ナランチャの作文

こちらの物語は、 JOJO第5部のその後、そして誰も死ななかった世界での妄想物語となっております。( ややBL風味です。)

ほいっ!みんな、こんちー✋ナランチャです!!
街の夏休み企画とかで、家族の作文ってぇやつを書いて応募して入賞したら、絶品と噂の「黄金のコロネセット」がもらえるんだって!通常は数量限定で朝から並ばないと手に入らないらしいんだ。
コロネってさぁー食べた事なかったんだけど、うちのチームに新しく入ったジョルノってヤツの髪型がそっくりでさぁ、パン屋でチョココロネを見たときは「これだぁ!!」と思って、みんなの分も買って帰ったわけ。
それで、みんなで「ジョルノの頭うめぇーw」とかスゲー笑いながら食ってさぁw
ジョルノは耳まで真っ赤にして、それでも嫌がらずに「美味しいですね」なんて言って、あいつ、すげぇ良いヤツなんだよな!
今は、組織のボスになんてなっちまったから、あの頃みたいには話せなくなっちゃったけど。おれからすれば、なんでそんなお堅くて面倒くさそうなもんに成りたいのか分からないけど、それがあいつの夢ってやつらしいから叶ってよかったなぁーって心から思う。
実際、街は少しづつだけれど変わって来てて、路地裏や道端でうずくまってる人を目にすることが少なくなって来てる。なんか街の雰囲気がどんどん明るくなって行くんだ。
だから、すげぇヤツだと思うし、最後までついていこうって思ってる。
ブチャラティなんか「この人、いつ寝てるんだろう?」て、くらいに忙しそうなのにさ、楽しそうに見えるし、なんか優しくなった。元々、優しい人ではあるんだけど、以前はなんかピリついてて笑った顔なんて見たこともなかった。
今はさ、笑うんだよ。本人に言ったら怒られるから内緒だけど、笑うと超かわいい。
アバッキオのヤツはさ、きっとそれが悔しいんだな。
自分が出来なかった事をジョルノがやるからだ。あいつはブチャラティの事が好き過ぎるくらいに大好きだから。まぁ、おれだってフーゴのヤツがかわいい女子にナンパとかされてる姿をみると、すんげぇムカムカしてくるから、その気持ちはわからんでもないけども。
ブチャラティがジョルノを連れてきたときに、何かしら感じ取ってたのかもな。
でもさ、ムカムカしたからってティーカップに小便注いで「飲め!」なんて絶体に言わないね。せいぜい、わざと計算間違えてフーゴを怒らせて気を引くぐらい?
あの後、ブチャラティがレストランの店主に謝罪したらしいから、そういう好きな子を困らせる様なことをしたら駄目だよね。
まぁ、おれと似たような事するアバッキオは図体のでかいお子様なんだろうな。うんうん。
そうそう、うちにはもう一人、キングオブお子様のミスタがいるんだけれど!どうも最近、トリッシュに恋しちゃったみたいでさぁ、すんげぇ面白んだ。
急に自分の体臭を気にしだしてさ、香水つけて来やがって。それが、スゲェ臭せぇのっ!
アバッキオに「俺のオヤジと同じ匂いがする。」なんて、言われて嫌がられてショック受けて、あんときの顔、今思い出しても超笑えるw
でもさ、二人が上手くいって結婚とかしたら、ピンク色の髪をしたチビミスタに会えるかもなんて想像するとワクワクする。まぁ、女の子はトリッシュに似てる事を願うけどね。
めっちゃ甘やかして可愛いがったら「俺の娘はお前にはやらん!!」とか、言い出しそうだよね。ミスタのヤツw
では、最後におれの相棒フーゴの事を書きます。
フーゴは面も良くて頭もすげぇ良い。しかも、普段は礼儀正しくて優しいから、めちゃくちゃモテる。モテるから、すげぇ腹が立つ。
でも、大丈夫です。フーゴは滅茶苦茶キレやすいから。
きっと恋人が出来ても直ぐに振られるでしょう。間違えて結婚しようもんなら、DV夫として訴えられるかもしれません。
でも、おれ達なら大丈夫です。怒鳴られたら怒鳴り返すし、殴られたら殴り返すからです。そんで、仲直りしたら一緒にうまい飯を食うからです。今までもこれからも。
これがおれの家族です。
なので、絶品と噂の数量限定「黄金のコロネセット」を家族と食べるので、おれにください🤲
よろしくお願いします。

