ベッドではない。

薄い布団に仰向けに寝転んで部屋を見渡すと人がいっぱいで気分が悪くなる。

CDも漫画も座椅子もこの布団もテンピュールかなんかの枕も服もパンツも靴下も除湿機も柱もぜんぶ人の思いや考えや妥協や知恵や打算の完成で塊で歴史でいつも吐いてしまう実際に。

僕はトイレでは吐かない。真上に吐くと死んでしまうのでいつも横に左に寝返って吐いている。トイレに行ったところで便座も便座カバーもウォシュレットもカーペットも芳香剤もトイレのドアノブもぜんぶ人人人人人人で吐いてる途中に吐いているみたいな感覚になる気持ち悪くて。

そういうときに僕は相撲中継を見る。スマホのカメラロールには相撲中継の録画しかない。スマホ自体も人の結晶でキモイのだが目を瞑ったまま息を止めたまま写真アプリをタップして相撲中継まで辿り着く。相撲中継を見ているときだけ安定した呼吸ができる。人を感じないから。なんか背景の国技館の内装？とか行司の身につけてるものとか土俵は人過ぎるから友人に頼み込んで相撲取り2人だけが切り取られ背景が透過された動画を編集して何個も作ってもらった。スマホの画面に相撲取り2人だけが浮いた状態で空中戦してるみたいな動画が35個ある。これがいちばん人を感じない。人でしかないから、人を感じない。人に人を感じる必要がないから。無論、まわしも透過されている。まわし部分がT字に透過された相撲動画。これが安寧。僕にとっての安寧（オアシス）。

というのは嘘で。

えっちなどうがもいっぱいめちゃめちゃあります背景が透過されてるやつ。

かっこつけてました。