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進んでいく世界の中で、停滞は後退になる

人間は昔から今よりもっともっとと刺激を求める習性がある
古代ローマ剣闘士の時代からきっとずっと続いている
本だってテレビだってネットだってメディアはこぞってどこより刺激的な話題を求めている
その結果、びっくりするような話題、ショッキングな話題、ものを申したくなる話題、ゴシップ心をそそられる話題、どれだけパッと人の目に入り、広めたくなるかがメディアの価値に置き換わってしまっているように感じる
何を伝えるかよりもどれだけ見てもらうことができるかに注目が集まりがちだと思う

確かにそれらは目を引くものなんだけど、面白いのとは違う
少なくとも面白さのすべてではない

なんども語っているように誠実さは時に地味で着飾った不誠実なものに負けてしまうことがある
それでも最後に残るのは誠実なものだけだと信じている

残念なことにメディアを賑やかす人の中には不誠実に賑やかして小金や注目を稼ごうとする人もいる
不誠実である自覚なしに古くなった価値観を疑うことなく全てだと信じている人も

しかし、同時に間違っていると声をあげる人がいる。誰かを傷つけることなく人を尊重し、派手に脚色せず真実を尊重し、面白い物を作り出せる人がいる。不誠実さで乗り切れる時代が終わり始めているのを確かに感じるのだ

容姿が悪いことを誰かが揶揄して笑う世界はきっと終わる
詐欺まがいのタイトルで集めた人は霧のように消えてゆく
誰かの弱さを馬鹿にするのは全然面白いことではなくなる
数字はただの数字に過ぎなくなる
何かを愛していることの証明はどれだけ常識を超えた行為をしているかでは測れなくなる
若い女性に子供を作るかなんて聞かなくて良くなる
他にもたくさんのことが変わってゆく

変わることは怖い
高校時代からブスを揶揄し続けてきた知人の男に初めて反論した
あなたも前に進もうよといった
彼は「俺の人生なんで好きに進みますわ」と答えた
誰かの人生に口を出してはいけないという良心を持つ私は一瞬怯んだけど、逃げだと感じた
心底考えた上の選択なんかじゃない
私は私の人生だから、これから先もずっとブスを馬鹿にするのは間違ってるし、面白くなんかないよと言い続ける
いつか本当に通じない人もいると思ってしまう日がくるかもしれないけれど、それは少なくとも今ではない

世界が進んでいく以上、停滞は後退と同義になると思う

変わることは怖いことだけど、悪いことになるかは変えてゆく私たちにかかっている
だから怖がらなくていい
慎重に丁寧に愛を持って考えて進んでいけばいい

もうすでにその流れが始まっているけれど、言ってはいけないことや、言わない方がいいことはたくさん出てくる
それが不自由に感じる人はいるかもしれない

言論弾圧だとか言葉狩りだとかセクハラだと騒がれるとか不安に思う人はたくさんいると思う

でも、実は今が初めてじゃない
今までもずっとそうやって価値観が変わってきた
言わない方がいいことを知るのは敗北ではない。人を傷付けない自分への前進だ。今まで知らずに言ってしまったことを正当化するために言ったことは間違ってないと頑なになるのはその場しのぎに過ぎない
これから変わればいいのだ

私がメディアにでる若い女だからって、彼氏がいるかどうかなんてつまらないことを義務的に聞かなくてよいのだ
ましてや、これっぽっちも面白くないセクハラじみた質問なんてする必要ない
もう誰も私が若い女だってことに縛られなくていい
私は絶対、もっと面白い地球の生き物たちの話を聞かせるから安心してほしい
40億年前から今まで数限りなく紡がれてきた命たちの話をもっとしよう
好きなものや考えたことの話をしよう

若い女は美しくなくてもいい、恋をしなくてもいい、好きになるのは異性じゃなくてもいい、一人で好きなことをいつまででもしていていい
勿論、彼氏がいたってそれを誰にも言わなくていい
話したい時に話したいことを好きに話していい
美しい恋する乙女以外の役割を自由に生きていこう
歳をとったって負け犬だとかおばさんだとかブスだとか良妻賢母だとか決められた役割をはみ出さないように我慢する必要なんてない
それで面白いものが作れなくなるなんてことはない
私が小さかった頃から今までのたかだか20年の間だってたくさん変わってきた
でも、世界はつまらなくなんてなっていない

このまま刺激を求め続けたメディアを摂取し続けたら私たちは少し疲れてしまうだろう
辛さはいいスパイスだけど、極めるとただただ正体の分からない痛みになる
この先、面白いとされるものは少しずつ変わっていくだろう未来の世界は分からないけれど、丁寧にとった出汁みたいな優しい面白さが広がっていくのは悪くないだろうなあと思う
それは生温い世界なんかじゃない
ショックなんかで誤魔化さない、突き抜けた面白さの一歩なのだ

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