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【自分に正直ライブレポ】2023年8月7日 緑光憩音祭 DAY1 ヒグチアイ「好きな人の好きな人 - 郷 愁 - 」銕仙会 本舞台

あの娘が言ったのです。
「間違えて靖国神社の能楽堂に行った人いますか?」

いるわけない。

そしてその道中で見た入道雲の話をするのですが、雨雲だということを今日初めて実感できたとおっしゃるのです。今日初めて…理屈としては分かっていたけどという前置きがあってのものとは言え、今日初めて…

もし友達だったとしたら「他ではそれ言わない方がいいよ」と言ってあげたくなることをたまに言うんですよ、あの娘。それにしても主役が会場間違えるって、そんなことあります?いや、人間って間違う生き物だから、途中まで間違うことはあると思います。ただ、途中に幾つもあるチェックポイントを超えて、ほんとに靖国神社まで行ってしまうとか、着いてはじめて「ここじゃない」と思うとか、それをケラケラ笑いながら話して「何人います?」とか聞いたらゼロだと知ってビックリするとか。

いねぇって…
(囲碁将棋根建調で)

もうこの話一つで最高です。
ヒグチアイ。
100点です。

ライブレポには二種類あると思っていて。何で分かれると思いますか?プロとアマだと思いますか?いや、対象アーティストを普段も好きで聴いているかいないかの二極だと思うのです。過去のヒグチライブのレポートを掘り起こしてたまに読むのですが、あまり聴いてない人ってすぐ分かります。目で見た雰囲気を文字にすることで終わっちゃってるみたいな。会場の雰囲気は伝わるけど、実際に行ったときのドキドキが伝わってきません。書いてる方がドキドキしてないから。

それがプロのライブレポでしょうし、別に批判しているわけじゃないですよ。二種類あるよね、というだけの話で。

さて今回は二種類のうち「じゃない方」のライブレポを書くのが大好きな私が、昨日の緑光憩音祭 DAY1 ヒグチアイ「好きな人の好きな人 - 郷 愁 - 」についてレポートさせていただきます。こんな僻地までたどり着いて読んでくれる方には、共感ゼロで怒ったり憤ったりしてもらえるかなと。まぁ、せっかくここまで来たんだから読んで帰ってください。人助けと思って。

とにかく!今回はミラクルが起きました。超絶思い入れの強い曲がセットリストに並んだので、更に独自路線強めでやらせてもらいます。

(後述)たった今、この5,000文字オーバーのライブレポを書き終わって読み返しましたが、これは酷い(笑)昨日同様に最初の二曲で燃えつきてるじゃん。
でも、いいじゃないですか。プロじゃないんだし、自分に正直で。というわけで、このレポは自分に正直ライブレポと名付けます(後述終)



墨田区民の歌としてお馴染み

ココロジェリーフィッシュ

は、深海ver(過去記事ヒグチアイ×いのまいこ。ご参照まで)より更に深い

ところまで潜った感のある仕上がり。開演前の静寂、流れていた自然の音とのつながりも良きでした。深かったなぁ。この日のココロジェリーフィッシュはモホロビチッチ不連続面verと名付けましょうか。良かったら皆もヒグチ仲間と話すときに使っていいですよ。自分で考えたような顔して。

そのあとどうなっても知らんけど。

あれ?ピアノ調子悪いのかな?というくらいの最低限の音(表現力…)と共に、歌い上げられたココロジェリーフィッシュ。そこには照明やらバンドやらアレンジやらがそぎ落とされた、ただただ「歌声」が。でもアカペラともまた違うし、何と言ったらいいのでしょう。ココロジェリーフィッシュの骨格を見たと言うか。始祖というか。能楽堂の舞台でこれをやられてしまうと、ヒグチアイの動きそのものさえも、古式ゆかしきものに見えてきてしまいました。なので、あの手を合わせて深々お辞儀も、江戸時代から伝わる伝統的な礼節かと思われます。

わたくし、ココロジェリーフィッシュ好きすぎて、プレイリストの中に大連発があります。いつかこの中に深海かモホロビチッチ不連続面をお迎えできる日を楽しみに日々を生きております。




スタートからこれだけ心揺さぶられたら、このあとどうなってしまうのだろう。このドキドキが有酸素運動となって脂肪を燃焼してくれればいいのにな。そんなことを考えていた時、事件は起こりました。

風と影

結婚したんだ 言われて見せられた奥様

こ、この歌い出しは…日本国歌の風と影!
ここで来るの?聞いてねぇって…ココロの準備できてねぇって…痩せちゃうって…

過去の好きな人の好きな人シリーズで THE CHARM PARK さんとのライブで遭遇した風と影。当時、まだ筋金入りとまではいかないナリカケのヒグチ民だった THE KAORU ACE も参加させていただきました。タイトルに入梅とあったので雨に関係する歌詞がある歌が数曲あったのですが、モロに「梅雨」という言葉が出てくるこの歌。当時はまだ二軍というか、頻繁にリピートする曲の中に入ってませんでした。

