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炉火の女神・ヘスティアー覚書

2018年のツイートまとめ。発端は当番のタイムラインを「ホロスコープにおいて小惑星ヴェスタ(ローマ神話の竈の女神。ギリシャ神話のヘスティアーに当たる)は『結婚後の果たすべき義務』を示す」という、ギリシャ神話を知る者にとっては噴飯物の言説が駆け抜けていったこと。

【2018年5月10日の連投】
古い本で邦訳でも少し読みづらいけど小惑星の女神たち副読本でこれ当番の推し本なりよ。ジーン・シノダ・ボーレンのGoddesses in Everywoman 邦題「女はみんな女神」。

当番、大学一年のとき大学の図書館でこの本を見つけて。付録一覧に大変お世話になった(や、学校の勉強方面ではなく占星術方面でお世話になってしまったわけだが)

こういう続編もあるだよ(買うだけ買って積読山脈)

ヘスティアー姐さんは、誰もがその価値を身にしみて知っていた昔はともかく確かに今は軽んじられがちかもね。裸火の炉が切ってある家は少なくなったしオール電化の家もあるし。

ヘスティアーは今や無口なメアリー・ポピンズみたいなものでそこに居る間は誰も気にも留めない。何なら少しばかり下に見てもいるんだ。代わりはいくらでもいる、とか言って。ところが今どきそうそう代わりはいない。ヘスティアーさんがいなくなると何も回らなくなって文字通り火が消えたようになるだよ。

この本で紹介されているヘスティアー姐さんはなあ、かっこいいんだぞお!『海からの贈り物』でアン・モロウ・リンドバーグが求めていたような「あらゆる方向に引き裂かれることなくひとり静かにいられること」の体現者なんだぞお。処女神っていうのはなあ、「引き裂かれない女」ってことなんだ……

【2018年5月11日の連投 ヘスティアーはインフラ管理者】

ジーン・シノダ・ボーレン Goddesses in Everywoman(邦題「女はみんな女神」)付録のこの表ね。「傷つきやすい女神」に分類されついるヘーラー・デーメーテール・ペルセポネーの「傷つきやすい」は元の英語だと vulnerable ね。彼女たちは男神と関わり、あるいは子や親と関わり、傷つく。

「処女の女神」アルテミス・アテーナー・ヘスティアーが「傷つきやすい(vulnerable)女神」と別枠になっているのは、彼女たちが男神なしで成立していて、関係の中で傷つかないから。私は「自分と他者の間で引き裂かれない」という表現を好むけれども。逆に言うと傷つきやすい女神たちは引き裂かれる。

「妻の女神」であるヘーラーは夫ゼウスありきの女神。「母の女神」であるデーメーテール(直訳すれば the Mother)は娘ペルセポネーありきの女神。「娘の女神」であるペルセポネーは母デーメーテールありきの女神だったがハーデースに誘拐されて妻にされる。処女の女神三柱には「○○ありき」がないの。

処女の女神アルテミス・アテーナー・ヘスティアーには「○○ありき」がなく、関係の中で引き裂かれたり傷ついたりすることがない。あるいはそういうことを嫌う女神であり、傷つけられたくない者、邪魔されず独り身を貫きたい者、つとめに集中したい者たちに味方する女神である。

アルテミスもアテーナーもヘスティアーも、それぞれ崇拝され尊敬を集める女神だった(ヘーラー、デーメーテールとペルセポネーもね)。残念ながら女神ならぬ現世の人間となると「傷つかない引き裂かれない」処女神に似たタイプの人間も「攻撃を受けない・敵がいない」とは行かないんだけどね。

アルテミス・アテーナー・ヘスティアータイプ(が割合に強い)の人間が、何の悪気もなく自分自身でいるというだけで他のタイプが強い人間から反感を買ったり不当に貶められたりすることがある。「○○ありき」型の女性や「○○ありき型の女性に求められて自分の価値を確かめたい男性」とかからね。

「彼氏? 夫? こどもや親? そういうのいいです。私、やることあるので」というアルテミスみ・アテーナーみ・ヘスティアーみ(独り身の女神み)が強い人間は「○○ありき」の強い人間から「自分たちのありかたや存在や価値観を否定した」と反感を買いやすく、挙句「独り身は非モテ」と貶められがち。

