今日のアウトテイク#23「リモートワーカーは現代版「世間師」か ほか」【メンバーシップ特典】(2023-12-11)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼

※noteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加いただくと有料記事も全文読めます。

今日のアウトテイクは、「iitoco!! Advent Calendar 2023」に参加して書いている。調子に乗って、うっかり4700字を超えてしまった。

※読んで面白かったらぜひシェアくださいまし。


#今日のBGM

RIP, Rick.

#深夜コワーキングVol.1 (告知)

今週土曜日は「深夜コワーキング」で仕事しよう。

先月のテスト版を経て、正式にスタート。夜、23時から翌朝の6時まで、カフーツで。夜型の方にピッタリ。ぼくもそのクチ。

深々と更け行く夜の静寂で集中して仕事してると、ふと誰かの一言からはじまるおしゃべりに全員がテンション上がったり、かと思うと、すーっとまた仕事に戻っていったり。この緩急がオモシロイ。

仕事したりおしゃべりしたり、要するに、普通のコワーキングです。夜食もご自由に。やること終わった人から飲んでいいルールです。

ぜひご参加を。

#今日のコトバ

あらゆるものには罅(ひび)がある
光はそこから差し込んでくる
(レナード・コーエン)

#福江島のコンネホテルはリモートワーカーに最適

先週の「コワーキングツアー Vol.24 〜離島コワーケーション:長崎県五島市福江島編〜」で利用したコンネホテルは、割と使い勝手がよかった。

事前にネットで調べたところ、シーズンなのかなんなのか(ホテルの人も判んないと言ってた)どこも満室で、困ったと思って電話しまくってたら、運良くここの「エコノミーシングル」が取れて4泊した。

部屋は広くない。というか狭い。でも、仕事して寝るだけだから、それはさして問題ではない。

オモシロイのは、各室に洗面台はあるけれど、浴室がない。なるほど、それで面積を節約しているのか。その代わり、一階に大浴場があって25時まで入れる。朝は5時からOK。

たしかに、この手のホテルの浴室ってめちゃ狭いし、使いにくい。大浴場があれば、各室に無理に作る必要ない。カシコイ。合理的。

ぼくは大浴場派だから(なるべく大浴場のあるホテルを選ぶ)、むしろ大歓迎。小さいけれどサウナもある。サウナーではないが、5分だけ汗を流した。

で、それもそうだが、何がよかったかと言うと、デスクに適度な奥行きがあること。これ、リモートワーカーには最重要事項。

普通のホテルなんかは、よほど高級でない限りカタチばかりのテーブルがあるだけで、パソコン開いて仕事するのに、なにかと不便を強いられる。特に奥行きが狭い。

部屋で仕事するワーカーのことを想定していないんだろうが、今どき、そんなことはない。リモートワーカーにとっては都合が悪い。ネットで検索した時、部屋の面積とかベッドのグレードよりもデスクの奥行きの長さを表示しておいてほしい。

ここは写真を見ればお判りのように、狭い部屋の一隅を斜めに切ってデスクが設えられている。それで結構な奥行きが取れている。狭いゆえの苦肉の策であることが判るが、それがいい。おかげでストレスなく仕事できた。同じホテルに泊ったSさんも同意見だった。

ないならないで、なんとか知恵を絞ってやる。狭いという物理的ハンデを見事に逆手に取ったこの事例は、コワーキングスペースを設計するときにも参考になるかもしれない。広ければいい、てワケでもない。利用者の不便をどう解消するか、が肝心なので。

余談だが、もう終わりかけているWeWorkは、昔は設計の段階でどこにシュレッダーがあればコワーカーにとって便利か、までを想定して設計していた。それを知ったときは流石、判ってるなぁ、と思ったが、どこでどう道を誤ったのか。

南無。

#コワーキングマネージャー養成講座@オンライン(告知)

「コワーキングマネージャー養成講座@オンライン+オプショナル現地オフライン補講」、第5期受講者募集中。

週一回のオンライン講義にオプションとして現地コワーキングでのリアル補講をミックスしたハイブリッド方式。

※受講お申込前のご相談もオンラインで受け付けています。希望の方は下記のサイトの「お問い合わせフォーム」からお申し込みください。

なお、一部の自治体ではこの種の講座の受講料を補助する制度があり、過去には福島県の補助金を活用して受講された方もおられますので、一度、地元自治体の問い合わせてみてください。

なお、「早割」は12月21日(木)23:59までです。興味ある方はお早めにこちらまで。

#リモートワーカーは現代版「世間師」か

この本は久々に宮本常一のスゴさを思い知らせてくれる。それを言語化してくれた著者(というか、話者)おふたりも流石。

宮本常一の言う、かつて村々にいた「世間師」が、世間と世間のあいだを行き来して、情報やさまざまな価値観などを交換していく存在であるならば、ぼくらのような全国のコワーキングを回りながら仕事する「移働者」(リモートワーカー)は、現代版「世間師」と言えるかもしれない。

事実、各地で内と外との人間関係をむすび、相互に情報共有して、そのつながりを将来に活かそうとしている。まさに宮本の言う「世間師」だろう。

そして、「移動を繰り返しながら情報をやり取りしていく人々が流動している空間こそが「公共」というものに一番近いと言えるかもしれない」という畑中章宏氏の意見にもうなずける。ここにコモンであるコワーキング(スペース)の存在価値がある。

ところでぼくはいずれ、コワーキングを民俗学、社会学の視点で論考しようと思っている。各地に根ざした文化の中で、ローカルコミュニティとしてその地に必要とされるコワーキングと、内外問わずそこに集いつながる人々の実像を書き記しておきたい。

