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#027 初夏の初詣

前泊していた披露宴会場であるホテルからシャトルバスで三ノ宮にでた 同期の披露宴に参列する前にヘアセットの予約をしていたからだ 予約の時間にはかなり余裕を持って出てきた サロンに行く前にやることがあったのだ

前日に神戸入りする前に 一泊で香川県周辺の旅行をともにしていた同期の提案で三ノ宮の駅前にある生田神社にお参りすることになっていた
予定ではこの朝ではなく前日の夕方 神戸に入ってレンタカーを返却した足で向かうつもりだったのだが 予定より遅くなったために朝に変更したのだった

寝不足だしバタバタした中で神様に会いにいくのはどうも申し訳ない気がしていたが いざ鳥居を前にするとそんな気はどこかに飛んでいってしまった

思えばこれが今年の初詣だ 神社を訪れるのはいつぶりなのかもはや思い出せないほどだった 

日曜日の午前10時前 三ノ宮の駅前の通りは静かであるのに 参拝客は少なくなかった
手順通り参拝を済ませるとなんだか心がスッキリとするのがわかった なぜ気持ちが良いのだろう 天気が良かったわけではない この時の空は曇が多かった 午前という日がまだ登り切る前のこの間に参拝をして気持ちが良いと感じるのは やはり自分が日本人であるからに違いないと思った


初詣といえば地元にいた頃は毎年近所の小さな神社に通った 紅白を見終わったら支度をして日付が変わるのに合わせて出かけた 神社でいただく御神酒が楽しみだった とはいえ子供もいただけるこのお酒が目的だったというわけではない まだ真っ暗な空の下 時には雪が舞うような寒空の下 静かな静かな小さな集落で 新年を迎えたその時だけは冬真っ只中の厳しい寒さや独特の静けさを失っていた この普段は見られない景色が好きだったのだ 幼い頃は祖母と兄といった そのうち兄は夜道を怖がって行きたがらなくなったが わたしは一人でもいった

地元を離れると初詣というものからは縁遠くなった 職業柄 年末年始も仕事になることが多く慣れ親しんだ神社があるわけでもなかったから必然的にそうなった  ある年は1月3日のフライト終わり 名古屋ステイだったその日は後輩と3人で熱田神宮に参拝に出かけたことがあった 元日でもなければ夜の暗い中でもない初詣はおそらくこの時が初めてだった



生田神社での参拝が終わると サロンに向かう前に同期が ここ生田神社でしか買えないという御守りを買った
 familiarという神戸発のベビーブランドのもので子供用の御守りだ 彼女は私の娘にも といって買ってもたせてくれた

なんとも可愛らしいその御守りを手にすると そう言えば離れていたこの旅行中 彼女になんのお土産も買っていなかったと気づいた 

しまった 前回のエピソードでは家族から離れる時は家族を案じる愛溢れる母であり妻でいたいと考えていたのに
しっかりすっかり独身気分を満喫してしまっていたのだ

なんの心配もいらないというのはそれはまたいいことなんじゃないか とも思ってみるがどうもいまのわたしがいうには都合が良すぎてしまわないだろうか 

神様 どうでしょうか

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