京アニの事件

令和になってこのかた、痛ましい事件が多いように感じる。
春先は車の暴走による事故で幼い子供たちが亡くなる事故が頻発し社会問題になった。
しかしそれはあくまでも事故である。
運転手の過信や油断というヒューマンエラーがあったとはいえ、
人に突っ込もうとして突っ込んだものではない。

今回の事件はそういう意味では非常に悪質だ。
動機は完全にハッキリとはわからないが、
容疑者が意識があるうちに言った「パクられた」という一方的な思い込みによる被害者意識のせいで、
国内でも腕利き揃いのアニメ制作会社が壊滅状態になってしまった。

青葉真司と発表された容疑者は何かしらの小説を書いていたのだろう。
それを京アニが盗作したという意味合いのようだが、
京アニが盗作をするメリットが無い。
盗作してヒットしてもバレればお蔵入り。リスキーなだけだ。
もし素晴らしい内容だったならばきちんと権利を買い取って作品化するだろうし、 残念ながら「青葉真司」という名前は初めて聞いた。
創作活動の中でどこか共通してしまう事は多分にある。
一人一人の感性が違っていても、
流行や同じ本や漫画に影響を受けていれば似る事は当たり前だ。
それを「京都アニメーションに盗まれた」と感じる容疑者の自意識過剰な点は呆れてしまう。

この犯人には誤算があったと思う。
それはガソリンの爆発力を甘く見ていたことだ。
現場に刃物や鈍器を持ち込んで炎から逃げてくる人たちを殺すつもりだったと報道で聞いた。
なんとも間の抜けたのんきな計画だと思う。
ガソリンは燃焼すると言えばそうだが、
実際のところは車のエンジンの中でも爆発をしている。
だからこそ数リットルのガソリンで家族全員が乗ってもスイスイ走るパワーを生む。
おそらくは灯油のようにメラメラと燃えるのを想定していたのだろう。
でなければ、ガソリン爆発の火元に居残るなんて真似はするはずがない。

だいぶ昔の事だが、消費者金融の武富士が今回のようにガソリンで放火された事件があった。
あの事件はニュースで映像が流れ、窓という窓からほぼ同時に炎が噴き出していた。 例えて言うならば特撮の怪人が爆発四散する炎が噴き出してるようなもの。 あれを「怪人が燃えた」と言う人はいないだろう。
自分も炎と爆風を食らって耐えきれずに外部に逃げたのだと思う。

しかしいいご身分だ。
30人以上の罪もないどころか、アニメカルチャーを引っ張る精鋭を殺しておきながら、 自分は炎から逃げ手厚い治療を受けている。
「死ね」と言いたいところだが、死なせてはいけない。
ちゃんと裁判にかけて動機を解明した上で死刑にせねばならない。
警察が名前を公表したという事は、オウムや宮崎勤と同じレベルに危険な犯行と認めたのだろう。

亡くなった方々の無念さは察するに余りある。
アニメ業界の中ではその次代の流行のデザインを生むほど力のある会社だった。
狭き門をくぐり抜けて、やっとその場所で仕事をしていた時に、
まさか爆発炎上する火災に巻き込まれるとは夢にも思わなかっただろう。
前述の通り京アニ側には犯人に対しての落度など無かったのだから。
今ようやくDNA鑑定で身元がわかってきたという事だが、
家族でも直視できないほど損傷が激しいのだと思う。
まだ性別すらわからない人がいるほどだ。

これまではモンスタークレーマーの問題が議論されていたが、
今回はクレーマーが行動に出たという新たな問題になった。
セキュリティ面のタラレバも多少は挙げられていたが、
それは机上の空論に過ぎない。
このケースなら窓が一つ開いていただけで同じような被害を受けていただろう。

昔から「有名税」という言葉があるが、
そんな尺度では測れないダメージとなった。
京都アニメーションが育てた「人・モノ・文化」がほとんど無くなった。
これが有名税なら重すぎるってレベルじゃない。
そもそも有名ならば無条件で妬んでもいいという考えが間違いであり、
今後も許容すべきではない。

対策は容易には思いつかない。
脅迫メールで逮捕される人間が時折報道されるが、
現状ではそういった段階での検挙を増やすしか手はないのかもしれない。

犯人は仮にも小説を書くクリエイター志向があったのなら、
その分野に計り知れないダメージを与えた事に気づいて、
自分を呪いながら無惨に死んでいってほしいものだ。 


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