僕がなぜ文一から計数工学科に進学したのか?後編

こんにちは、佐藤寛司です。前回に進振りの話を書こうと思ったら意外と長くなってしまったのでその続編を書きます。

前回までで、一年の夏休み直前の状況まで書いたと思います。夏休み直前で司法予備試験に合格することによるエリート街道に魅力を感じ、本来の文一生らしく法学部を目指し始めました。

夏休み中に予備試験について調べたところ、伊藤塾という塾に通って勉強することが主流だとわかりました。独学で合格するのはかなり難しく一部の人間にしかできないようだったので、塾に行くお金のない僕はダメ元でやってみるかくらいの気持ちでいました。

さらに、もし予備試験に落ちても、法科大学院に進んで司法試験に合格する道もあり、公務員試験に法律の知識が生きることもあるのでやって損はないだろうと思いました。そこで夏休みの間に民法の入門書やら刑法の基本書を読んだりしました。

夏休み中は、自分の進路の可能性を減らしたくなかったので、法律以外にも数学とか中国語とかの勉強もしていましたが、その中で気付いたことは、自分は法律の勉強が好きではないということでした。そもそも予備試験に受かればお金になるという以外のモチベーションはなかったので、特段法科大学院に進む理由もなく、安定的低収入の公務員になるメリットもありませんでした。

大学受験では、世界史が得意だったので法律もそのときの暗記法を応用すれば決して向いていない訳ではなかったようにも思いますが、法律家は僕の天職ではなかったようです。

貴重な大学の夏休みを無駄なことに使ったとは僕は思っていません。むしろ夏休みを通じて一つの選択肢を捨てることができたのです。何事も一度手を付けてみなければわからないことが多いと思います。実際、法律の勉強をかじって初めて向いていないことがわかりました。

ただ、完全に法学部への思いを断ち切ったのはAセメスター(秋学期のこと)の頃で、それまでは多少未練がましく勉強を続けていました。

次に僕が志望したのは初心に帰って経済学部でした。弁護士になるわけでも、公務員になるわけでもないなら民間に勤めるしかありません。そうすると、法学部よりも経済学部の方がコスパが良いからです。法学部で必死こいて勉強しても、就活で経済学部よりも優位になるわけでは無いそうです。しかも経済学部は単位がとりやすく、卒業しやすいことで有名です。

そうして、経済学部に入って普通に就活して普通に会社員として歩もうと決心しました。Aセメスターの間はインターンや企業を調べたりして、なんとなく就活の準備を始めようとしていました。

また、試しに2年生の受けているミクロ経済学に潜ってみたりしました。これが意外にうまくはまり、大した難なくミクロ経済学を理解できてしまいました。法律と違って、経済学に向いていそうだということもわかり、統計・金融・経営など自分の興味ある分野も勉強できそうだったので経済学部への期待がさらに高まりました。

しかし、自分が普通の就活をして好まれるようなタイプの人間ではないような気がしてきて、またその他大勢と同じような人生を歩んで良いのかという気持ちも頭をもたげてきました。いくらでも代わりの利きそうなデスクワークを続けて、ちょっと不景気になったからといって首を切られてはたまったもんじゃありません。

そこでまず考えたのが、経済学部卒業後に大学院に進み、知識の差をつけることでした。自分が面接受けしない人間だった場合でも、専門知識さえあればそれなりにやっていけるだろうと思った分野が金融でした。統計とか金融工学とか数理ファイナンスとかそうした分野の興味もあったので、大学院での勉強を通じて、金融関連の資格を取ろうと思っていました。

経営学への興味もあったので、そっち系の院に行くことも一時期考えていましたが、その時は金融系を先行しようと思っていました。

そこで問題になってくるのが数学です。金融業界では高度な数学的知識が必要とされるようでした。すると経済学部よりも数学をガツガツやる工学部の方が適していそうです。実際、工学部から経済の院に進む人も多いらしく、僕はそういう人達に数学面で遅れをとるだろうなあと思いました。そこで数学をガッツリ勉強できそうな工学部の学科を探すことにしました。

そこで再び出会ったのが計数工学科でした。計数工学科の数理情報コースはおそらく理数に次ぐほど数学をしっかりやる学科のようだったのでここなら安心だと思いました。カリキュラムを見ていると、なぜだか将来の仕事とかを不安に思いながら勉強するのがアホらしくなってきて、好きな数学を勉強して大学を楽しみたいという気持ちも出てきました。

そうして、経済学部を諦めることにしました。

その後しばらくは経済と計数を行ったり来たり迷っていました。

実際、最初に進学選択の志望登録をしたときは経済学部金融学科に出願していました。

それでもご存じの通り(?)、最終的には計数工学科を選択しました。

決め手になったのは学科の雰囲気だったと思います。経済学部は就活とかインターンとかの活動は盛んなようですが、勉強する雰囲気は全体としてはあまりないように感じました。一方、計数は勉強が好きで、勉強の話で盛り上がれるような空気がありそうでした。

今まで書いたことは、全部勝手な想像なので怒らないでください。何ら信頼できるデータに基づいていません。とりあえず自分でググって後は雰囲気で決めました。将来なんていう予測不可能なものに対しては思い込みとかなんとなくの気持ちとかで決めるしかないときもあると思います。

結局誰にも自分の選択が最適なのかなんてわかりません。これからもわからないでしょう。それでも自分の選択に満足することはできるはずです。色々調べてうんうん考えて後は勢いで決める。進んだ後は「ああしてればこうしてれば」ということは考えずに、進んだ先でやれるだけやってみれば良いと思っています。これが駒場の生活で僕なりに出した結論です。

駒場ではサークルに入らず、授業に出て時々バイトに行って特に用事がなければ真っ直ぐ帰っていました。端から見たら人生楽しくなさそうな暇人です。それでもその有り余る時間こそが、進路含め色んなことを考える最高の資源だったと思っています。暇すぎるくらいがちょうどいいです。

そんな駒場での生活に感謝をこめつつ、締めくくりとさせていただきます。最後まで読んでくださってありがとうございました。

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