そこで撃ち抜かれました。
ヒグチアイは「殺す気はなかった」と供述するでしょうが。

あの梅雨の部分。ジャスなんちゃらがうるさいらしいので過度の引用は避けますが「梅雨という季節があるの知った上で、春夏秋冬で四季と呼んじゃってるくらい当たり前なことが嬉し悲し」という部分にやられました。今私がこんなことになっちゃってる(笑)のも、この歌の責任によるところがかなりある気がしています。

私は常日頃から言っておりますが、この梅雨と四季のところの一節。世界一美しい歌詞だと思っております。いや、いじりじゃなくて。本気で思ってまんねん。

おかげさまで入梅の後も何度もライブに行ってますが、風と影は私が参加したライブでは遭遇していませんでした。この歌についてはヒグチカイでもSNSでも熱烈に好きな気持ちを前面に出していましたので、仲間内では風と影大好きおじさんとして認知されております。

そんな大好きな歌に再会が叶わない。

色々新曲も歌わないといけないだろうし、悪魔まっさらも必須だろうし、素人ながら色々拝察をしていて(もうライブでは歌わないのかな。残念だな)と半分諦めていた部分もありました。最近は前ほど風と影歌ってくれたらいいな、とは思わなくなっていたのが正直なところです。

あれから二年と少しが経過。
あのあと千も万も聴いてきた風と影。
歌と共に思い浮かぶ情景とかありません、だって一年中聴いてるから。そしていつもいつも思っていた「もう一度ライブで聴きたい」


ヒグチアイは香るエースを二度殺す。


二年前撃ち抜かれたココロに二発目の銃弾が。本当に嬉しかった。不意打ちは想定外だったけど、それがまたいい。

舞台の屋根の四本柱。必要最低限の照明の中、ピアノ一つで歌いあげている風と影。暗闇の中浮かび上がるその姿は、観客全員の情念を利用した古来の呪術で召喚した何かにも見えてしまって。正気を保つのに必死。涙は流し放題。仲間と別の席で良かった。

ヒグチアイって、妄想を超えてきちゃうんですよ。はじめましてのあのコロナ禍の渋谷のライブからずっとそう。動画やCDを聴いてワクワクして会いに行ったら、いつも良い意味で置いてけぼりというか、こちらの想像力妄想力が追い付かなくて。

また諦めかけた頃もう一度出会いたいです。嘘です。頻繁に再会したいです。そしてこの曲が終わった時思いました(今日はもういいかな)って。

いや、悪い意味じゃなくて。

凄くないですか?こんなゴリゴリの筋金入りヒグチ民つかまえて、最初の二曲終わったところで、チケット代分満足させちゃうのですから。この時点で何らかの障害がおきて「本日の公演は事情により…」とか言われても笑顔笑顔の大笑顔で帰った自信があります。

自販機の恋

ライブ後のヒグチカイ打ち上げ。三人ともnote書くメンバーだったので「老化の進んだ脳でも三人揃えばセットリスト思い出せる!やればできる!」会を催したのですが、この曲「自販機の恋のやつ」ってなってたのが最高に好き。足さなければ正解だったのになぁ。惜しい。

「15歳の頃に戻って」とピュアな恋の歌であることを「説明」してから歌ってくれました。心地よい明るい恋の歌!ヒグチ脳になってるので、そう言いながらどこかで暗雲立ち込めるのではないかと脳内文字起こししながら聞いていましたが、この歌は純度100%の恋の歌です。親御さんもお子さんも安心して聴いていただけます。

ラジオ体操
ラブソング

そして背中を押す二曲が続きます。

それにしても弾き語りいいですね。もちろんバンド編成もいいですよ。ただ本当にこの日は会場が際立っていて、完成された世界観を提供していただけました。ほんの少しバンドの方がお得に思っていた自分が恥ずかしくなりました。
思えば弾き語りの時って、こだわりの会場が多い気が。ステージと合わせた世界観をちゃんと考えられているんでしょうね。ヒグチさんの入道雲と同様に、私の昨日の「気付き」です。

恋の色

うちの妻が「良いドラマ見つけた!かなりいい!しかも聴きなれた歌声が!凄いね!」と語彙力を駆使してインフォメーションしてくれました。迷惑系長女もハマっているそうです。
タイトルに恋の色とあるだけあって、色はもちろんのこと様々な情景が浮かぶ歌。

悲しい歌がある理由

この歌にはすでに感受性を吸い尽くされてしまいました。で、現在どんな歌になってるかというと、メール職人起動装置(笑)前奏を聴いて「あ、そう言えばメールテーマ変わったんだ。早くメール送らなきゃ」正直ライブ会場でこれ思うのは末期だなと思いました。

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ニッポン放送
ヒグチアイ このさみしさに終わりはあるのか
毎週月曜日18時50分~

この退屈な日々を

早く音源や動画で再会したいです。なぜなら老人の委縮した脳では歌詞やメロディーを憶えられなくて。たまにあるんですよ。このパターン。火々とかもそうでした。

(9月6日追記)
無事リリースされて、かなり聞きこみました。DNAレベルで我々に浸透しているヒグチアイのあの感じ。三部作の中では一番色濃く出ているかなと。歌詞は縁に通じる世界観があっておじさんにスッと入ってきます。妻に優しくなれますね。なので昨日は家事をいつも以上に頑張りました。
うーん...聞き込んだこの状態でこの日に戻りたい!

