今もこうしてあるなかで VF4FT

 VFNETの実装でゲームの遊び方に新たな広がりを見せたのとは別に、ゲームの中身とは直接関係のないところでもインターネットとのかかわりが増えたのがVF4の時代でした。

 当時、攻略にせよプレイヤーの話にせよ、特に地方民にとってはそれらの情報源と言えば紙媒体がそのほとんどを占めていたころで、ご多分に漏れず自分も月一の発売日を心待ちにしては攻略誌を買い、隅々まで食い入るように読み込んだものです。
 しかし、その状況が個人サイトや掲示板の普及で一変しました。

 リアルタイムに近い速度でより生に近い声が伝わってくるようになり、そしてゲームの消費される速度もが一気に加速するのを感じました。
 良くも悪くも世界は広がって、そして狭まったような気分でした。

 そのうちに大会動画、対戦動画が手軽に観られるようにもなりました。
最初は大会絡みのものを主にゲーセン関係者が公式サイトで、やがて個人も自分のサイトで配布するように。まだストリーミングもほとんど広がっておらず、数分から数十分の動画を全て自分のPCにダウンロードしていました。

 同じ大会動画を何度も何度も再生し、顔も知らぬトッププレイヤーの動きに憧れてはいろいろと想像を膨らませていて、思うにスポーツ観戦のような楽しみ方をし始めていたのだと思います。それも野球少年がプロ野球選手に向けるようなまなざしで。

 こうなるともう、バーチャファイターはただのゲームではありませんでした。

 日々ネットを眺め、有名人の日記を読み、掲示板で新たな攻略を見つけた時にはすぐゲーセンに向かって自分でも試し、段位が上がれば喜び落ちれば煮え、そういった全てをひっくるめてとにかく充実していました。さすがにそれ中心とまではいかなかったものの、生活に欠かせないと言えるくらいにはなっていたと思います。

 FTの後半ともなればさすがに地元の環境にも少なくない停滞感はありましたが、それでも遠出が必要になるくらい対戦相手に困るということは決してなく、それに自分はただ一人用で晶を動かしているだけでもまだまだ楽しかったですね、末期と揶揄されていたその頃でも。前項で書いたとおり、ヤクホと避け投げ抜けはいつまでたってもおもしろかったですし、どの技を出してもボタンとレバーの手応えが気持ちよく感じられました。画面の中の晶はいつでも格好良かった。
 おかげさまでバーチャファイター4は最後までとても楽しいゲームのままでした。たくさんのいろいろが運よく噛み合ったのだろうとも思います。
 その上で言えます。いい時代でした。

 そして、バーチャファイターは次の時代を迎えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?