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コワーキングとコリビングの結婚

※この記事は、ニュースレター「ちょっと先行く海外コワーキング&コリビング最新情報 — Issue #21」から、一部編集して転載しています。
※画像:Coworking Resources

「コワーキング+コリビング」というパッケージが急速に世界中で広まりつつある。コワーキングという共用ワークスペースでリモートワーカーやデジタルノマド、あるいはスタートアップなどユーザーが増えるに連れ、「いっそのことここに住んでしまったほうが便利じゃないか」という発想は当然の帰結と言える。

これは、とりわけ労働人口の過半を占める勢いのミレニアル世代の生き方、暮らし方、仕事の仕方の「選択の自由」が社会的に認められるように(認めざるを得ないように)なってきたことと、彼らの消費思考(行動)に裏打ちされた昨今のシェアリングエコノミーの広がりとも無縁ではない。

それを後押しするのがインターネットをはじめとするテクノロジーで、今や暮らしたいところ、行きたいところ、滞在したいところで仕事もできる時代だ。そうして彼らは人生を楽しみながら生きていく。楽しみながら世界を移動して、ついでに起業する。

ところで、コリビングとは何か?という議論は、実は海外でも頻繁に起こっている。共同生活のいちパターンという認識が独り歩きしている感があるが、そもそもはフリーランスや個人事業者がコラボを組んでプロジェクトを進めるワークスタイルを、より円滑に柔軟に推進するための施設、ということだった。

つまり、ただ家賃を按分して安く住まうという目的だけではなくて、逆にメンバーのさまざまな目的(ビジネスとは限らない)の達成のためのひとつの装置としてコリビングがある。

だから、コリビングはツールであって目的ではない。この点は、コワーキングスペースと同じ。あくまで方法論だ。

入居者は個別の部屋を持ち、リビングルームやキッチンやダイニングルームは共用(パブリック)スペースとして用意されている。これに、部屋の掃除サービスやランドリーなどがついていたりする。表現が適切ではないかもしれないが、介護施設のグループホームに似てるといえば似ている。

そこに共用ワークスペース、つまりコワーキングスペースが併設されているのがよくあるパターン。つまり、コリビングはコワーキングの延長線上にある。だから、「コワーキング+コリビング」の登場はごく自然な流れと言える。

その文脈でいうところのコリビングでは、同居するメンバーとのあいだでコミュニケーションするうちに互いにヒントやアイデアが交換され、プロダクティビティやクリエイティビティが増幅され、場合によってはチームを組んでビジネスが起ち上がる。

これが一人で自宅にこもっていると、テレビやペットや家族や隣人にじゃまされて、気楽なように見えて生産性が高まらないというジレンマに陥る。加えて、孤立感に苛まれて精神を病むというケースも実は増えてきている。その点、「コワーキング+コリビング」はシンプルだけど仕組みとして良く出来ている。

「コワーキング+コリビング」は、特定のオフィスで仕事をしなくなったリモートワーカーにとって、新しい出会いを生み、互いの創造力を拡張し、より深いレベルで他のプロフェッショナルとつながるインフラとして機能している。

ただ、最近は、インドや中国などの人口増加が劇しく住宅事情が悪い国では、いわゆる「共同住宅」としてのコリビングの建設が後を絶たない。インドでは大学の学生寮としてコリビングを導入するケースも現れていて、今や世界の不動産業界はコリビング・ビジネスで沸き立ち始めている。

ちなみに、インド発のホテルベンチャーOYOは、中国、インドネシア、イギリスにホテルを展開しているが、その高いテクノロジー能力を生かして急速に事業展開しており、この4月、ついに日本への進出を発表した。

インドOYOの日本参入 「取り残されたホテル」の活路となるか

OYOはホテル以外に賃貸住宅も手がけるが、コワーキングスペースならびにコリビングへも意欲を見せている。

さて、今日の参考記事で例として取り上げられている「コワーキング+コリビング」についてメモしておこう。ぜひ、各サイトも見ていただきたい。

Outsite

2015年にEmmanuel Guisset氏が開業した「コワーキング+コリビング」。リスボン、コスタリカなど、18ヶ所で展開。

Sun and Co.

スペインのハベアにあり地中海では最初の「コワーキング+コリビング」。
ここを世界のコワーキングを訪ねてビデオリポートしているRemote Collectiveの動画があるので参照されたい。

Selina

今回の一番の注目はここ。2014年創業で、メキシコ、コスタリカ、パナマ、エクアドル、ペルー、ニカラグアなど中南米を中心にその勢力を伸ばし、今ではなんと世界に55ヶ所の「コワーキング+コリビング」を展開している。注目すべきは、その中にイギリス、ポルトガルなどヨーロッパ、それにアメリカ(Woodstock)のロケーションも加わり始めたこと。実はSelinaは今年の4月に8億5,000万ドルの評価を得て1億ドルを調達している。

Selina raises $100M at an $850M valuation for its network of living spaces for digital nomads

この記事が掲載された時点で13カ国に22,000ベッドを擁しているとあるが、今後、2023年までに13万ベッドにする計画らしく、2019年だけで35ヶ所をオープンするというとてつもない勢いだ。

どこかで聞いた話だと思うだろうが、そう、WeWorkの世界展開によく似ている。というか、ぼくは、近い将来この両者がどこかでクロスすると思っているが、その件はまた別の機会に書くことにする。

しかし、どのサイトもよく出来ていて実に楽しそう。これは行きたくなりますね。

参考記事:The Marriage of Coworking and Coliving


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カフーツ伊藤

コワーキング・プロデューサー。メディア企画、執筆、翻訳、編集。Webビジネス・コンサルタント。経産省認可法人「コワーキング協同組合」代表理事。「カフーツ〜コワーキング@神戸〜」主宰。目下のテーマは、グローバルなビジネス・リレーションシップを構築するコワーケーションの啓発と普及。

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