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グッドオーメンズS2

マグさんと見た!愛の話だった。3話ごとに見てる。

1話〜3話

悪魔は全て堕ちた天使なのは知っていてもクロウリーが天使なの見ると動揺する。あと悪魔としてビジュアルを作られてるから白い服が絶妙に似合わないのがめちゃくちゃいい。

「光あれ!」を言ったのはクロウリーでその隣にはアジラフェルがいて、宇宙はどうして存在するのかの問答も世界で初めてこの2人が行っている。どうして地球が端にないんだよ!もたどりついてて見上げるためだけに宙があるんじゃないと怒ってしまって、この疑問のせいでクロウリーは堕天している。

アジラフェルに食事を教えたのはクロウリーで初めて牛肉を食べたアジラフェルはその場で「君の側に寄ってしまったかも」と言って、以降は現代に至るまで食事に心酔していて、アジラフェルの食事シーンを1番見てるのは多分クロウリー。

神のご意志に愚直に従う天使という真っ白な存在のことは嫌いだけどアダムとイブが楽園から出る時に「身重だし外は危ないんだ!」と言って炎の剣を渡したところを知ってるもその後の葛藤を知ってるのもクロウリーだけ。ヨブの話の「神が使わせた子供か?」という質問に対する虚偽にまつわる罪悪感も世界でただ1人クロウリーだけが知っていて(キリスト教的な話なので神は全てご存知かもしれないけど)その上でそれを受け止めている。

地獄に従うのではなく自分に従っているんだという心情に「孤独じゃないか?」と聞くだけの心理がある存在が目の前に現れてくれて、自分の隠してた善性を余さず信じてくれて、その上自分が唆したせいで天使でいるうちはずっと「孤独」でいてくれる存在がその寂しさを分かち合ってくれる。

勝てないよ!!!!!!勝てない!!!!!!勝とうと思ったこともないけど運命力が強すぎるよ!!!!!!余すところなく分岐点にお互いがいるじゃん!!!!!

違うんですよね…お互いの在り方に関して何か変わったことがあった時はお互いが干渉した時なんですよね…。天使って良くも悪くもまっさらなので他の天使がそうであるように物事を深く考えてなくて、神のご意志だけで動くからあまりに無防備。けど普通は無防備だけど堅牢でもあるから誘惑に乗らないし迷いもしないんだけどクロウリーもアジラフェルもそうではないから、迷って立ち止まって耳を澄ませてしまう性分だから天国でも地獄でも居場所はなくて「脆くて平穏な生活」をお互いが必要としている。

2人とも自分たちの柔らかさに自覚がある。堕ちた存在なのに自分の言葉に耳を傾ける天使に靡いてしまうのも天使であることに誇りはあるのに制裁するために理由をほっしたりするところがすごい人間らしい。そういう自己に気がついた不運はあっても、必ず隣に同じ孤独を抱えた人がいる幸運に少なくともクロウリーは気がついていて、だからべっっったべたに天使さんを甘やかしている。

でもクロウリーのアジラフェルへの甘やかしはクロウリーの巻いた種なので無くすこともできない。「謝罪のダンス」は完全に視聴者を痴話喧嘩に巻き込み3000年に渡る夫婦のローカルルールを見せつけて轢き殺すための描写だけどあれが何かっていうと、クロウリーの「すまない」を信じられないだけの疑い深さがアジラフェルにあるってことになる。

「悪魔は嘘つきなのさ!」という言葉も自身の「クロウリーは悪い人ではない」という直感の全てを信じ上で、喧嘩した時のクロウリー「すまない」に対して「本当に言ってる?」と疑うようになってしまっている。他の天使みたいに他者の言葉を鵜呑みすることができず、「彼は自分に謝るだろうけど、嘘つきなのも本当だしな…」って想像をしてしまう。しかもそれを疑えない。実際渋々誤ってるのもお互い承知なのでそれらの妥協点として「踊って」になる。

どうしたらいいんだ!!!!!!!どうしろっていうんだ!!!!!

シーズン2に入ってからアジラフェルの構造の全てにクロウリーが入り込んでることを見せつけられてる!!!!!!夏休みが明けたらギャルになってた委員長を見てる気分!!!クロウリーの好みに仕立てられたアジラフェルが好みすぎて逆らうことすら出来なくなってメロメロのクロウリーを3時間見せつけられててる!!!助けて!!!!!!

