可愛くないもまた別の正義

私には、会えば、必ずブスだと言ってくる知人が何人かいる。

そういうキャラで許されている人だから、周りもなんとなく受け入れていて、そこで私が正論を述べて怒ったところで、何、本気になってるの?なんて馬鹿にされそうな気がして、何も思ってないような顔して陽気に滑稽に受け流すしかなかった。

ブスであると言われることよりもブスであることを気にしていることがバレる方がずっと怖かった。

傷ついている自分はみじめだと思った。だから、傷ついてないように見せかけようと過剰に自虐的になった。

でも、本当はずっとむかついてた。

私は本当に頑張って家族を養えるくらいの収入を得て、目標をたくさん達成したのにそれでもまだ生まれつきの顔で馬鹿にされなきゃいけないの?って。

世の中の価値が容姿の美しさだけで決まるわけない。そんなわけない。

私は自分の力でまあまあえげつないくらいのお金を稼ぐし、電車の座席に落ちてるゴミを誰が見ていなくとも拾うことができる。美味しい角煮も作れるし、腕相撲も強い。

それで何故、十分じゃないのだろうか。

それ以前に、もし、他に輝くものがなかったとしても人の容姿をとやかく言う権利なんて誰も持っていない。そこに一切の正義は認めない。

私がブスなのは変えられない事実なんだけど、そんなことで鬼の首でもとったかのようにいつまでも騒がないでほしい。私には一切責任がないのだから。

一度、テレビを見ていた知らない人に「ブスであることを開き直ってた」と叩かれたことがある。ブスであることを反省していればいいとでもいうのだろうか。

人生は思ったよりもさらに短くて、私がそんな心無い人たちの口癖みたいな悪口を気にしてる暇なんかない。

昔、「お前はブスだけど、わきまえてるブスだからいい。」といった男がいた。
私は私なりの価値が認められたと思って、喜んで、ブスとしていかに正しく不快でない振る舞いができるかを模索し続けた。あの時の私は、装い、振る舞いその全てにおいてどこに出しても恥ずかしくないわきまえたブスだったと思う。
しかし、スカートの裾に斜めにフリルの入ったドットのワンピースを着ていた時、
「それはお前の自意識的に大丈夫なの?」
と言われた。
悪意じゃなかった。恐らく普通に心配して疑問視しているようだった。そして少し侮蔑していた。
私はその時、目の前が真っ白になるくらいショックを受けて、もう2度とその服を着なかった。
でも、今は思う。私が生まれつきのブスで着たい服を制限されるなら、怠惰ゆえに無職となったお前には服を着る資格すらあるのか、どうなのだ、と。
わきまえるのなんて善悪の区別くらいで十分じゃないだろうか。

この夏、10年くらい履いてみたいと思い続けてきたホットパンツを履いてみた。本当に履きたすぎて履かずに年をとったら悔いが残りすぎて死装束をデニムのホットパンツにしてしまうと思ったからだ。

そうなるくらいなら今履いた方が絶対に良いに決まってる。

初めてホットパンツで知人たちの前に出た時、場はザワついた。

それでも、今年の夏はホットパンツを履き通してやった。私が危惧していたことなんて何一つ起こらなかった。みんな慣れるものだ。ホットパンツの美人なら、毎回新鮮な驚きも生まれようが、ホットパンツのブスなんてわざわざ認識するだけ脳のメモリーの無駄なのだ。

世界にホットパンツのブスが一人増えたって、地球は今日も回り続けるし、君たちの生活はなんら変わることはないのだ。そこには何も変わらない世界と達成感を味わったブスがいるだけだ。

先日、ずっと私をブスだといじめていた男に告白された。

でも、私は5年前、「お前はブスなんだからみんなに奢れよ。それくらいしか価値がないだろ。」と言われたのをそれはそれは執念深く覚えている。

私はその言葉を完全に本気にした。その言葉が私のスタイルを作り上げたと言っても過言ではない。

その結果、30万円の旅行をさらっと奢れるだけの財力をもつ女に成長した。

どうしようもない男たちが私をブスだと馬鹿にしてくれたおかげで私は今、結構強い。

これからも会うたびにブスと馬鹿にしてくれて一向に構わない。

私はその度にどんどん強くなって、お前らの分も余分に税金を払ってやる。

税金、おごってやるよ。

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