◆◇◇◇◇ 「おじちゃんは、ここでなにをしているの?」 少女は問う。 「雲を目指しているんだよ」 カナヅチを叩きながら彼は応える。 「クモってなんなの?」 彼はヘルメットを取り、ただ上を指差した。 「わたあめみたいだね」 少女は笑った。 ひとつの塔があった。そこには唯一となった〝都市〟があった。 彼はその塔の頂上で数十年間、〝上〟を目指してカナヅチを叩き続けている。 「今日ね、街にお母さんと買い物行くんだー!」 「何を買ってもらうんだい?」 「お父さんの誕生日