あとは騒動に巻き込まれた女女ラブラブ大作戦が楽しみ。百合っていいなって思いました。束縛系のパートナーであることは明らかなニーナがそれでも誰に対しても「彼女って最悪」って言わないところがめちゃくちゃ好き。パートナーの悪口を言わないの大事だから…。

天使の多様性が他の作品の一歩先をいってたと思う。「黒人の女性」で止まらずに身障者を何人か据えているところ、聖書に喧嘩売りまくってる作品がそういうところ気をつけてるとかなり信頼がおけてよかった。

フィクションの差別と偏見が好き!!もちろん現実の差別と偏見に基づいているのは大前提だけど、死体泥棒の下で善悪をないまぜにできないアジラフェルの硬さや、持ってる側にも関わらず「貧困は素晴らしい」と言ってしまう傲慢さにめろめろだった。

4話〜6話

21:00から23:30くらいまで連続でドラマを見て、一緒に見てたマグさんと40分くらい興奮冷めやらぬまま、動揺がおさまらないまま話をして、その上で全然寝れなくて2時くらいに紅茶飲んで観念して寝た。

商店街の月例会をダンスパーティにすることでマギーとニーナを恋人にしようとするアジラフェル。雨の下で見つめ合うことで運命に気がつけるから雨を降らせるクロウリー。この2人の恋に落ちることの解釈が今となってはだいぶ心に来る。

S1E1で「クロウリーだ」って名乗ったからにはクロウリーはアジラフェルのことを知らないのかもしれない。でもアジラフェルはヨブの時には「君はいい人のはずだ」と言っている。

アジラフェルはあの美しい宇宙、神に祝福された空間の中でお互いを見つけることにときめきを感じていて、クロウリーは雨の降る楽園の塀の上で見つめあった時に運命を感じているのかもしれなくないですか?

「恋に落ちるとは」と考えた時に自身の体験にはたった一つの記憶しかなくてそれが疑いようもないから「よし!」って行動に移したんじゃないんですか??ねえ!!今回ってかなり直接的に「恋をしている」話じゃないですか??愛と呼ぶには傲慢で見返りを求めていて盲目で熱烈じゃないですか??もしかしてグッド・オーメンズって恋の話だったんですか?!!!?

あの2人のすごく近いけど決定的ではない距離感って「そういう関係である」ではないのも今回明らかになったのが辛い。

クロウリーは片思い相手に告白できないけど今の関係を壊したくなくて相手とどんなことだってしたいけど何より求められたいみたいな感情の末に自分は天使としての在り方を手放したけどアジラフェルには尽くして貢いで施して導いていてその全てを受け入れてくれることに満足していた。ここ数年、かなり近くにいて一緒に何かしている時間が愛しくて仕方なくて相手もそう思ってると踏んでて、わがままを言ってくれるのは尽くす機会を与えてくれてるのと同じで、思いは通じてると思ってて…そんな…そんな…。

アジラフェルは「善いこと」を信じていて、クロウリーを信じてるのは彼が善い人だからで堕天したのも不本意なんだと思っている。なぜならあの時美しい宇宙を作った瞬間に立ち会ったし、炎の剣の剣を見逃してくれて善くあろうとしている自分を受け入れてくれるから。貧困が美しいと言った同じ思考で、悪魔である彼が善の側にいるような行為をすることが美しいと思ってるから彼が好き。自身が「グレーゾーンだ」ということを恥じている。だからラストで「天使に戻れるんだ!」ってクロウリーに告げてしまう。

この「世界でお前だけが大切」と「世界で君が1番大切」のすれ違いが6話なんだけど、すれ違ってるとはいえ隣にいて欲しくて永遠を望んでることは確かなので…なんでこうなったんだ…。

もし製作陣がS2で終わりかもな〜と思ってるならメタトロンの誘いをアジラフェルが蹴って終わりなのでS3があると信じたい。頼むよ。頼むって…。

もちろんすれ違いも悲しいんだけど他の人たちがそういう「違い」を受け入れていて、このドラマの世界にはそういうゴールもあると提示されてるのがなお悲しい。

ニーナとマギーはお互いを憎からず思っていて、そういう関係になることもあるかも、あるよ今じゃないけど。でちゃんと距離を取ることを選べている。彼女らはどう考えても何年かの付き合いなのに。それはきっかけは天使と悪魔かもしれないけどちゃんとお互いをみて言葉を聞いて話し合った結果で、付き合いはしなかったけど2人の関係のハッピーエンドとして描かれている。そういう関係もある。適切な距離をわきまえることは誠実さと敬意であるとこの2人は言ってる。

