前略、関東平野#23 渡辺隆

前回のあらすじ
北海道営業の道中、羽田空港で西口プロレスの面々と出会い色々あった。

空港に現れたまさのりさんは開口一番
「Bye For Now」

日本語で何かを伝えようとしたのだろうがそうとしか聞こえなかった。

日常で彼が何を言ったか解らなくても基本的に聞き返す事はない。
絶対に重要ではないことだから。
聞き返した方が損をすることの方が多い。
我々は大事なやりとりは筆談で行う。

まさのりさんは地元の札幌に帰るということでお土産のひよ子を大量に抱えていた。
まさのりさんがひよ子の当たりみたいになっていた。

飛行機に乗るために手荷物検査へ
喫煙所で私からライターを借りたまさのりさんのカバンからライターが4つ出てきた。
まさのりさんはなにもなかった顔でゲートへ向かう。

「26番ゲートだ。」とまさのりさん。
まさのりさんはわかりきっている事を大きな声で言葉にする。そうやって生きてきた。
そう叫んだまさのりさんは4番ゲートをじっと見ていた。

飛行機に乗り込んだ我々。
我々は前後の席。私が後ろ。
飛行機が飛び立つ時、「揺れにご注意ください。」のアナウンスが終わるやいなや揺れで窓に思いっきり頭をぶつけるまさのりさん。
もちろんノーリアクショウだ。
本人的にはぶつかっていない。
飛行機が安定してからまさのりさんの頭は微動だにしなかった。
死んでいるのではないかと少し不安になった。
着陸の際はもちろん頭をぶつける。

飛行機を降りるとまさのりさんが見当たらない。
後で連絡をとればいいと思いトイレへ。
トイレに行くと、長蛇の列。
前の方でオシッコがした過ぎてじたばたしている人がいる。
ドリフのトイレが満員のコントの志村けんと同じ動きだ。
案の定まさのりさんである。
まさのりさんのジタバタを見た前の人がまさのりさんにトイレを譲っていた。
私は初めてトイレジタバタの成功例を見た。
「飛行機に乗る前から行きたかった。」とまさのりさん。
飛行機の中にもトイレがあるのを教えると驚いていた。

札幌に到着。
まさのりさんは初めて来たかおをしていた。

右や左の旦那様、どうかこの惨めで哀れな三人にお恵みを・・・