口を吸うという表現

「恋人がいる」という事実は日々の生活に彩りを与えた。
仕事は楽しいが、それとはまた違う楽しさである。
まず、職場の人と恋バナというものができるという幸せ。なるほど、学生時代周りがキャッキャ言っていた意味が分かった。今更だが。

そして休日がとても有意義になった。
今までの休日と言えばドラックストアに栄養ドリンクを買いに行き、レンタルDVDと本にまみれて惰眠を貪る日々であった。これも個人的にはとても有意義な休日だ。
しかし、好きな人と一緒に話ができるというだけでとてもウキウキとする。デートに相応しいメイクや服も殆どなかったので買いそろえた。恋愛をすると経済活動が活発になるものである。
私は土日休みが殆どないシフト勤務であったため、彼が私の休みに合わせて夜ご飯を食べて少し話して帰宅。というデートが多かった。
彼との会話はとても私の好みに合っていた。だから会話をするのが楽しくてしかたがなかった。

彼も控えめながらも会話楽しみ3度目のデートで手をつないだ。
そして5度目のデートで彼の家に行くことになった。
ワンルームの彼の部屋は特筆することのない一般的な部屋だった。洒落た要素がほぼなかったのである。私はそんな素朴な彼をますます好きになったし、遠慮がちに寄り添う姿勢も好ましかった。
何度か家に行った時に初めて唇を重ねた。
人生初めてである。

当たり前のことだが、今までにない人との急接近だったので軽く動揺したことと、息を止めて鼻息が彼の顔にかからないようにしていた。
古典文学で「口を吸う」という表現が使われるが、重ねるだけでもアワアワとしているのに吸うなんてこと・・・・男女の関係というのは我を忘れないと進行してゆかぬものなのかと。帰り運転をしながら思っていた。

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kaoriakiyama

日々悶々しております。
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