ガブリエルとベルゼブブは逆に2人きりであることに躊躇いがなかった。この2人はS1のラストからなので4年くらい?天使と悪魔は6000年の付き合い。

ガブリエルとベルゼブブのロマンスかなり好き。初めは調停のために顔を突き合わせていた2人が明らかに違う生き方や性質を垣間見て、その上で天国と地獄を管理するものとしての苦労を分かち合う。パブで飲み物を頼むのもかなり怪しいガブリエルと好きな歌があるくらい馴染んでるベルゼブブが小さいテーブルを挟んで見つめ合うシーン、まだ何も言ってない時点から「もしかしてここってロマンスなのか?」ってわかる説得力があった。愚直な節のある天使代表みたいなガブリエルがこの時間を終わらせたくなくてエブリデイをかけ続ける奇跡を起こしてそれを遠慮なく口にするところもそれを笑って受け入れるのも最高。クロウリーも同じことするけど絶対口にしないしアジラフェルは気が付かない。

全裸中年上司から始まったS2、蓋を開けたら初恋と親友を同時に得た天使がその人に全幅の信頼をおいて自分を預けてまっさらになった結果であるのあまりに皮肉すぎる。地球を滅ぼしたくないのは君との思い出があって、君が地球を愛していて、まだその姿を見ていたくて、愛されるに値する自分でいたいから。ガブリエルが冒頭に「君にはいないかい?この人のそばにいれば何もかも解決すると思うような相手…」っていうのが全部の答えなの、「ガブリエルにそんな人ができるわけない」という隙をつかれた気がする。このシーンのアジラフェルが「そんなの、いません!」って慌てて否定するのってあまりに「愛してる人はいる?」の言い換えである問いに対して「あなたにとって自分はそうではない」だし「そんな感情に思い当たる節はない」っていう焦りだった。

ベルゼブブは今回の騒動そうとう楽しかったろうな、最近好きになった人がなんかいなくなったらしいけど自分のハエが近くにいるしな〜適当に地獄を諌めて迎えに行かなきゃな〜と思ってそう。シャックスに「古書店に!います!」って時に素人70人を遣わしたのかなり手心。

天国にも地獄にも行かない、お互いのそばが居場所なんだって断言して姿をくらませた人たちもこの世界にはいる。そういう関係もある。クロウリーとアジラフェルはそうはなりませんでしたが。

この2組を描写して、リアリティラインを丁寧に設定した上で6話をやるので人の心がない。ないかも、この世界は神が運営してるしな…。

キスシーンもすごいんだけどその前の「つまり…俺は、ガブリエルとベルゼブブみたいに…お前と…」って普段饒舌なクロウリーがしどろもどろになるところがめちゃくちゃ良かった。まさに告白だった。この言いにくくて断られたくないのが伝わる言葉の後に傷にするためだけに行われた15秒くらいあるキスシーンでめちゃくちゃになった。プロメアもそんな長くないよ多分。

なんか、こういう関係って匂わせで終わるもんだと思ってたんですよね。SHERLOCKもお互いが唯一無二で、そのためにメアリーと結婚して殺してワトソンの隣の席を意識させたりしましたけど恋人ではないじゃないですか。信仰に近い思いを大切だったけど否定して「君でさえも」と人間性を認めたりしたじゃないですか。でも恋じゃなくて…愛だけど付き合いたいわけではなくて…。いやワトソンはシャーロックに頼まれたらいくらでも結婚したと思いますけど…。ハンニバルもそうで、最終回に俳優さんがキスしたけどそのシーンはカットされてる。ウィルとハンニバルはお互いの存在が救いだし、会えたことが奇跡だと描いたけど結局恋人にはならない。かなり、かなり怪しかったけど。ウィルの思い人を寝取るなどしたけど。ウィルの恋人を寝取るの、この次はウィルを抱くじゃない?そもそもハンニバルはウィルを抱いたら一発だったと思わない?いやハンニバルは明らかに泣きながら告白されたがってるのでそれは無理なんですけど…。

は〜

なので今回かなり「恋」に肉薄したのもキスしたのも衝撃だった。逃げなかった。初めから同性愛を謳ってるわけではないのにそういう話をしたのが嬉しかった。男女恋愛に断りとかないから当たり前だよな。本当にそう。

最短でも4年か〜長いな〜本当に長いよ。長くてもいいから早く「やります!」って言って欲しい。たのむ。

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