第1回 はに丸タワーを愛で、つくる(半田カメラ)

タワーが好きです。

どうしようもなく好きで好きで夜も眠れない、というわけではないけれど、旅先にあったら観に行きたいし、のぼりたい。レストランのメニューにカレーがあったらつい注文してしまう。そんな感覚で好き、と言えば少しご理解いただけるでしょうか。

ここで言う「タワー」とは、展望や観光を目的とする塔のことです。個人的には高いもの全般が好きですが、タワーはその目的から誰でも行けて、のぼれる。「外から愛でて良し、のぼってまた良し」と二重に楽しめます。

「外から愛でる」と表現しましたが、タワーを愛でるとは?と疑問に思った方もいるでしょう。建築家の先生が講義で「タワーのこの構造が美しい!」と力説するような専門的な愛で方ではありません。どちらかと言えば、単純に可愛いから愛でる。面白いから行ってみる。今回ご紹介するのはそんな風にシンプルに楽しめる、愛でる系タワー日本代表です。

偕楽園と水戸納豆で有名な茨城県水戸市。水戸インターから車で10分ほどの場所に「くれふしの里古墳公園」はあります。その名のとおり、この辺一帯は県内でも有数の古墳密集地域で、公園は修復された16基の古墳によって構成されています。

一見すると子供たちが元気に走り回る普通の公園ですが、よく見ればあちこちに古墳を連想させるモチーフが隠れています。何やら土器のような謎の遊具があったり、手洗い場が形象埴輪(動物をあらわした埴輪)だったり。特に面白いのは休憩スペース。屋根がさりげなく…いや、明らかに確信犯的に前方後円墳をかたどっていて、制作者のこだわりと古墳愛を感じます。

そんな古墳愛あふれる古墳公園のシンボルとして、公園奥のひらけた場所に建っているのが今回の主役。駐車場からつづく道を進むと、木々の隙間に最初に見えるのは、その後ろ姿です。単なる無機質なグレーの建造物に見えますが、側面に輪っかのようなものが付いているのが気にかかります。表に回り込んでみると、ラスボス登場!とでもいうように、愛でる系タワー日本代表がその全貌をあらわします。

ご紹介しましょう、私がタワー界最強の癒し系として推す、くれふしの里古墳公園のモニュメント、はに丸タワーです!

高さ17.3メートルあるタワーに「カワイイ」という形容は本来ならば適さないかもしれません。ですが、はに丸タワーを「カワイイ」なしで表現することができるでしょうか。いや、私にはできません。

「えっへん」とでも言っていそうな、ポージングが微妙に左右非対称に見え、それがユルキャラ感をかもし出しています。ですがこれは杉崎地区の古墳群から出土した埴輪を基に作られているので、基になった埴輪を忠実に再現してこうなったのではないかと推測されます。

なんにせよ理屈抜きでカワイイ。放たれる癒し系オーラが見えるようです。(たまたま雲が放射線状になっているせいもありますが)

ただ単に外観がカワイイというだけではありません。はに丸タワーはタワーですから、冒頭で書いたようにのぼって展望を楽しめます。表の可愛さとは対照的な裏側の階段をのぼれば、下からでは認識しづらい前方後円墳を上から観ることができます。はに丸タワーはデザイン性のみならず、実は機能性も兼ね備えているのです。

私は心が疲れたとき「はに丸タワーに会いたい」と思うほどに、このタワーに癒されていて、個人的に強烈に推していますが、残念ながら一般的にはそうでもないようです。水戸市の公式ゆるキャラになって欲しい!グッズも作って欲しい!と熱望していますが、そうした話は耳に入ってきません。

「ないならば作ってしまおう!」ということで、はに丸タワーを自ら作ってしまいました。その名も「はに丸タワーペットボトルホルダー」です。

まずは、アバウトな設計図を作成します。だいたいこんな感じ。

それにしたがって材料を切り、それらを縫い合わせて…

はに丸タワーペットボトルホルダーの完成!
ですが、何かが足りない…しばし考え、気付きました。背後のギャップある階段部分が足りないということを。そうです、このままでは単なる「はに丸くん」です。階段部分をつけることではじめて「はに丸くん」「はに丸タワー」になるのです。のぼれないとタワーじゃないんです。

階段部分を縫い付け完成した「はに丸タワーペットボトルホルダー完全版」を持って、いざ!くれふしの里古墳公園へ。

残念ながら体のラインが滑らかにカーブしているところは、うまく再現できませんでしたが、我ながら可愛くできました。水戸市で商品化してくれないでしょうか。

ちなみに後から付けた階段部分はバナナホルダーにしました。なんとなくバナナだったらカワイイと思っただけで、深い意味はありません。バナナ以外を入れても可です。最終的にはストラップも付けてみました。これでお出かけの時もいつでも一緒です。

元々は小さな埴輪を模して大きなタワーを作ったわけですが、それをまた小さなグッズにするという…この行為を何と表現すべきなのでしょう。ただハッキリしているのは、私は埴輪グッズが欲しいのではなく、可愛いタワーをグッズにしたいということ。

こうして作ってみて、たいていのタワーはペットボトルホルダーになるのではないかと思いました。そう言えば、大阪の通天閣に行ったときに、通天閣型のペットボトルに入った「通天閣乃水」という商品を購入したのを思い出しました。調べてみると、東京タワー型のペットボトルもありました。私だけではなく、すでに多くの人がタワーのペットボトル化は可愛いと気付いていたようです。今後ともタワーを追いかけ、愛でつつ、勝手にグッズ化も検討していきたいと思います。

では、また次の巨なるものでお会いしましょう。


プロフィール

半田カメラ

大仏写真家。フリーカメラマンとして雑誌やWeb撮影の傍ら、大好きな大仏さまを求め西へ東へ。現在まで300尊をこえる大仏さまを撮影。「巨」なるものが好き。穴も好き。『夢みる巨大仏 東日本の大仏たち』(書肆侃侃房)が発売中!

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書肆侃侃房

半田カメラ「大きいことはいいことだ!」

「大きい」というのはただそれだけで周囲を圧倒するパワーを持っていると思います。巨大な何者かがぬっと木々の隙間から現れた瞬間。その真下に入り上を仰ぎ見た瞬間。そんな瞬間の何とも言えない感覚が、私をまた次の「巨」へと誘います。 このマガジンでは、タワーや展望台、モニュメント、地...
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