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阿佐ヶ谷スパイダース ジャイアンツ

長塚さんがKAATの芸術監督なので、もはや阿佐ヶ谷スパイダースは他人事ではないです。

そんなわけで見に行ってきたの。ジャイアンツ。

なんか、徹底的に人間のお話しだったの。

「ケイトウ」が始まっちゃうと、大きな目玉が浮かんで、時間と空間がぐにゃぐにゃになるの。
そんな世界で目玉探偵に連れられて、「わたし」と息子である「あいつ」を探しに行くの。わけわかんないファンタジーなんだけど、なんか、あまりに普通にファンタジーの世界に連れてかれるから、普通がよくわかんなくなってくる。

ファンタジーなんだけど、本当に、わたし、あいつ、あいつを取り巻く人たちが、解像度たかくたかく、徹底的にその人のまんまに描かれてて、リアルで、それとファンタジーな世界観が混ざっててすごい!!

「わたし」の、多分キャパがすごく狭くて、すぐに考える隙間を無くして脳みそが固まっちゃうかんじと、そのまま言われるがままに固まったまま時間がただ経っていっちゃうかんじ、わかる。

息子のあいつも似たものおやこだなっておもうの。固まってるあいだに自分も周りもしんどくてどんどん手から生活がこぼれ落ちちゃうの。優しいんだよね。誰かを攻撃することは絶対しないで、ただ固まってる間にどんどん逃げられなくなっちゃうの。

そうやって追い詰められていってる親子だった。いろんなものから固まって、逃げて、崖っぷちで困り果ててるの。

息子である「あいつ」ゴミ集積の職員として働くことでちょっと救われるの。ゴミを焼いて、エネルギーにすることで、世界の最後の最後の行き止まりで、何かを救ってるって思えるって。
「あいつ」は結局ゴミ処理場で焼かれて、街のエネルギーになって亡くなった。

お父さんである「わたし」はずっとそれを受け入れられない。そうしてきっと「わたし」は「ケイトウ」っていう時空の隙間で、目玉探偵からもう一度世界を俯瞰でみる機会をもらったのかな。

「あいつ」の弟が多分1番ちゃんと見えてて、だからこそ1番しんどいよね。機能不全の家庭の中で、最後の砦のキーパーソンの辛さだわ。

「あいつ」と弟さんは役代わりで大久保祥太郎さんと坂本慶介さんが演じておられるんだけど、どっちもううううっってつらい。2人ともお客さんをしんどさに引き摺り込むすっごい役者さんだなあ。でもしんどい!!

「ケイトウ」の中の登場人物、お隣の大島さんとか、スプラトゥーン好きの遠藤さんとかが、すっごく魅力的なの。大島さんが「「普通」って言われるとわたしが普通かどうかが差し迫ってくるわね。。。」「わたしは今ここにいるわたしだけなのよ!!」っていうんだけど、「普通」の象徴としての役の大島さんが普通を拒否するの、わあ!!ってなった。

2人いる目玉探偵のうち1人は普通に飲み込まれて、ケイトウの中の世界の「田中」に滲んでいっちゃうの。

ある1人の人間がその1人の人間である根拠ってなんだろうって考えさせられちゃった。本来的な意味でのアイデンティティ、その人がその人であることの確証ってなんだろうって。

なんかそんな難しいことを考えながらも、くすくす笑えて荒唐無稽な世界観に口をあんぐり開けて、ぎゅうって集中して一瞬で時間が経っちゃった。
役代わりも見たいな。お芝居っていいな。
集中しすぎてお腹すいたーーー!!!!

さっきモンブラン食べたけど、もういっかいご飯だーー!!

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