フーゴが頭を抱えて唸っている。
どうやらおれの作文に感動して言葉も出ないらしい。
作文コンクールに応募する前にフーゴに誤字脱字のチェックを頼んで正解だった。
「こんなもんっ!!公に出せるかっ!!ドクソ馬鹿がぁあああぁぁっ!!!!」
ぐはっっ!!!
「てめぇ!!急になに殴ってんだこの野郎っ!!」
「僕はねぇ!!女性を殴ったりなんかしませんよっ!!!」
「たった今、おれをぶん殴ってんだろうがよっ!!!」
「それはっ!!あんたが男で、想像も及ばない程の大バカだからですよっ!!!どこの世界に自分達の事をべらべらと文章にして晒すギャングがいるんですかっ!?しかも、こんな小っ恥ずかしい話を!!!」
「んだよっ!!そんなに怒んなくても良いだろっ!!!俺たちが怖いギャングじゃねぇって街の皆に分かって欲しかったんだよっ!!」
「はぁぁぁ~ぁ。」
長い溜息を吐き出して、フーゴがクールダウンして行く。
「そういうことは、街が良く変われば自然と分かってもらえる事じゃないんですか。」
「うーん、だといいけどよぉ。」
「それに、ボスやブチャラティが頑張るのは、誰かに認めて欲しいからじゃないですよ。」
そんなこと言われなくたって分かってる。だからこそ、誰も事実を知らないことが悔しいんだ。
「…おれが悪かったよ。」
「でもまあ!」
フーゴがおれの頭を掴んでくしゃくしゃにする。
「僕からの評価は百点満点です!」
嬉しそうに満点の笑顔をくれた。
「これは、僕が保管しときます。」
それで別れて、部屋へ戻って寝たのが昨晩のこと。

ドン!!ドン!!ドン!!
「ナランチャ!!いつまで寝てるんです!!起きてくださいっ!!」
あぁーーーーーーフーゴがうるせぇーーーー!!!
ベットの上の時計を手探りで探して見た……AM7:15
こんな健全な時間に起きるギャングがいるかボケ。
「もう皆、ボスの部屋に集合してるんです!後はナランチャだけですよ!!」
…ああ、なんでうちはこんな健全なギャングなんだ。
「わぁかったよぉ。今行く。」
廊下をフーゴに引き摺られるように歩いた。
「ほら、ちゃんと自分で歩いて!」
眠い眼をこすりこすりフーゴの後から入室する。
「ボス。遅れてすみません。」
「おはよぉおございます。」

「来やがったな!ナランチャ!!悪かったなぁ図体のでかいお子様で!!」
んっ!?アバッキオ!?
「お前は俺を尊敬していると思っていたのに!!キングオブお子様だなんて!!あんまりよっ!!」
んんっ!?ミスタ!?
一気に目が覚めた。
「フーゴ、てめぇ…。」
睨みつけるとニヤリと不敵に笑った。
「危険行為でしたので、ブチャラティに報告させていただきました。」
えええーーー!!あの笑顔は普通、俺の胸に仕舞って置くってやつだろうがよぉ。
「我々の事を文面にするなど!!途轍もない危険行為だぞ!!ナランチャ!!!」
ひぃっ!!厳しさは以前と何も変わってないっ!!!
「すみませんでしたっ!!!」
アバッキオとミスタが、頭を下げて謝罪するおれをニヤニヤ笑いながら見下ろしてるのが見てなくても分かる。
「そこで、この危険行為をボスと相談した結果!!!」
ええっ!?何されんのおれ!?
「この部屋に、お前の作文を額に入れて飾ることにした。」
………なんて??
「僕は感動しました。最後までついて行こうとまで思ってくれているナランチャに恥じない自分でいなければと。」
……いや、恥ずかしいのはおれの方。
「それと、立場上、学校に通うわけに行かないボスのために、家庭教師を数名雇い日替わりで来てもらっている。これからはナランチャも一緒に授業を受けるように!」
「ええっ!!!おれの仕事は!?」
「当分は学業が優先だ!お前の文章力と語彙力の無さに俺はショックを受けた。このままでは社会を相手に上手く立ち回れないぞ。」
う…ブチャラティの言う通りで何も言い返せない。
ぽん!ミスタの手が右肩を叩く。
「そうだぞお前。「すげぇ」を何回使えば気が済むんだ?」
ぽん!アバッキオの手が左肩を叩く。
「8回だ。しかも、すげぇとスゲェとスゲーと、すんげぇが入り混じった怪文書だ。」
挟み込まれたぁ。
「数えんなよ、アバッキオ!!そういうミスタだっておれと変わらないはずだっ!!」
「バカ言え!俺だってもう少しマシな文章書くぞ!」
おれ達の会話に何かを思い出したのか、ブチャラティが加わる。
「そうだな。この際だし、ミスタも授業を受けるか。」
「ブチャラティ…勘弁してくれよぉ。」
ああ、すげぇ楽しいw