劇場

この曲の時だけ、ちょっと照明が変わりました。あれも世界観ですよね。能楽堂というライブとしては異質な会場と工夫された照明が、劇場という曲にぴったりだったなと。

前線

このまましっとり終わっていくかと思いきや、前線の前奏が。最後方から見る観客の皆さんの後ろ姿が、少し小刻みに動き始めたのが何というか嬉しかったです。わかる!俺も前線大好き!って。
「舞台に合わせてるばかりじゃないから」とばかりの激しい演奏がまた心地よくて。舞台を味方にしたり、舞台と真っ向勝負してみたり、ほんとカッコいい子!

祈り

会場的にタオルは出番なしと思っていたので不携帯だったし、歌える人は歌ってと言われるとも思っていませんでした。ヒグチ本人から誘われた時には思いましたねぇ。

「しまった!目立てるチャンスだったのに!」

とりあえずタオル代わりに振れるものは、うちわしかありませんでした。まぁ、夏祭りっぽくて良いかなと。友人にもらった大相撲のうちわだったので会場に合ってたし(笑)それを元気よく振ってオオッオオッしておきました。

こちらのうちわになります。

わたくしごと

この歌も思い入れ強い人よく見ますよね。ヒグチカイにもいますが、オシサ(推しサーチ)でも昔よく散見しました。私も好きです。新しいところで言うとやめるなら今系列の歌ですよね。実際歌にもやめるやめないが出てくるし。恋愛経験希薄おじさんとしては、どうしても感情移入しやすい歌はこの系統になります。
「それでも僕は夢をみたいから」と書いた頃のヒグチアイと、今のヒグチアイ。夢という言葉の持つ意味合いは変わったのかな。意外とそのままなのかな。そんなことを思ったり。

祈りを歌い終わってパタパタと舞台を去り、その直後アンコールの拍手の中パタパタと舞台に戻り「そうだよね」と語り「何も考えてなかった。CLOWちゃんのインスタであげてくれていたのに、セットリストに入ってないのは申し訳なかった」とかで。用意してなかったからか歌えるかな?と言いつつでしたが、余裕で歌えてました。プロって凄い。

CLOWちゃん

実はわたし、この日のライブ。出張が入っていて本来行けなかったのです。それが流れて急遽参加。そこで風と影くるんだから「持ってるな、俺」と思いました。これなら大丈夫。もう少し生きられそうだよ、お母さん。

そういうわけで仕事も超絶繁忙だし、予習のよの字もしてなかったのです。CLOWちゃんは申し訳なかったですが、ライブ会場ももう少し調べてなかったら靖国神社でヒグチアイに会えてたかもなのに!…くらいの。

「お嬢さん、どうされましたか?」
「間違えてしまいました。この能楽堂は聞いていた能楽堂ではないようです」
「そうですか、では二人で行くべき能楽堂を探しましょう。なぁに。慌てることはありません。人生は長い」
「ありがとうございます。私はヒグチアイと申します。御礼に私の歌を聴いていただけますか」

(妄想終わり)

さて、CLOWちゃん。勝手に男性だと思っていてごめんなさい。アイちゃんがCLOWちゃんと言うので、おじちゃん驚きました。ヒグチアイに「ああいう歌声が好き」と言わせる透明感のある声。美しかったです。そして控えめなMCが好感持てました。言ったことと言えば「次の曲は最近作りました」「ヒグチアイさん大好き」くらいで自分語りがゼロ。好感度に手足が生えているような方でした。予習しなかった分、ちゃんと復習します。昨日は素敵な歌をありがとう。

そんなわけで最高でオンリーワンな一日のライブレポでした。
毎回何かしら「今まで参加したライブで一番〇〇だった」が起きるヒグチアイライブ。今回は「今まで参加したライブの中で一番泣いた」でした。おめでとうございます。誰ですか?「一番気味悪いレポだった」って言ってるのは?

否定はしません。むしろ肯定します。

次は9月2日!ヒグチ充填が終わったのに、ネクストまで既に一か月切っている幸せよ。歌ってくれている間はずっとライブ行きます。

梅雨があること知っていて
それでも四季と呼んでるように

当たり前の約束

香るエース。

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