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家にはこだわらないけど、住む場所にはこだわりたい。【山本康太郎】

普通の人は住めないような状態の空き家をDIYで修復しながら暮らす。持続可能な暮らしのデザイン手法を学べるパーマカルチャーの本部施設がある旧藤野町から移住してきた、介護福祉士の 山本康太郎さん にお話をうかがいました。

【プロフィール】
山本 康太郎(Kotaro Yamamoto)
移住:相模原市(旧藤野町)→ 静岡県熱海市
介護施設職員(介護福祉士)
1965年生まれ 八王子市出身

八王子市や旧藤野町に住んでいた山本さんはずっと内陸暮らし。休みの日は伊豆に遊びに来ることが多かったりと海と山がある伊豆が好きで、あるとき「今日は伊豆に物件探しに行ってみようかな」と熱海に住む知人のところにふらりと立ち寄ったそうで。

移住を決断したのは、その時の知人の一言がきっかけだったと言います。

熱海出身の知人から「オレの実家が空き家だよ」と聞き、すぐに見に行きました。雨漏りもしているし壁や床に穴がある状態でしたが、自分で直しながら住んでくれるなら格安で良いという話だったので、海まで徒歩5分という立地に惹かれ即決しました。放置されていた残地物の処分に時間がかかったり、屋根の修理費用の50万円は大家さんと折半したりと紆余曲折ありましたが、2017年5月から住み始めています。

物置と化していた空き家の残地物処分も大変だったようですが、仕事の面でも苦労があったと言います。どの地域でも需要のある介護福祉士の仕事ができるから移住先でもどうにかなるかなと思っていたものの、逆に人手不足な業界であるためなかなか勤め先を辞められなかったそうです。

移住前は看護師助手をしていたんですが、不規則な勤務形態だったので頭痛や倦怠感に襲われることが多かったんです。きっと心身ともに疲れきっていたんだと思います。今は近所のデイサービスで勤務してますが、レクリエーションを考えたりするのも楽しくて仕事の満足度があがりました。給料も以前より良いので助かってます。日中のみの規則正しい生活になり心身の健康度は高まりましたね。

心身の健康と言えば、熱海に移住してから「海辺で朝の散歩」を楽しんでいる山本さん。これも熱海の楽しみ方のひとつのようです。

朝起きたら、海辺を歩きながら朝日を見るんです。水平線からのぼる朝日をみると幸せな気持ちになりますからね。そのときにゴミ袋をポケットに忍ばせて行くんですけど、ゴミ拾いって宝探しをしているみたいで面白くて。地元の人とすれ違う際に挨拶をするのも気持ちがいいし、家から徒歩5分の海だから時間に追われずゆっくり散歩ができる。これはストレス解消になってます。あと、海を見ていると「あ、自分はこれを求めていたんだな」と感じられること自体も嬉しいですね。

そして、観光地の熱海に住んでいるからこそ、地元のイベントを巡ったり、イベントのお手伝いに行くことにも楽しみにしているそうです。

持続可能なまちづくりやコミュニティに興味関心はあるんですけどね。ただ、自分は企画などができるタイプじゃないからなかなか関わりどころがなくて。だから、サポートする側としてお手伝いするのが楽しいんです。関わり方の選択肢があるのも熱海の良さのひとつだと思います。役に立ってる感もあるから精神的な充実度も上がってる感じがしますね。

今住んでいる家は、壁や床の穴が塞ぎ切れずに隙間風がすごくて冬は本当に寒いそうですが、それでも自分で自由に空間を使えることに幸せを感じているのだと言います。

敷地内で畑をつくって野菜を育てたり、大家さんが持て余している雑木林や物置小屋も使わせてもらったりと日々を楽しんでいる様子を見ていると、『自分の幸せの基準を知っていることの重要性』を考えさせられます。

自然と人間が共に豊かになるような暮らし方に興味があり、もっと広い畑を借りてカボチャやオリーブを育てたいと語る山本さんは、持続可能な暮らし方を自然体で実践している人だなと感じます。

山本さんのようにサポート役としてまちと関わりたい人にとっても熱海は「関わりしろ」があるまちなのかもしれません。

END


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<登壇イベントのお知らせ>

「ATAMI2030会議ファイナル」
分科会にて「多様な働き方・暮らし方」をテーマにトークします。

【日時】2019年2月16日(土) 10:00-20:30(分科会は16:15~18:30)
【会場】MOA美術館(分科会は敷地内「救世会館」にて)熱海市桃山町26-1
【テーマ】熱海の多様な暮らし ダイジェスト編~熱海でイキイキと暮らしている人のライフスタイル~


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