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澳塩 渚先生より

臨床心理士で学習支援を行われている澳塩 渚先生より、合理的配慮としてのNuvo Recorder+の使用について、お言葉をいただきました!

シリコンキーつきリコーダーについて

 小学校に入ると、鍵盤ハーモニカの指導が終わった3年生頃からリコーダーの指導が始まります。
リコーダーは、吹くところと鍵盤が独立していた鍵盤ハーモニカと違い、トーンホールを目視しながらの運指が難しくなります。さらに、左右の手で違う動きをすることも今まで演奏してきた楽器と違う点のひとつです。
リコーダーで音を出すためには以下の3点が重要になってきます。
1.リコーダーをしっかりと支える(左手が上)
2.正しい指使いでトーンホールを押さえる(左右の手が違う動きをする)
3.適切な息の量を調整する
演奏には、このような技能が必要となります。
これらの動きは複数の動きを組み合わせたものです。
2つ以上の動きを同時に行うことに困難を示す子どもたちがいます。対象を見ながら体を動かすこと、「だいたいこの辺かな?」とあたりをつけて体の動きを調整することが困難になります。日常生活では、靴紐を結んだり、狭い空間を体を屈めて通り抜けたりがうまくいかない等が多いようです。
そのような困難のある子どもたちにとって、上記のような技能を必要とするリコーダーの演奏はかなり大きな負担になります。
特に、息を吐きながらトーンホールが塞がるように指の力を調整するというのは難しい点かと思われます。
その時に、トーンホールを認識しやすく、塞ぎやすくした、シリコンキーつきのリコーダーは大きな助けになります。
リコーダーの演奏が負担であれば、リコーダーの演奏自体をやめるという選択肢も、もちろんあります。
しかし、リコーダーの演奏が始まる3年生くらいの時は、自分と周りの違いにも気が付きやすい時期です。「自分だけがリコーダーをしない」ということもまた、負担になるかもしれません。
体の使い方がうまくいかない子どもたちは、日常生活では悲しい思いをすることもあります。
道具を工夫することでみんなと同じようにリコーダーが吹けるという経験は、「工夫するとできることがある」という実感につながり、その後にも活きてくると思われます。
中学生になってもリコーダーの演奏は続きます。アルトリコーダーになると大きさが変わる分、さらに運指が難しくなります。その点でもシリコンキーつきのアルトリコーダーの開発も大きな意味があると思います。

まなびルームポラリス 澳塩 渚

澳塩先生、ありがとうございました!

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