十月十日

 十五夜から1週間が過ぎ、下弦の月になりました。月のことを考えていたとき、ヒトの月経周期が、28日前後なのは月の満ち欠けと関係しているという話が頭をよぎりました。それだったら、哺乳類は全部同じになるはずなのに多分そうじゃないんだろうなと想像しました。
 海の生き物では、サンゴ、クサフグ、アカガニの産卵が、月の朔望と関連しているのは、海の満ち干とタイミングを合わせるためで理にかなっていますけど。

 周期の前に、月経という現象が、哺乳類のなかでもまれな現象であることがわかりました。
https://www.nikkei-science.com/201911_090.html(日経サイエンス  2019年11月号)
 雌が周期的に出血する「月経」があるのは,ヒトのほかはチンパンジー,コウモリ,ハネジネズミなど一部の動物だけだ。大部分の哺乳類は発情することで生殖可能のシグナルを出し,発情期の終わりに子宮内膜を吸収している。出血には明らかな不利益がある。ヒトはなぜこのような仕組みを進化させたのだろうか。それは,人類の歴史において女性が生涯にわたって経験してきた月経の回数が,今よりずっと少なかったことと関係がありそうだ。

 性周期(または発情周期ともいう)は、交尾がなく,もちろん受精も成立していないようなときに繰り返される周期のことですが、大きく3つのタイプがあるようです。

 最も多いのが、完全性周期型で、自然排卵後、性交刺激の有無にかかわらず、黄体が形成され、子宮粘膜が肥厚します。このとき受精着床がないときに、子宮粘膜が元に戻るときに、吸収するものと、まれな月経を生じるものがあるということです。

 不完全周期型は、性交刺激がないとき、自然排卵後、黄体が機能せず、子宮が変化しないもので、当然月経はおきません。

 もうひとつは、交尾排卵動物と呼ばれ,交尾のない限り排卵は起こらない.ものです。
それぞれの性周期を持つ動物の一例です。
完全性周期 ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ウマ、モルモット
不完全性周期 ラット、マウス、ハムスター、
反射排卵動物 ウサギ、ネコ、フェレット、ラクダ、ジャコウネズミ

動物における発情周期
 ヒトの発情周期は、月経周期28日間。,ウサギでは,常に発情状態にあり,交尾があれば常に排卵可能である。動物の多くは、1回繁殖期が訪れる度に、複数の発情を周期的に繰り返し示す。ネコでは2週間、ウシやウマ、ヒツジなどでは2.5~3週間の長さの周期である。ただし、シカやオオカミ、アルマジロなどは例外で、発情は繁殖期に1回のみである。
 というように、28日なのはたまたまなんじゃないでしょうかね。

 性周期と似た、聞きなれない言葉に生殖周期というのがあり、哺乳類の完全生殖周期は 、卵胞発育、排卵、妊娠、泌乳と連なる一連の現象の繰り返しのことで,妊娠相と泌乳相が加わっていることが,他の脊椎動物と異なる部分である。このなかで卵胞発育、排卵、妊娠が妊娠期間になるが、ヒトの妊娠期間は十月十日といわれているが、その真相をしらべてみた。

 動物の妊娠期間で長いものは、ゾウ650日、キリンは460日がある。
寿命、体重や子の数と関係は以下のようにいわれている。 
https://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/tokusyu/iryo/hdr/201001-7111.html

 月経周期が規則的で28日ならば、妊娠期間は受精日(受胎)から平均266日間(38週間)、最終月経開始日から280日間(40週間)で出産予定日になります。妊娠した女性のうち出産予定日の当日に出産する割合は10%以下にすぎませんが、予定日の前後1週間以内に50%が、前後2週間以内に約90%が出産します。

 日本でもかつては受精後胎齢を用いて、受胎から出産までを俗に「十月十日(とつきとおか)」と言い習わしてきた。受胎日から起算すると妊娠期間は約266日。9か月弱ということになります。

 それが十月十日になったのは、縁起担ぎと考えられています。「十」には「すべて、完全」の意味もあります。それを2つ重ねることで、元気な子どもの誕生と妊婦の無事を願ったのでしょう。

 その他には、妊娠は後になってわかるので、最後の生理の初日を基準にすると、出産の予定日は14日+266日=280日目になる。妊娠期間を表わした十月十日は、10か月と10日ではなく、10か月目の10日を意味する。30日×9か月+10日とすると280日になる。というのもありますが、この計算法は比較的新しいのでどうなんでしょうね。

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