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独立して社外役員やってよかったなと思った話(副業しない会計士の機会損失を考えた話)

こんにちは。
あんまり煽る気はないのですが、やっと自分(といくつか)の確定申告のめどがたち、表題のようなことを考えたので、頭の整理も兼ねてnoteをしたためることとしました。


監査法人退職理由「株式投資ができないので」

よく知られていることですが、監査法人という組織はピラミッドとなっており、少数のパートナー(経営者)がリスクを負う代わりに、多くのスタッフ(職員)に仕事をしてもらうという収益構造になっています。

最近になって、定年退職する会計士資格ホルダーがちらほらいらっしゃるとお聞きしますが、終身雇用は想定されておらず。歓迎され入社した新人も多くはどこかのタイミングで新天地を求めて去っていきます。10年で同期入社の5%残ったらいいほうじゃないでしょうか。

つまり残りの大多数の方は何らかの形で途中退職するので、他にやりたいことできたとかいう理由はめずらしくもないのですが、最近の退職理由に

「株式投資ができないため」

という理由があると聞き、株価が上がっているご時世ならではと認識をあらたにした次第です。
最近の株価高で、持っているだけで数十パーセントから数倍まで含み益となる。このムーブメントに乗り遅れるのか、という。

正確に言うと株式投資が「できない」わけではないのですが、監査法人は上場企業の監査をしているため、インサイダー情報を知りうる立場となることから関与先企業の株式投資ができなかったり、自分の持っている株式銘柄を法人のシステムに登録しなければならなかったりと、投資にあたり心理的制約があるのですね。
他法人が監査している会社だからと安心して投資していたら突然のグループ再編や監査人交代により「利害関係あり」となり、保有株が値下がりしているタイミングで強制的に売却させられるといったこともあり得ます。

株式なんで上がるときもあれば下がるときもありますから、そういう人は株価が低迷しているときはつらいことがあってもぐっと我慢されているのかというとそういうことではなく、株価はきっかけでしかないと思いますが、法人に在職し続けるのは機会損失の一つにはなりそうです。

そもそもですが、個人的には、株式投資をしたことがなく上場企業の監査をするのっていいことなのかなと思うことがあります。
(過去、担当会社の利益水準や監査報酬が安いか高いかは気になっても、時価総額やPBRを気にしたことがなかったことを反省しております)

小金はたまる

今となっては笑い話ですが、かつて監査法人退職を決めるころには、安定した職がなくなって生活していけるだろうか、という不安いっぱいでした。
先輩から、「独立して食いはぐれている会計士は聞いたことがないから大丈夫」、と言われていても、です。
ストレスが多い仕事ではあるものの、マネージャーともなると年収ベースで1000万円+αは普通に超え(そういえばEYさんのマネージャーの給与水準が最近話題になっていました)、長期休暇を取ることもでき、勤怠管理の自由さ、これらを捨てる意味があるのか?

結論問題なかったです。

独立するということは自分の事務所を登録することでもあるので、自分の事務所で個人事業主として仕事を受けることになるのですが、

社外役員は任期制ですので数年単位で、就任時に年収は確定。
プラス副業も可能。
監査法人や会計コンサルティング会社でパートタイムしてもよし、自分の研鑽も兼ねて決算書印刷会社でバイトしてももよし。
女性の会計士を希望される行政関係のなんとか委員の審査会に参加したり。

開業会計士税理士として確定申告や講演、コンサルティングを依頼されることも。

大儲けはできなくても、数万単位のこがね(小金・・・っていっていいですかね)が入ってくるルートはたくさんあります。

なんかちょっとバブっている気もします。
かなり前ですが、J-SOX導入時に、独立した方が導入コンサルされて日給10万~など稼いでおられた時代を思い出します。
しかしその頃はリアル出社が前提でした。
現在はオンライン環境がすすみ資料もクラウドベースで見れたりと、「リモート」で世界中どこからでも作業できますし、出社時間も不要と、より効率的に稼げる素晴らしい時代になりました。

(自分の)プロジェクトマネジメント、体調管理が重要

ただ、そうやってこまごまとお仕事を受けてしまいますと、A社とわたし、B社とわたし、C社とわたし、という関係になり、当然ABC社はお互いなんら配慮する必要はないので、スケジュール管理や進捗管理の責任はすべて自身が負うことになるわけで

これが共同経営や法人所属でしたら、体調不良や都合が悪ければ他の方にお願いすればよいのですがそういうわけにはいかず

やっぱり自己の体調やスケジュール、プロジェクトの進捗管理って重要ね、あまりなんでも引き受けすぎると大変な目にあうわ・・・反省。

・・・といったことをみなさん1度は体験されるのではないかと思います。

フルに仕事を受けてしまうと回らなくなるリスクはあるものの、面白そうなお仕事があるとついつい無理をしてしまったり。
この辺はお仕事のスタンスによるかなと思います。プライベート重視、時間単価で仕事をえらぶもよし、採算度外視で関心ある行政の委員をやるもよし。複数のお話がくるありがたい時代ならではの悩みかも知れません。

より大きな夢を目指すのはどうだろう

こういう「ありがたい時代」をありがたく享受されている方が大多数だと思います。
まったくもって、事業に加え株式投資や不動産投資をして数年でFIRE!みたいな人生はうらやましいのですが、せっかくなのでできる範囲で社会貢献するとか、より大きな夢を目指す、といったこともできるのではないかと思ったりします。

その点、社外役員は「そこそこ」社会貢献したいという気持ちが満たされる点でよいのですが、本当に貢献したと言い切れるか?という想いあり、やっぱり自分自身が執行に踏み込めるわけではない、という想いあり、です。

また、小金(ってまた言っちゃいました)で満足するのではなく、より大きな夢や事業に向かって頑張るとかどうだろう、などと思わないでもなく。
まあ、経営経験自体が豊富ではないので、そういうなんとかの生兵法は大怪我のもとだな、と思わないでもなく、やっぱりおとなしくしておくか。といった感じです。

とりとめもありませんが。

(最後に)乙欄の源泉徴収はヤバい

最後に、これも上場会社社外役員あるある、だと思いますが、月額役員報酬と手取り額にはギャップがあるので、今度社外役員に就任し、追加分を生活費に充当されようと思っておられる方は注意が必要です。

役員報酬の源泉徴収率って高いんですよね。特に、副業の場合(乙欄)の引かれ方はヤバいです。

給与所得の源泉徴収税額表(令和5年分)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2022/data/01-07.pdf

就任翌月の振込額みて驚きました。(カッコつけて役員持株会にも入ったのでさらに差し引かれ・・・)

例えば月額30万だと思っていたら源泉徴収で月53700円、月額50万だと思っていたら月146800円が天引きされて支給されるのです。

どっちにしても複数収入があり、住宅取得控除あり、ふるさと納税して医療費控除もあり、となると毎年確定申告することになります。みなさんいかがですか。こっちはなんとか終わり、よかったよかった・・・ということで冒頭に戻ります。


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