「お茶が入りましたよ。」
いつの間にか、フーゴがお茶の準備をして来たらしい。
「ありがとう、フーゴ。ボス、朝食にしましょう。」
「そうだね。僕もみんなと同じテーブルで食べていいかな?」
「勿論です。」
ブチャラティのエスコートでボスが席に着く。テーブルの上に箱が置かれている。
あれは「黄金のコロネセット」だ。
驚いてフーゴを見る。
おれの知りたい答えを、傍に来てそっと教えてくれる。
「ボスとブチャラティが買って来て下さったんですよ。」
「朝早くに店に並んで!?」
「ええ。みんなと食事が出来なくて寂しがってる、あなたの為にね。」
……なんか、すんげぇ胸がぎゅってなって痛ぇ。
「みんな、席に着こう。」
ボスの隣にブチャラティが居て、ブチャラティの隣にアバッキオが居て、アバッキオの隣にフーゴが居て、フーゴの隣におれが居て、おれの隣にミスタが居て、ミスタの隣に今、居るのはジョルノだ。
おれの最高の家族だ。

「ナランチャはどのコロネが良いですか?」
「おれはね。チョココロネ!」
「僕はクリームコロネです。」
おれのボスは自分を一番に選ばない人。おれ達と共に在ろうとしてくれる。
「すっげぇな!!このコロネ!クリームの味が全部違うじゃんか!!」
あっはははっwww
いつも笑いと元気をくれるミスタ。
「ナランチャのすげぇの出所は、ミスタ。あなたですね!」
おれの事を一番わかってくれてるフーゴ。
「いや待て待て!!アバッキオの可能性だってあるだろがっ!?」
「俺はそんな言葉は使わねぇ。」
冷めてるようでいて、誰よりも忠義に厚いアバッキオ。
「ほら、お茶が冷めるぞ。早く選ばないか。」
ブチャラティは自分をいつも最後にしちゃう人。
ときどき母さんを思い出す…絶体に言えないけど。
「いや待ってくれ、残りが4つなんだ。俺には選べねぇ。」
「なら、おれが選んであげるよ!」
ひょいと、箱を持ち上げて、目の前の皿に手際よく置いていく。
「ミスタはイチゴ好きだから、ピンクのストロベリーコロネ。」
「フーゴはフルーツが好きだから、オレンジのマンゴーコロネ。」
「アバッキオは大人が好きだから、ビターな苦みのコーヒーコロネ。」
「ブチャラティはピスタチオが好きだから、新作のピスタチオコロネです。」
「知ってたのか。」
ブチャラティが笑った。
胸にあたたかい風がふいた。
「なぁ、ブチャラティ。お前、笑うとエク…ぼぐぉおっ!!」
バカミスタめっ!!
ジョルノに口を塞がれて、おれが腹をどついてやった。
ジョルノが耳打ちする。
「…エクボの事は秘密です。あの人の事だから、気にして笑わなくなっちゃうでしょ。」
「あの笑顔を奪ったら、僕はミスタを許しませんよ。」
やっぱ、うちのボスって怖えのかも。

じゃあ、ここまで読んでくれて本当にありがとう。
この出来事が誰かの頭の中での妄想であっても、僕がチームのみんなの事を大好きな気持ちは変わらないよ。
みんなも好きな人と美味しいコロネを食べて、幸せな気持ちになってね。
ブオナペティート☆

「ゲッ!これっ!!ストロベリーじゃねぇ!!!サーモンクリームチーズだぁっ!!!」
ん!?ミスタ。引っ込んでぇ、もう終わったよぉ~👋


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?