チョコレートドーナツ見てきた
以下、びっくりするほどネタバレなので、なにとぞよろしくお願いします。

ゲイバーで働くシンガーを目指すルディと、検察官（いわゆるDistrict Attorneyだよね）のポールの、ゲイのカップルが、母が薬物所持で逮捕されて養育者がいなくなった、ダウン症がある子供を引き取って育てようとするお話。だったの。

ゴミ屋敷みたいな部屋で、お人形を抱きしめてる子どもを自分の部屋に連れてきて、東山さんルディが座って、っていうんじゃなくて、「座りましょ」って声をかけて、最初に「お人形、好きなの？」って話始めたのを見て、わーこの人に養育されたら子どもは幸せだよねえって思っちゃう。バタバタしてる中でも、ずっと子どもとおんなじ目線なの。

ポールの谷原さん、舞台の上で素敵なの。こんなに素敵って知らなかった！物腰柔らかで、丁寧で、ルディを穏やかに大事にしてるのが、とっても素敵だった。

このカップルの描き方がね、「ゲイカップルです！！」って感じでもないし、東山さんルディも「ドラァググィーンです」って感じじゃなくて、ちゃんとおじさんどうしで恋人っていうか、パートナーって感じがして、だから、子どものマルコとの暮らしも自然なの。
マルコはダウン症があるんだけど、家族で公園に遊びに行って、お花を買ってもらったら真っ先にホームレスのおじさんにお花をあげるような優しい子で、何が素敵って、それを見たルディがマルコの意向を知ったとったん、そのおじさんの所に、一緒に行って、膝をついて、お花どうぞってするの。そういう家族に育ててもらったら本当に素敵じゃない！素敵！！

で、カリフォルニアをはじめとした英米法系は、子どもの監護について、実親の監護権や親権制限を裁判所でかけて、里親とかが監護の権限を取得するじゃない？だから、ルディたちは監護権（Custody）を一時的に取得する裁判を自分で州家庭裁判所に申し立てて監護の権限を取得するの。でも、ゲイだっていう理由で、ゲイだっていう理由だけで申し立てが棄却されちゃう。

ゲイの人たちが本当に生きにくい、しんどい時代だったんだなって。子どもにいつもひどい言葉をかけてた同僚が、ルディが子どものためにゲイバーを辞めるときに、私たちみたいなゲイは普通の家庭を持てないのっていう趣旨のことをほんっとうに苦しそうにいうんだけど、そうやって、みんなが横並びで一緒じゃないことを許さない社会の中で、グッサグサに傷ついてるんだなって、ほんとに苦しいってなった。穴沢さん素敵だった。

裁判官はね、申し立ての棄却について「仕方がないっていうの」「法律の限界」って。
でもそうじゃないことを、その後の世界を生きている私たちは知ってて、ゲイのカップルの素晴らしい里親を知ってるじゃない。

でも、そういう里親だって、今度は、他のいろいろなところで悩んでて、子どものために悩む悩みは、いつだって死ぬほどあるなって思うのだけどね。

結局その子どもは、ルディとポールの元に戻りたくて施設を抜け出して、でもルディのおうちにたどり着けなくて橋の下で凍えて亡くなっちゃうんだけどね。その子、マルコを殺したのは、どうにも変えようがない法律でも、社会の状況でもなくて、その裁判にいた、弁護士、州検察官、裁判官、それとルディとポールだと思う。最後の最後まで子供のこと考えられてたかな？どうにもならない法律を飛び越える方法をほんっとに考えきったかな？正義を行うことを怠らなかったかな？そのことをちゃんとみんな考え続けて、抱えてずっといなきゃいけないって思う。私が殺したってずっと思ってないと。私もずっとそう思ってる。私が殺したって。

そう思いながら、今できる最善をします。
やっぱり、諸外国ならびというよりは現在の日本の児童相談所の役割や裁判所の力を考えて、親子分離は親権をいじるのじゃなくて、今のまま、行政処分を司法がチェックする形の方が良いのだろうななんてことを考えながら年を越そうと思います。
時間あんまりないけれど。。。でもこういうグランドデザインをきちんと考えた立法、大事！！！！

まりゑさんのお歌が、雰囲気があってほんっっと素敵だったし、穴沢さん、佐々木さん、高木さんのドラアグクイーンたちが、それぞれにバックグラウンドが見えるようで、心がギュウウってなりました。あと高畑さんの判事もほんと、説得力だった。

南先生のお話だと思ってみたからか、あれです。谷原さんが南先生に見えたよ！！！


しんどかった・・・・
でも見てよかった。
ほんっっっとに素敵な作品だった。見せてもらえてよかった。


帰りがけの階段で思わず大号泣して、一緒に行ったさくらちゃん（10くらい年下）に死ぬほど慰めてもらったよ！

#チョコレートドーナツ #PARCO劇場 #東山紀之 #谷原章介 #まりゑ