ゴミ箱|思いやれないデザイン #2

日常で出会う思いやりに欠けるデザインを批判して、世の中をほんの少し良くすることを目指すマガジン「思いやれないデザイン」。詳細は、ユーザー的不服従|『誰のためのデザイン』

今日の思いやれないデザインは、代々木公園で出会ったこちら。

ゴミ箱。

初夏の香りに誘われて、ピクニックに出かけた帰りに遭遇。ふつうに燃えるゴミを捨てたかっただけなのだけど、1度エラーを起こしてしまった。後から隣のペットボトル用ゴミ箱(色以外は同じデザイン)に来た人もすんなり捨てられていなかったので、ユーザーの敵なデザインと認定。

空け方、一瞬でわかるでしょうか?

私が辿ったプロセスは以下の通り。

① 真ん中の持ち手をつかむ
② 持ち手を上に持ち上げようとする(ん?上がらない!?)
③ 手を離して立ち止まり2,3秒、考える
④ 写真右側に移動して、出っ張りをつかんで持ち上げる(空いた!)
⑤ ゴミを捨てる

このデザインにより被った被害は数秒で小さいものだったけれど、こういう認知的負荷が積み重なることで疲れは大きくなるものだ。

今回のエラーが起こった原因は『誰のためのデザイン』に照らすと、制約対応づけにあると思う。

上記のプロセス①から②のエラーを起こしてしまったのは、真ん中の持ち手を(少し形が細長くて変なのと思いながらも)上に上げることで蓋が空き、ゴミを入れられるという間違ったメンタルモデルを私が直感的につくりあげたからだ。つまり、このエラーはスリップではなくミステイクということになる(『誰のためのデザイン』)。

この持ち手ではなかった突起は、なんのためにあるのだろう。蓋を空けられなかったことから推察するに、大きな公園の大きなゴミ箱だし、クレーン車みたいので引っ掛けて持ち上げて運んだりすることがあるのだろうか。

いずれにせよ、デザインの目的である本来のユーザーにとっては意味をなさない突起なのだから、制約をデザインすべきだろう。例えば、キャリーケースのように、ふだんは突起を上面に埋め込んで、使うときだけ上に引き上げられるようにするのはどうだろう。

そうすれば、①②のミステイクは起きなかったはずだ。

次の問題は③の数秒間なにもできなかったということだ。なぜ直感的に空け方がわからなかったのだろう。それは、蓋を空けるという行為に対応する適切な手段が瞬時に見つけられなかったからだ。つまり、対応づけが良くなかったということだ。蓋を空ける取っ手はこんなデザインだった。

英語と日本語で(意味は同じなのに)立体的に分離してしまっているデザインも気になるが今回は取っ手に集中しよう。わかりづらくないだろうか。

少なくとも私にとっては、「面を上に持ち上げて空ける」という行為に対応する取っ手はこういうデザインが思い浮かぶ。

こういうデザインの取っ手が、英語と日本語の間くらいに取り付けられていたら、きっと迷うことなくゴミを捨てられたはずだ。

これは、ユーザー的不服従|『誰のためのデザイン』でも触れたが、デザインの共有の問題だ。少なくとも私には、今回の取っ手は蓋を空けるという行為に対応するデザインとしては共有されていない形だった。

年齢、国籍問わず人々が飲んだり、歌ったり、奏でたり、踊ったり、走ったり、思い思いに過ごせる代々木公園はお気に入りだ。ゴミ箱のデザインが改善されて、気持ち良くゴミを捨てて家路に着ける日が待ち遠しい。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートありがとうございます。『心の進化を解明する―バクテリアからバッハへ―』か『全体主義の起源』を買う足しにさせていただきます。もちろん、noteにまとめてシェアします。m(_ _)m

真に器量の大きな人間は「できる」と思わせてくれるものだ―トウェイン
7

敢太

思いやれないデザイン

『誰のためのデザイン』を拠り所に、日常の悪いデザインをみつけては批判します。#ユーザー的不服従のタグをつけてくださったnoteは勝手に追加させて頂くかもです。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。