たつたかんな│編集者

北海道暮らし、文章、時々写真。編集者/ライターです。大切にしているのは、「そのまま書く…

たつたかんな│編集者

北海道暮らし、文章、時々写真。編集者/ライターです。大切にしているのは、「そのまま書くこと」。〆切の合間を縫うように、編集のしごと、日々の生活で考えたことを書いています。 ✉🐦 Instagram:@kanna_pen Mail:tatsutakanna@gmail.com

最近の記事

  • 固定された記事

「もう聞かなくてもいい」と思った取材のこと。

編集者として、取材して記事を書く仕事を始めて5年半ほど経ちます。メインで携わっているのは、北海道の心豊かな暮らしを伝える季刊誌。おいしい野菜を育てる生産者さん、すてきな器や道具を生み出す作家さん、心がほっと温まるカフェや喫茶店を営む人たちを「取材」という形で訪ねては、本当にたくさんのお話を聞かせてもらってきました。 農家さんの家にお邪魔して夜まで過ごした一日、馬そりに乗せてもらった日、憧れだった喫茶店の扉を開いた日。今日はここに、この夏経験したある取材のことを書き残しておこ

    • 8年目の〆切もやっぱりてんてこまい

      日曜日の夜、原稿を書いていたら日付が変わっていた。その日は朝7時から1本目を書いて、途中で家事をしたりお昼寝したりして、まぁまぁ順調に進み、夕方から2本目をスタート。22時には眠ろうなんて思っていたのに、結局こんな時間なんて何かがおかしい。 そもそも、木曜日にはけりがついているはずだった。火曜日まではどうにかこうにか予定どおりに進められていたのに、水曜からずるずると遅れ始めた分が後に響いた。ふがいない。もう本当にふがいないです。 深夜まで原稿を書く羽目になったのは、日中に

      • ここ一年くらいの間に頼られる側になる機会がぐんと増えて、たくましくなったよねって言われたりもして、確かにそういう一面もあるだろうと思う。でも、そういう風になりたかったんだっけ、とも思う。これだけ大人になっても、本当の自分みたいなことに悩んじゃうなんて。紛れもなく春です。

        • きっと何度も思い出す、「非日常」な週末。

          ここ数日、ずっと頭がいっぱいで、気持ちもすっとせず、体調までぱっとしなかった。季節の変わり目とか気圧のせいだと思っていたけど、空と風が穏やかになっても戻らない。家で過ごす休日が大好きなのに、なんだかうまく過ごせない。 そんなときにふと、遠くへ行くのがいいかもと思った。地元でも、仕事先でもない、遠くのまちで過ごす休日を想像したら、気持ちがふわっとした。 誕生日があるし、ちょっと贅沢をしてもいい。コツコツ貯めていた旅行予約サイトのポイントもある。ホテル近くの映画館で、観たかっ

        • 固定された記事

        「もう聞かなくてもいい」と思った取材のこと。

        • 8年目の〆切もやっぱりてんてこまい

        • ここ一年くらいの間に頼られる側になる機会がぐんと増えて、たくましくなったよねって言われたりもして、確かにそういう一面もあるだろうと思う。でも、そういう風になりたかったんだっけ、とも思う。これだけ大人になっても、本当の自分みたいなことに悩んじゃうなんて。紛れもなく春です。

        • きっと何度も思い出す、「非日常」な週末。

          うれしさもよろこびもちゃんとあるけれど、実は低迷中。体調が優れなくて夜は本当に寝るだけの数日を過ごしたので、今日から一つずつ立て直していこうと決めた。朝は掃除機をかけるとか、夜は湯たんぽを用意するとか、そういう小さな生活のパーツを立て直すような、なんてないこと。

          うれしさもよろこびもちゃんとあるけれど、実は低迷中。体調が優れなくて夜は本当に寝るだけの数日を過ごしたので、今日から一つずつ立て直していこうと決めた。朝は掃除機をかけるとか、夜は湯たんぽを用意するとか、そういう小さな生活のパーツを立て直すような、なんてないこと。

          料理について、特別好きとかきらいとか思ったことなくやってきたけど、なかなか好きかもしれないと思う冬。上手じゃなくても好きでいていいよねと思えた冬。週末の作り置きでコツコツ暮らして、ちょっと残ったヨーグルトをカレーに入れて使い切れたときの、あの小さな充足感。今週末は何つくろうかな。

          料理について、特別好きとかきらいとか思ったことなくやってきたけど、なかなか好きかもしれないと思う冬。上手じゃなくても好きでいていいよねと思えた冬。週末の作り置きでコツコツ暮らして、ちょっと残ったヨーグルトをカレーに入れて使い切れたときの、あの小さな充足感。今週末は何つくろうかな。

          日常に還る

          悲しかった。なんて書き出してみたら、眉間にぎゅっと力が入って、瞼の奥がぎゅっとなる。ここではいつも素直な話をしていたい。悲しいだけの話はしたくないけど、なんとなくきれいにまとめたりもしたくない。 だから今、心の真ん中にあることは書けない。だけど今、自分のことばで何か書かないとたぶんぐずつく。そうならないために、書きたいと思う。 今から書くのは、いつも以上にとりとめのない、ひとりごとのようなお手紙です。 出がらしについて 冬の号の編集作業が終わりました。今は印刷工場に回

