今日のアウトテイク#142「Enspiralの共同出資システムが教えてくれること」ほか【メンバーシップ特典】(2024-04-08)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」

※noteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加いただくと有料記事も全文読めます。初月度無料です。

James Taylor は素晴らしかった。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"毒蛇は急いそがない。"
(開高健 / タイの諺『フィッシュ・オン』)

#告知:コワーキング開業運営講座+フィールドワーク #1茅ヶ崎チガラボ編「コワーキングがまちづくりに果たす役割とその方法」

かねがね告知している、今月、21日の神奈川県茅ヶ崎市の「チガラボ」さんでのコワーキング開業運営講座がYahoo!で紹介されました。今日、湘南経済新聞で記事にしていただいたのが転載された模様。有難うございます!

コワーキングはただの作業場ではありません。コワーキングは人と人がつながり、それぞれの目的や課題を共有し、相互に補完しながら実現や解決に導くコミュニティとしても機能しています。

その過程で地域に価値を生み出し、活性化することで、まちづくりのための重要な役割を担っています。

この講座では、そうしたまちづくりのいち手段として、コワーキングスペースをどのように位置づけ、どういう視点でまちを捉え、どんな活動を行うことで地域に貢献できるかを学びます。

講師は長年茅ヶ崎というまちで実践してこられたコワーキングスペース「チガラボ」の清水さんです。実際に茅ヶ崎のまちを巡るフィールドワークを交えての5時間30分です。

※4月13日(土)までに参加申込みいただいた方には、早期申込み特典として4月14日(日)の「チガラボチャレンジ」無料参加券(オンライン or リアル)を進呈します。

「チガラボチャレンジ」についてはここに書いてます。

まちづくりに取り組んでいる方、地域の活性化に役立つコワーキングを運営したい方、また、地域住民の交流と活動を支援するためにコワーキングの開設を計画している自治体や、学生と社会人の交差するコミュニティーの構築を目指している教育機関関係の方にも、ぜひ参加していただきたいです。

講座のお申し込みはこちらから。

#東京は安い

フォーブス誌によると、ベトナムのホイアンは今最も安い旅行先として第1位。一日64.51ドルで過ごせる。ケープタウンが68.48ドルで2位。モンバサが69.96ドルで3位、ときて、なんと東京が74.43ドルで4位ですって!

🇻🇳 Hoi An is the cheapest travel destination in 2024! According to Forbes, Hoi An Leading the list as the cheapest...

Posted by Travel Pro on Monday, April 1, 2024

他に東南アジアからは、インドネシアのバリ島クタが1日79.79ドルで7位、マレーシアのペナンが93.98ドルで11位、プーケットが97.97ドルで12位と続く。日本人からしたら、東南アジアのほうが安いと思うかもしれないが、それは昔の話、現実は逆らしい。

しかし、今回の東京出張では、ホテルがめちゃくちゃ高かった。これ、当分、続くんでしょうね。やれやれ。

#企画中:(仮)カフーツ深夜ブッククラブ

深夜コワーキングに続いて、こんなイベントを考えている。

読みたい読みたいと思いながら、なかなか本を読む時間を作れない。
それなら、いっそ先に時間を決めてしまおう。
メッセージやメールに煩わされない深夜がベスト。
23時〜6時。
そこでゆっくり、のんびり、心ゆくまで読書する。

ヒントになったのはこちら。

こちらは、元々、「おいしいコーヒーが飲めて、お腹がすけば食事もできて、飲みたくなったらお酒も飲めて、 つまめて、そんな場所で気が済むまで本を読みたい」という趣旨のもとに開業されたんだそう。理想的やないか。

で、それをオールナイトでやられたのが、つい先日のこと。これをパクって、いや、参考にしてうちでもやろうかなと。

各自、読みたい本を持ってくる。
もしくは、カフーツにある本を読む。
ご希望であればその中からセレクトしてオススメもする。

おしゃべりもOK。
飲食持ち込みOK。(ただし、調理はNG)
コーヒーは無料。
ビールはキャッシュオン。
居眠りOK。
出入り自由。眠気覚ましの散歩もOK。
途中参加、離脱OK。
参加費はドロップイン+深夜料金で、さて、いくらにするか。

そういえば、フヅクエさんの店主である阿久津さんの著作は以前買った。タイトルがそのまんま。

まだ、読んでなかったから、その夜はこれ読もう。

#Enspiralの共同出資システムが教えてくれること

ニュージーランドのEnspiralは、2010年に「社会的企業支援ネットワークのようなもの」として設立された。

さまざまな事業領域を持つ個人、法人がメンバーとして集まり、権力階層を排除し、対等な立場でコラボを生み出し協業するコミュニティであり、まさにコワーキング的な組織だ。

法的にはLLC(有限責任会社)だが、実際は協同組合的組織として活動しており、コワーキングのワークスタイルを持ち、資金は組織とそのメンバーに再投資される(後述)。

ちなみにメンバーは、1人1株を所有している。つまり、全員がこの組織の所有者だが、売却はできないし、また配当もない。この1株は、いわば「集団における市民権」のようなものだ。

また、Enspiralは給与制を採用せず、各人材がさまざまなプロジェクトに参加し、その貢献度によって収益の配分を決めている。ここは、各自が独立したプロフェッショナルであり、雇用ではなく取引でその収益を得ることを意味する。(ぼくらのコワーキング協同組合も同じだ)

