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プロローグ

「なるほど、そうだったんですね・・・」

次男中1、夏の個人懇談。
担任の先生がひどく納得したように言った。
「実は・・・」 
何が飛び出してくるんだ?ちょっと身構える。
「次男くんをこんなに明るくおおらかに受け止められていて、動じていらっしゃらない。
他の不登校のお子さんをお持ちの保護者の方は、動揺されたり、落ち込まれたりしているのが普通なので、
職員の中でも『すごいよね』という話が出ていたくらいだったんです。
でも・・・理解できました」

何をどう理解していただいたのかはよくわからない。
しかし、確かに少々のことでは動じない状態にはなっていたのは事実だ。
なりたくてなったわけでもなく、
なるべくしてこうなってしまっただけで、
私なんぞの話題がお忙しい職員室で出ていたのだとするならば、
非常に申し訳ないことだな・・・などと考えながら、
先生の話を聞いていた。

不登校支援カウンセラーの資格

私は『不登校訪問支援カウンセラー』の資格を持っている。
この資格は読んで字のごとく、
不登校の子供たちの自宅に直接訪問し、
本人および保護者の方とコミュニケーションを取り、
支援するカウンセラーだ。
だがその資格を取得したからといって、
私が実際にお宅訪問をしているのかというとそうではないし、今後もどこかのお宅を訪問しようと思っているわけではない。
ましてや、不登校の子供達が学校に行けるよう積極的に働きかけるつもりも、正直なところあまりない。
(自分の子供にもやってないことを、人様のお子にするわけがない)

ではそもそもなぜそんな資格を取得したのか。

・・・決心したからだった。
学校に行けずに苦しんでいる子供に、
寄り添うと決めたからだった。

親と子供は別人格であり、
物事の捉え方、考え方、行動、すべてが個々であり、
子は親の所有物でもなんでもない。
親は必死に想像する。
なぜ我が子が学校に行けなくなったのか。

だが、それはあくまで「自分の知識の範囲」に置き換えて理解しようとしているに過ぎない。
本当の意味で理解することなど、到底できないと私は思っている。
だからこそ、子供たちの心に起こっていること、
心の変化の過程、理由、段階など、
心理学的にわかる範囲を学び、
そのうえで子供たちの変化をサポートし、
寄り添う決心をしたのだ。

経験を積んだ先

次男の担任の先生とお話する頃までに、
私はそう決心できるだけの経験を、
すでにある程度積むことができていた。
一般的に見れば「できていた」と言えるようなありがたい話ではないかもしれないが、
今となっては全てが経験値で、私を支えている。

せっかく自分が出合い、悩み、
あの手この手をやってみて、
失敗を繰り返しながら積み上げた経験値を、
今まさに悩み苦しんでいる方々、
または漠然とした不安を子育てに抱いている方々にお伝えすることができれば、
この経験たちは成仏するんじゃないかなと思えるまでになった。

でもね、先生。
本当はここに至るまで、これでもいっぱい泣いたんですよ。

ここから少しずつ綴っていこうと思う。
必要な方に届きますように…


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