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どう書けば物語に引きずり込めるのか?

小説を書いている方、好きな方、「小説ってハードルが高くない?」という言葉を耳にしたことはありませんか?

わたしはあります。同人誌でイラストを表紙に使うと、たまに聞きます。
仕事としても小説を書いているので、このお言葉には昔から悔しさや無力感を覚える一方で、簡単に「悔しい~」で終わってしまうのはよくないよな……と思う今日この頃。

パラパラとページをめくって3秒で「好みの文体!」と判明するひとは鬼才です。
わたしは書店や同人イベントで目にした小説をパラパラとめくって、「ここ濡れ場か……喘ぎ声と三点リーダがたくさん入ってていいかも……ウーン素敵買います」てなりますけども、たいていはそうじゃないですよね。

どんなキャラクターで、どんなエピソードが、どんな文体で語られているか。

一例です。

冷徹で有能ながら、醒めた人物として一目置かれる編集者が、じつは仕事に相当の情熱を持っていて、再起不能、作るだけ赤字と陰口を叩かれて廃刊寸前に追い込まれた雑誌をあの手この手でテコ入れし、一躍、人気雑誌に押し上げる……という顛末が……

硬めの文体
またはコミカルな文体

のどちらで書かれるかだけでも、相当変わりそうですよね。

紙の本がメインの頃は、冒頭3~10ページ前後のサンプルで読者さんにご判断頂くというのがよくあったかと思うのですが、デジタルがメインになりつつあるいま、頭の1ページはおろか、最初の3行くらいで判断されることも増えた気がします。わたし自身がわりとそうです。

親しんでいる作家さんならどんな文体かおおよそわかっているので、新刊を買う際もあまり迷わないでしょう。

しかし、初買いとなる場合、どうしますか?
サンプルをたくさん読みますか?
おのれの直感に従いますか?

ボーイズラブやティーンズラブ小説の世界は試し読みできる量が多めなので、読者さんも好みのものを探しやすいかもしれません。

あとは装丁とか。
あらすじとか、キャッチコピーとか。

頭の3行が面白かったら、ほぼ勝ちかもしれません。これはわりとどのエンタメジャンルでも言われるのではないかと。

叙情的でぐっと深く読ませる文章、あるいは平易な言葉で一気に惹き付ける文章……どんな文体で書くにしても、トップスピードは大事ですよね。

そんなことを自分にも強く言い聞かせ、今夜も本を読みます。
いまはひとり山本文緒さん祭り開催中。
やわらかくて読みやすい文体なのに、うっすらと毒を孕んだエピソードがまるでミルフィーユのように綺麗に積み重なり、気づいたときにはとんでもないことが起きている、という独特の展開の虜です。


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