そのEnspiralのハブとなっているのが、メンバーからの自発的な寄付により運営されているEnspiral Foundation(財団)。←財団を持っているということに注目。

(画像出典:Enspiralウェブサイト)

2013年当初、Enspiralはメンバーが生み出す収益の最大20%を徴収し、その4分の1を財団に寄付し、残りの15%を組織の運営費や新たに開発するサービス・プロジェクトの資金に充てていた。つまり、そうして、皆で資金を還流させることでこの組織を継続させてきたわけだ。

なお、その割合は請け負った案件ごとに各メンバーが自由に変更できる。そういう自由裁量の余地も持ち合わせているところがいい。

で、このEnspiral Foundationの資金配分に利用されているのが、メンバーの銀行口座を仮想化し、売上を組織内で再分配するシステム「Cobudget」だ。これはEnspiralのメンバー企業が独自に開発した。

(画像出典:Enspiralウェブサイト)

たとえば、Aさんが仕事をして500ドルの売上を上げたとして、仮にその20%をEnspiralの「集団基金(collective funds)」に回すとすると、残りの400ドルはAさんのシステム内の口座に入る。入金されたお金は、いつでもログインして確認できるし、もちろんAさんは自由に使える。

便利なのは、システム内で他のメンバーに送金できることだ。つまり、Enspiralで仕事を手伝ってくれるメンバーとコラボし、システム内のそのメンバーの口座に即座に入金できる。

さらに秀逸なことに、Enspiralの「集団基金」に拠出した20%の使い道も自分で決められる。つまり、メンバーからの「集団基金」への20%の拠出が、ただ徴収されるだけの税金ではなく、自分の意思が反映される投資のようになっている。

ここで「共同出資」というプロセスを経る。この基金にプールされた資金を、Enspiralのメンバーが起案するプロジェクトにメンバーそれぞれが再投資する仕組みだ。

「集団基金」の使い道についてのアイデアがあれば、バケツと呼ばれる入力欄にそのプロジェクトを書き込んでCobudgetに登録する。メンバーは仮想のお金を渡され、支援したいバケツにお金を入れて回る。

いわば、組織内クラウドファンディングとでも言おうか。下図にその流れが示されている。左からアイデアと資金をCobudgetに保存し、真ん中でアイデアについてディスカッションして、右端で自分の気に入ったプロジェクトにそれぞれがファンドする。その結果はオンラインで全員に共有され、予算となる。

(画像出典:Edmund Hillary Fellowship ウェブサイト)

ぼくはEnspiralのニュースレターを受信しているが、その3月号にこういう記事が載っていた。

雑訳すると、

最新の「Cobudget」ラウンドは終了した。使い残した資金を再分配し、さらに5つのバケツに資金を提供し、6つ目のバケツのための最小限のしきい値に到達した。次の数ヶ月は、バケツ・ホルダーたちが資金を得たアイデアを実現させるための活動がたくさん展開されるだろう。

こうしてEnspiralでは、多種多様な職種の人たちが集まり、コラボを組むことでビジネスを回し、そこから上がる収益を組織に再投資するという仕組みを、メンバーの明確な参加意識をもって実行している。

これはつまり、仲間の発案するアイデアを応援し、かつ、コミュニティの財政を共同で管理することを意味している。スバラシイ。とても民主的なしくみだ。

コワーキングという共同体の維持継続を図るために、メンバーからの出資を募るという発想は、日本にはまだまだないと思う。いや、世界でも稀かもしれない。しかし、コワーキングも協同組合的な仕組みを取り入れれば、こういう相互扶助的かつ共創的な取り組みをベースにした運営が可能になる。

つまり、コワーキングがメンバーと合体して協業者、もしくは協働者としてひとつの事業体になる、ということ。そして、その収益の一部を出し合い、次のカツドウに共同出資するということ。特に人口の少ないローカルのコワーキングには、この発想が必要だと思う。いっときの場所貸し業ではなくて。

ただし、そのためには、まずコミュニティとして成立していなければ、そうはならない。

Enspiralの場合、それは、ぼくの勝手な考えでは、この5つの価値をメンバーが共有できているからだと思う。

ところで、なかなかリリースされないのでヤキモキさせて申し訳ないのだが(あと少しお待ち下さい)、例の「全国のコワーキングスペースが開催するイベント情報を共有し、その収益を再分配するアプリ、「cosac」は、実はこの「Cobudget」からヒントを得ている。

Aさんが支払ったイベント参加費から数%を組合がプールしておき、起業・創業や社会課題の解決、あるいはイベント企画などの「これをやりたい」というプロジェクトを登録した人に、参加者全員の投票をもって再投下する仕組みを持つ。

詳しくはこちらを。

ちなみにこのアプリは、コワーキングというスキームでつながるネットワークが構成する、新しい経済圏創出のイントロだと考えている。大げさに聞こえると思うが結構マジです。

いずれにしろ、コワーキングがメンバーの協力によって価値を創造する装置であるとすれば、そこから上がってくる資金活用の方法も考えておいて無駄ではない。Enspiralは、そのお手本の一つを示してくれている。

そして、こういう仕組みを持つコワーキングが現れてはじめて、コワーキングは次の扉を開くことができるのだと思う。

ということで、今日はこのへんで。


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