Q.曲の入りの音が、本番では十中八九ズレてしまいます

コンサートの始まりの音は、いつも緊張に満ちていますよね。ここから始まる数分、数十分の前途を占う大事な「第一声」です。だからこそ、細心の注意を払って、グッと指揮者に意識を集中して、どんな瞬間も見逃さないようにと用意しているのに、何故か最初の音が、合わない・・・特にオケの皆さんや、アカペラ合唱曲の皆様はこの1音にかなりの緊張感を強いられていますよね。

本番どころか練習の時点で既に最初の1音が合うか合わないかが「当たるも八卦当たらぬも八卦」になっていて、音が全員合って入れた瞬間「よし!“今日は”合った!」となってしまいがちではないでしょうか。

※主にオーケストラ、ブラスバンド、合唱、室内楽、重唱アンサンブルなどを楽しまれており、もっと上達するための方法がないかお探しの方に向けて書いております。

「その1音」は、軽視するにはあまりに犠牲が多すぎます。最初の1音は、演奏家のみならず聴衆も息を飲んでその動向を見守っている音ですし、なにしろまだ「聴く体力」が残っています。「さあこれからだぞ」と体が用意していたのに、スタートのフラッグと共にスタートした車が次々フライングしたら椅子から転げ落ちてしまいます。というかF1ですとペナルティです。

スタートというのはどんなものでも難しい場所でしょう。だから練習を重ねる必要自体は、あります。しかし例えば練習で10回やって8回はずしてるのに、本番でその2回に賭けようとは、ずいぶんギャンブラー・・・というとギャンブラーに怒らるかもしれないですが、決して高いとは言えない成功率です。

もちろんプロでも100発100中ではあり得ません。しかも本番には練習に無い緊張感がありますし、偶然の事故もありますから、成功率は当然下がります。だからこそ練習での成功率は高める必要があります。

しかし、実際のところ、個人練習でも全体練習でも、曲の前半、特に最初の方は、練習を何度も繰り返して行う場所の筆頭ですから、練習時間が足りていないわけではないのです。逆に合わないが故に何度も練習を繰り返し、合ったら先へ進む、というように練習を進めているところもあるでしょう。ただその場合、たまたまの1回に乗っかる形で「いまの、もう一度、たのむ」という形で次回の練習までもちこされます。何故“合った”のか、全員が納得する形で共有されないのです。

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