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五城目町 縄文土器と、ベンチャーの町 1/2

10月中旬の週末、台風が過ぎ去ったあとで訪れたのは、秋田県の中心部にある五城目町。
伊丹から秋田までのプロペラの飛行機は相変わらず小さくて、ちょっと不安になる。

五城目町でのプログラムのテーマは、”寒空の下で アートする”。今回は、縄文土器を作ったり、12月に五城目町の4つの地区が合同でやる外灯イルミネーションの準備をするらしい。
五城目町はとにかく歴史があるところらしくて、昔は林業や交易地点として栄えてた場所らしい。酒蔵なんて昔は3つもあったらしく、今残ってる酒蔵のお酒はANAの国際線のファーストクラスで提供されてたこともあるらしい。
数年前から移住者が増えてて、教育ベンチャーをやってる人とか、自分で起業してフリーランスで働いてる人が多いって聞いたけど、空港から見える景色はやはり山と田んぼばっかで事前情報と全然マッチしない。

町に着いてみると、思ったよりも寒くなくて、とりあえずみんな昼食のために自由行動。小さな町なんだけど、中心部は思ったよりもご飯屋さんが多かった。食堂みたいなところから懐石料理屋みたいなところまでいろいろあって困ってたら、五城目に住んでるっていうカメラマンの兄ちゃんに案内されて、大黒屋っていうお店に。
大黒屋は中華風の定食屋さんで、親父さんがひたすら寡黙に飯を出す店。全席カウンター、謎の緊張感。あとビールが無い、これには困った(笑)

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鶏飯(ケイハン)っていう野菜たっぷりの雑炊に、追加で餃子を頼んで腹ごしらえ。シンプルに美味い。ちなみに豚肉入りは豚飯(トンハン)らしい。
ご飯食べ終わって外に出ると、すぐ隣の食堂でご飯を食べたメンバーもちょうど出てきた。天ぷら中華っていって、ラーメンの上に天かすを乗せたやつが、ここらへんの懐かしい味らしいく、あっちもあっちで美味しかったみたい。

しかしビールがなくて困ったんで、さらに隣の酒屋さんででビールを調達。と思ったら、この酒屋のおっちゃんがまた面白い人で、こっちが大阪からのきたと知ると、ひたすら話してひたすらボケ倒してくる。もともと五城目の人らしいけど、大阪に住んでたことがあるらしい。

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まっ昼間だったけど、このおっちゃん絶対酔ってると思うくらい饒舌。まさかこれが五城目町民のスタンダードなんやろうか…

昼飯が済んだら、町のじいちゃんに五城目の歴史を教えてもらって、そっから車で五城目のシンボルっていう小さな山に登った。
森山っていう小さな山なんやけど、町のどこからでも見える場所にあって、しかもめちゃくちゃ見晴らしがいい。男鹿半島も見えるし、大潟村って干拓された湖の跡もはっきり見える。山形県との県境にある鳥海山も遠くにぼんやり見えた。案内してくれたじいちゃんが言ってたのは、森山から鳥海山が見えたときは、翌日雨が降るんやって。なんでかは知らんけど、昔からそう言われたんだと。実際、次の日には雨が降った。



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森山から町の様子を見たあとは、”ものかたり”っていうギャラリーを営む小熊さんに会った。
もともと五城目出身、京都造形芸術大学から直島で働いた後に、五城目に戻ってこられたそうで、そのギャラリースペースは昔からある蔵をリノベーションしていて、何重にもかさなる重厚な扉があったり、小熊さんが仕入れたたくさんの絵本があったり、五城目職人さんが作った製品がたくさんおいてあって、人口一万人にも満たない小さなまちにあるとは思えないほど、素敵なギャラリースペースだった。

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小熊さんのメインのお仕事はギャラリーとはまた別らしくて、秋田県立の美術大学の教育プログラムを企画したり、教育系のお仕事が多いらしい。
事前情報で聞いていた話は、小熊さんのような人なんだなーと。

その後は何故か芋掘りの助太刀(ただの手伝い?)をさせられて、山奥にある温泉で一段落。ちなみに五城目は温泉が3つもあるらしくて、全部お湯が違うんだって。
一日目に行ったのは湯の越の温泉、硫黄の香りが強いちょっと立派な温泉宿で、夜まで日帰り入浴できるらしい。
ちなみに二日目は赤倉温泉っていうところで、お湯はとろとろでめちゃくちゃいいんだけど、風呂場自体がめちゃくちゃ狭くて、おっさんで大渋滞になった(笑)

メンバーみんなで寝泊まりしたのは、シェアビレッジ町村っていうところ。築130年を超える茅葺きの古民家ですごい雰囲気。
シェアビレッジっていうのは、日本中に眠ってる古民家をそれぞれの拠点にして、都会に住む人が村民になる事で、好きなところに里帰りできるようにしようっていうプロジェクトで、五城目が記念すべき1つ目の拠点らしい。
昔から立派なお家だったんだけど、持ち主がお年寄りになって取り壊しまで検討してたときに、五城目に移住してきた人が一目惚れ。農家民宿として開けた場に変えて、五城目に住んでる人だけじゃなくみんなで維持していける構造を作ろう、っていうところから始まったのがシェアビレッジ。
会員は村民、年会費は年貢って呼ぶし、宿泊は里帰りって呼ぶし、建物に負けないくらい体験のデザインがしっかりしてる。確かにほんまに都会育ちの人間は田舎に親戚もおらんかもしれんし、自分が好きなところにいつでも里帰りできるってのはすごく面白い発想。家族で泊まりに来ても楽しいやろなぁ。

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一日目の晩御飯は、シェアビレッジの近所に住んでるけいこさんってお母さんに教わりながら、五城目の郷土料理のだまこ鍋っての作って食べた。
秋田の食っていったらきりたんぽ鍋を思い浮かべる人が多いと思うけど、だまこ鍋はご飯をボール状にしたもので、レシピはほとんどきりたんぽと一緒。
しかしあきたこまちの新米のポテンシャルはヤバかった。ましてやかまどの羽釜で炊いたご飯なんて滅多に食べる機会が無いから、蓋を開ける瞬間はテンション上がった。

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ちなみにシェアビレッジ町村で家守(やもり)をしている半田さんは家守の仕事が5年目で、やっとお米を思ったとおりに炊けるようになってきた、と。かまどの状態、薪の状態、お米の状態を考慮しながら炊きあがりのイメージに寄せていくのは結構難しいらしくて、コーヒーを淹れるのに近いような気がした。
結局食べて飲んで、参加したメンバーと日付が変わる頃まで話してた。立派な古民家の畳に布団を並べて、家族じゃない人らと川の字になって寝るのが結構新鮮な体験だった。それから2日間、親戚かっ!ていう状態が続く。


2日目以降は、またつぎの記事で。

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