを込めて、この15周年の幕開けである展示の最後、終わりの始まりを飾ります。

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10/5[土]10/6[日]最終展示舞台作品
【再生術】
出演:舞台芸術創造機関SAI
ゲスト:こもだまり(昭和精吾事務所)
・17:00受付/18:00開演
・上演時間約30分
・映像と即興。父がいなくなった家族の、残された人生の一幕。作家自身の自伝的作品。

来場予約に御協力下さい→https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/ticket/
※会場内大変狭いため、お手数ですが10/5.6の特別展示上演についてはご予約お願いいたします。


■会場■
【江古田兎亭B2アトリエ・サードプレイズ】
東京都練馬区旭丘1-46-12エイケツビルB2
●西武池袋線「江古田駅」より徒歩約7分
●都営地下鉄大江戸線「新江古田駅」より徒歩約15分


■チケット■
入場券で上演までセットとなっております。「再生術」観劇希望の方は入場券をお求め下さい。

【通常入場券】
前売 1000円(「死の表象」「再生術」共通価格)
当日 1500円(「死の表象」「再生術」共通価格)


【パンフレット付】
前売 3500円(作品パンフレット1冊、入場券2枚)

【フリーパス】
前売 6000円(作品パンフレット1冊、催事を含む全日程閲覧可能。)

●入場券購入→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01164510hvygi.html
●予約→https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/ticket/

[su_heading size="12" align="left"]場内に関して[/su_heading]

・地下二階は履物を脱いで入場いただきます。
・場内撮影は可能です。
・場内での飲食に関しては可能です。お持込飲食はお断りさせていただく場合がございます。
・平日12-18はB1兎亭でのカフェ、B2では終日飲物の販売も行っております。
チケット受付中→https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01164510hvygi.html

次回へ続く。

展示の詳細は下記より。
https://stageguide.kuragaki-sai.com/guide/deathrebirth/

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倉垣吉宏

舞台芸術創造機関SAIのという劇団の主宰。ほぼ全公演の劇作・演出を担当。 俳優酒場「月光密造舎」「SAI BAR」を運営。2017年より東京江古田にあるアトリエ・サードプレイズを管理しています。演劇を使った交流と交錯の思考実験・備忘録として書いています。

舞台芸術創造機関SAI展「死の表象と再生術」製作日誌

15周年年記念回顧展並び生前葬開催決定 上演は死と再生の繰り返し 泡沫の夢である舞台演劇の“死”を弊劇団の歴史を使い表象し、そして死から次なる命の創造を試みる2週間連続の企画展示。 舞台芸術創造機関SAI展 【死の表象と再生術】 期間2019年9月23日[月祝]-10月6...
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