          七日分の、今日のできごと。

          今読んでいるのが日記形式の本だからか、締め切り前で毎日文章を書いているからか、連休でひとりで過ごす時間が長いからか、頭の中が書きたいあれこれであふれかえっている。思ったことが頭の中でどんどんどんどん文字になってしまう。料理をしていても、本を読んでいても、散歩をしていても。 文章にして外に出してあげられたらいいのだけど、今は締め切り前。生活の中であふれてくる文字たちを心に落として、テーマごとにまとめて、1000字程度の文章に仕立て上げるほどの時間的余裕がない。でも書きたい。こ

          七日分の、今日のできごと。

          〝じゃないほう〟の文章だったとしても。

          noteの編集画面を開いたときに、するすると言葉が出てくる日と、書いては消してを繰り返す日があります。今日は今のところ後者で、数十字書いては消して、また書いて…を何度か繰り返しているところです。 「今日は」というより、この頃は書いては消しての日のほうが圧倒的に多くなりました。下書きにいくつもの日記を溜めこんだまま、「noteを始めて5周年!」の通知をもらってしまいました。 ちょうど一年前、4周年の通知を受け取った私の言葉です。始めた頃は「自分の気持ちを書けるようになりたい

          〝じゃないほう〟の文章だったとしても。

          ふつうのクリスマスに願う、幸せのための小さな革命。

          クリスマスを目前に控えた週末の朝、台所でお湯を沸かしているとき、なんだか気持ちがふくふくしていることに気づく。パーティーの約束も、イルミネーションを見に行く予定もないのに、何かがうれしい。幸せが、静かにこみ上げてくる。 何かあったっけ。思いつくのは、心待ちにしていた冬至がやって来たとか、シュトレンの贈り物が届いたとか、原稿が順調に書けているとか、どれも特別過ぎない、ささやかなものばかり。でもどうやら、そういうものがいくつも集まって、私の気持ちはふくふくしているらしい。つまり

          ふつうのクリスマスに願う、幸せのための小さな革命。

          たまちゃんの背中

          2019年から定期的に、たまちゃんについて1000字程度の文章を書いています。書きたくなるのは、不思議といつも木々の葉っぱが落ちてから。今日は4回目の、手紙のような日記のような文章を書いてみようと思います。 5年ほど前に、「同じ会社の先輩と後輩」として出会った私たちですが、 たまちゃんのことを「後輩」だと思ったことはほとんどありません。 特に会社員時代はたまちゃんの背中を見ていたような感じで、時に背中を押すことはあっても、導くようにしてあげられたことはあまりない。友だちとも

          30回の旅、50本の原稿、700枚の写真。

          これは2023年の私が、車を走らせ、書いて、撮ったものたちを(大まかに、記憶の範囲内で)数で表してみたものです。 12月の始まり、ある作家さんとお茶していたときに、「今年みんな、どれくらいの数のものをつくったんだろうね」という話をしたのが頭に残っていて、振り返ってみたくなりました。 多いとか少ないとかは置いておいて、並べてみるとなんだかしみじみとした気持ちになりますね。飲んだコーヒー豆の種類とか、読んだ本の数とか、つくったお弁当の数とか、もっと記録しておけばよかったなとち

          30回の旅、50本の原稿、700枚の写真。

          出張は、ごほうび。

          ある日、移動つづきの日々について先輩と話していたとき、「でもなぁ、出張ってごほうびみたいなものだからなぁ」とうれしそうに言った。私はその言葉をずっと忘れられずにいました。 編集兼営業職として今の会社に入ってから、もう7年が経ちます。やっていることのすべてをきちんと説明するのは難しいけれど、「北海道中を駆け回って、集めてきた情報を編んみ、本をつくる」という仕事が今の私の活動軸です。 本の発行は、年に4回。それ以外に、ウェブの記事や自治体関連のパンフレットの編集などを担当して

          出張は、ごほうび。

          霜月、気持ちの冬じたく

          11月10日、北海道のあちこちのまちで初雪が降った。11月14日、早朝うっすらととてもきれいな雪が降って朝8時頃には雫になって、それから乾いた日がつづいた。11月24日、夕方から強い風と雪。翌日も一日たっぷり降って、まちはすっかり真っ白になった。 今年最初の雪かきをした。たぶん根雪になると思う。長い長い、冬がはじまった。 北海道の冬は、ものすごく長い。年を重ねるほど、春も夏も秋もあっという間に過ぎていくように感じるけれど、冬だけは別。3月の卒業式に雪が降ったりするし、4月

          霜月、気持ちの冬じたく

          後回しにし続けていた納戸と車の掃除をして、窓を開けて大豆を鞘から出す作業をして、部屋を温めるついでにストーブでカボチャとさつまいもを蒸したりした。非常食用にリュックに入れていた桃の缶詰めの賞味期限が切れていた。これは食べて、新しいものを買ってこよう。

          後回しにし続けていた納戸と車の掃除をして、窓を開けて大豆を鞘から出す作業をして、部屋を温めるついでにストーブでカボチャとさつまいもを蒸したりした。非常食用にリュックに入れていた桃の缶詰めの賞味期限が切れていた。これは食べて、新しいものを買ってこよう。

          モヤモヤは、時に愛しいもの。

          日記を書きたいと思うのは大抵、新しい気持ちを見つけたときか、積もったモヤモヤを紐解いて心に風を通したくなったとき。久しぶりにすっと書き始められた今日は、前者です。秋の終わり、新しい気持ちを見つけました。 ややきれいなタイトルをつけてしまいましたが、実際の私は日々いろいろなモヤモヤを抱えて生きています。誰かの何気ないひと言、納得いかないこと、モヤモヤの種は日常のあちこちにあって、ふとした瞬間に芽生えてはふわふわと広がっていってしまいます。 小さなものなら目をつぶるし、大きく

          モヤモヤは、時に愛しいもの。