「小惑星ベスタは結婚後の果たすべき義務?!」には「まず、ヘスティアーは結婚してないし火元管理責任者は一家に最低ひとりは必要だけどそれは『結婚した女の義務』ではありません」だし「火元管理はライフライン・インフラ管理のお仕事ですぜ」と申し上げます。

「小惑星ベスタが強かったら非モテ? 竈番の喪女ライフ?」には「『こどもの頃はかわいい娘、年頃になったら色恋からの妻母コースこそ女の幸せであり人生設計』な価値観が強い方?『女の幸せも人生設計もそれだけじゃない』という価値観を代表するのがヘスティアー含めた処女神たちですぜ」と申し上げる。

【2018年5月12日の連投 どの女神に肩入れし、肩入れされるか?】
ヘスティアー姐さん語りをした後でふと「そういやぁうちのベスタ姐さんどこにいたっけ?」と表示してみたら4室射手座数え25度でしたわ。21度の金星とゆる合じゃないかい。そうか姐さんそこにいたか。5室のカスプが射手座数え27度だから5度前ルールだと5室だな。うん、まあ姐さん贔屓になるよねそれは。

ついでにジュノー奥様は魚座数え13度で数え10度の木星とゆる合、セレス母様は魚座数え7度でこれまた木星とゆる合と7ハウスで仲良くおさかなダンゴを形成しており、パラス姉さんは水瓶座数え6度で6ハウス。このパラス姉さんは4室射手座6度の水星とガチセクスタイルだ。なおセレス母様は水星とスクエア。

セレス・パラス・ジュノー・ベスタのうちセレス(≒デーメーテール)とジュノー(≒ヘーラー)は『女はみんな女神』で言うところの vulnerable goddesses 関係性の中で生きるがゆえに傷つきやすい女神たちに当たり、パラス(≒アテーナー)とベスタ(≒ヘスティアー)は仕事に生きるひとり身の女神たち。

四つの小惑星をジュノー・セレス組とベスタ・パラス組で分け、自分のネイタルでは相対的にどちらが強そう(アスペクトを沢山持っていたり、目立つ位置にあったりする)か、を見てみるといいんじゃないかなと思う。自分が肩入れし、肩入れされるのはどの立場なのか。

自分の星の位置や自分自身の立ち位置でバイアスはかかるものなのだから、特定の小惑星や特定の女神を殊更に「よくないもの」と捉えるのはその反対側に与する女神に肩入れしている(あるいはホロスコープ的に肩入れされている)せいなのではないか?ということを見てみる。

ベスタ(≒ヘスティアー姐さん)の立場を殊更に否定的に捉えるひとのネイタルでは、ベスタよりもセレスやジュノーや金星が幅を利かせているのではないか?あるいはセレスやジュノーとベスタが敵対的な位置関係にあったりはしないか?

ぬっはっはっは、弊太陽とジュノー奥様がオーブ1のスクエアだわwwwセレス木星ジュノーのおさかなダンゴが射手座海王星とスクエア。ベスタ姐さんは金星とオーブ4のゆる合である以外目立ったアスペクトなし。パラス姉さんは水星とガチセクスタイル。

金星とベスタが4室射手座でゆる合なのを不運だとも不幸だとも思ったことはないぞ。ベスタ姐さんかっこいいじゃん。

【『女はみんな女神』今は無料で読めるよ】
ジーン・シノダ・ボーレンの『女はみんな女神』は絶版だけど「女性ライフサイクル研究所」のサイトで全文PDFが入手できるよ。「女はみんな女神 PDF」で検索するとすぐ出てくる。英文ペーパーバックなら今でも販売されている。

リンク貼っておくね。

『女はみんな女神』について連投していたとき、鏡リュウジ先生からリプライを頂戴しました。デメトラ・ジョージ著『小惑星の女神』のインスパイア元のひとつが『女はみんな女神』であるそうです。『女はみんな女神』1986年、『小惑星の女神』1988年。


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