乾燥いぐあな

百合小説など書いたりします。

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最近の記事

文学フリマで百合小説を売ります!

#文フリ #文学フリマ東京 いつもお世話になっています。乾燥いぐあなです。 この度、11/23文学フリマ東京にて、百合小説を売ります。歳の差不倫三角関係百合小説です。もうこの字面だけで倫理観の欠如が見え隠れしていますが、内容もその通りとなっております。「道徳は置いてきた。ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない」状態です。初めて本を作るのに必死だったから仕方ないですね。 ブースは【ケ-13】サークル「角と鱗」です。こちら日頃からお世話になり散らかしてるnostal

    • 私の飲まない酒瓶ども

       中学生の頃、文化祭の出し物を決めるにあたって、クラスの陽キャたちが主導してなにやらやることになったことがあった。当時から内気だった私はそのノリにいまいちついていけず、結局その年の文化祭は出たんだか出てないんだか分からないものになってしまった。授業が無くなるのだから楽しくなかった筈はないのだが、かといって愉快の海に肩までどっぷり浸かれたわけでもなく、波打ち際で温くなった海水が足元の砂を浚っていくのをぼんやりと眺めているだけのような心地だったのを憶えている。  だから次の年から

      • 寂しさの引力で、貴方とコーヒー豆を挽こう

         初恋は多分小学校の先生だった。あの頃は一括りに大人に見えたけど、たしか若い先生だったと思う。情熱的で面倒見の良い彼女に、私はすぐに懐いた。そう、大学を出てからまだそれほど経っていない、若い女の先生だ。 この頃の私は自分が何者かなど考えもしなかった。  次に好きになった記憶があるのは中学の部活の先輩だ。小学校からの友人の誘いでうっかり入部してしまったテニス部で、よく面倒を見てくれた三年の先輩。たった二歳年上なだけの彼女が当時の私にはとても大人に見えた。よちよち歩きの赤ん坊がそ

        • 初恋の墓標・改稿

           数日前のスキャンダルの所為で安くなっていたから、つい彼女を買ってしまった。といっても本人ではない。実在のアイドルを模したアンドロイド、所謂『IDOLoid』だ。  人間そっくりの培養素体に疑似人格を積んでやれば、すぐにアンドロイドが一体出来上がる。特に人間の精神活動を記録・再現する精神追跡技術が確立してから、現実に存在する人間を模したアンドロイドが発売されるまではすぐだった。社会的な議論もいくらか起こったが、実装する人格を特定の分野に限定することと、公的な免許制度を採ること

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          行き止まりの夜

           一緒に寝る夜は特に酷い喪失感に苛まれる。抱きしめたぬくもりが腕の隙間から零れ落ちるような、あるいは私がシーツの繊維の目から滑りおちるような、どちらともつかない不確かさが全身を包む。そして毎回、このまま寝なければ、一生朝なんて来ないんじゃないかという夢想に揺蕩いながら、私の意識は国道を走るトラックの音に溶けていく。  今日もまた目が覚める。朝というには遅く、昼というには気が早い時間。昨日より減った牛乳とシーツの皺が、彼女が今日も仕事に出たことを告げていた。  社会人と大学生

          行き止まりの夜

          実の姉妹じゃないことを突然明かされ困惑する姉妹百合

          「実は貴方たち、本当の姉妹じゃないの」  その日、両親から告げられた内容は本当に衝撃的だった。 「私たち夫婦はずっと子どもが出来なくて、それでも子どもを育てる夢を諦めきれなくて佳奈を養子に貰ったの。そのすぐ後に詩乃を妊娠してることが分かったわ」  母は今まで黙っていた後ろめたさからか、とても申し訳なさそうだった。 「真実を告げるのがこんなに遅くなってごめんなさい。でも、これだけは分かってほしいのだけれど、佳奈も詩乃も、二人とも大切な私たちの娘だと思っているし、お父さんも私もそ

          実の姉妹じゃないことを突然明かされ困惑する姉妹百合

          告解グルーミング

          #百合 #創作百合 #年の差  ごめんなさい。私は本当は、そんなに良い子でも無ければ真面目でも無いの。授業は何度もサボったことがあるし、お母さんの手伝いよりも貴方におすそ分けしたくて作った料理の方が多いの。張りぼての内側、空っぽの頭蓋骨に後悔と罪悪感ばかり溜めこんで、ライフワークは辻褄合わせ。なんて滑稽なんでしょう。いや、自分のことだけれども。きっと貴方に愛してもらう価値も、貴方に恋する資格も、私には無いの。  「こんにちは、隣に越してきた海堂です」  そう言って笑う

          告解グルーミング

          題名のない乙女たち

          #百合 #創作百合 #女子高生 #R15  きらきらとか、ふわふわとか。そういうオノマトペが彼女の周りを飛び跳ねている。遠山サナ。今日も彼女の周りではクラスの中でもかわいい女子が、休み時間ごとに集まっていた。  「サナ、あの先輩とはどうなったの?」  「あの先輩?」  「ほら、バスケ部の二年の、中村先輩。こないだまた話しかけられてたじゃん。あの人絶対サナ狙いだよ」  「えー、でもあの人ちょっとチャラくない?去年二股かけてたって部活の先輩言ってたよ」  「メグの部活って天文部

          題名のない乙女たち

          初恋の墓標

          #創作百合 #SF  先日のスキャンダルの所為で安くなっていたから、つい彼女を買ってしまった。といっても本人ではない。アイドルを模したアンドロイド、所謂『IDOLoid』だ。  人間そっくりの培養素体に疑似人格を積んでやれば、すぐにアンドロイドが一体出来上がる。特に人間の精神活動を記録・再現する精神追跡技術が確立してから、現実に存在する人間を模したアンドロイドが発売されるまではすぐだった。社会的な議論もいくらか起こったが、実装する人格を特定の分野に限定することと、公的な免許

          初恋の墓標