この「今日のアウトテイク」も実は、その仕込みの意味もある。来年、10年ぶりに『コワーキングマガジン』を紙の出版物として復刊する予定だが、そこにうまく帰結させたい。

#似ているけれども、違う

リモートワーカーとリモートコワーカーは、ちょっと違う。
リモートコワーカーは、デジタルノマドとも違う。

言葉は似ているけれども、違う。
こういうカタカナ英語を、日本人は誤解しやすい。
誤解したまま、使う。

で、ときにこういう事案が発生する。

#これは決してワーケーションではない

地方自治体が主催者となって催行するイベントには、「ワーケーション」の冠をつけるものも少なくないが、だいたい移住促進の文脈で、一時、ワーケーションを体験していただき、いずれ移住へ導きたいという意図があるのは周知のこと。ぼくは、そもそもそこに無理があると思っている。

「移住」より「移働」する人をたくさん持ち、観光ではなく、その人たちが地元の人たちとの協業・協働関係を結び、年に何度も訪れる方が、移住者の納税を期待するよりよっぽどローカルの維持継続に寄与すると思っているのだけれど、どこの自治体も判で押したように「移住」「移住」と叫ぶ。日本中で人口が減っていくのは明らかなのに、それを奪い合ってどうする?まったく思考停止しているんじゃないかと思う。

一方、旅行会社は、コロナ禍真っ最中に菅官房長官(当時)が「ワーケーション」と口走って以来、これをチャンスとばかりに(コロナでコテンパンにやられていたので)、「ワーケーション」というバズワードを操ってビジネスを仕掛けてきた。そこに思考停止した自治体が乗っかる。

そんな構図が透けて見えるのが、この企画。開いた口が塞がらないとはこのこと。

冒頭、

「ワーケーション」とは「ワーク(仕事)」と
「バケーション(休暇)」を組み合わせた言葉
観光を楽しみながら
ホテルやワークスペースを利用して
その地で仕事もするというニューノーマル時代を
象徴する新しい旅行のスタイルです

とある。ここからして、すでに間違っている。

ワーケーションは「新しい旅行のスタイル」ではない。主目的は仕事だ。環境を変えることで、心身ともにリフレッシュして仕事に取り組む、というのが本来の趣旨(そこにもぼくは異論があるが、このまま進める)で、決して「旅行」が主目的ではない。

観光的な要素はおまけでしかない。むしろ、予定を詰め込まない「余白」を作って、それを愉しむことが本当のワーケーション。

だいたい、語源の「バケーション」は、2泊3日なんて短時間の旅行を意味しない。それはリモートワークの範疇。我々日本人には馴染みがないが、本当なら1ヶ月、2ヶ月を休暇で過ごすのがバケーション。最低でも2週間か。

そもそも「Workation(ワーケーション)」という言葉を作ったのも外国の人で(それをそのままドメインにしたのはバリにいたスペインの方)、彼らのオツムに「2泊3日」なんか到底あり得ない。ここにもカタカナ英語に弱い日本人がモロに現れていて、「は?」で終わる。

そのへんのことは、過去に何度か書いてるので、ここを漁ってみてください。

で、この企画のスケジュールが奮ってる。「ツアースケジュール」のところを見ると、ワーケーションと言いながら、ワーク(仕事)の時間が、ない。

2日目まで観光を楽しんで(目的が婚活だから、そういう時間はたしかに必要だろう)、3日目に婚活セミナーをし、そのあといわゆるマッチングタイムがある。この間、わずか2時間。まさか、「婚活セミナー」はワーク(仕事)とは言わないだろう。

ただの観光旅行に婚活セミナーをくっつけただけだったら、シンプルに「婚活ツアー」としたほうがよっぽど判りやすいのに、なぜ、わざわざ「ワーケーション」と言うのか?推測の域を出ないが、バズワード(流行り言葉)を使ったほうが反応がいいと思ったのだろう、その了見が実にケシカラン。

やっぱりこれは「広告に偽りあり」と言わざるを得ないのではないかな。

こうして、ワーケーションという言葉を知らない人が、これをワーケーションだと思ってしまう。それが残念。

主催の姫路市は事態の深刻さに気づいていないかもしれない。それもまた、地方自治体あるあるで、知ってか知らずか世間をミスリードすることに加担してしまう。主体(主催)であるはずなのに、あまりの見識の無さが露呈していて悲しくなってくる。

ぼくの友人の中には、地方自治体の人もいるし、旅行業界出身の人もいて、それぞれのポジションで「ワーケーション」というものを正しく認識してカツドウしている人もいる。彼らはローカルコワーキングを普及させるぼくのカツドウにおいても重要な人財であり、毎度、お世話になっている。

彼らの心中、いかばかりか。穏やかではないだろうなぁ。

自治体と、それと、旅行業界に猛省を促したい。

#無理にワーケーションしなくてもいい

ついでに、もうひとつ。

なにも無理にワーケーションしなくてもいい。休暇と仕事をきちっと分けられるなら分けたほうがいい。そのほうが絶対にスキっとする。

ぼくみたいに分けないほうが自分のリズムに合うなら、それが身についてるなら構わないが、そうでないなら無理してやる必要は全然ない。

生産性アップとか言うのも、そんな気がするかもしれないが、幻想だ。だいたい日頃から生産性の高い人が「余白」を作って、自律的に出かけていく、それがワーケーション。

会社の指示ではなく、自分でスケジューリングして、自分でブッキングして、知らない町で「余白」を愉しみ、人のつながりを持って帰る。それを自分の財産とする。

そこを目指そう。

ということで、今日はこのへんで。

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