PS.水原へ


 たしかに大谷は野球の世界で新たな挑戦をしてきた男ですが、もしもそれがすべて失敗し負けつづけていたとして…たとえば二刀流挑戦が失敗に終わっていたとして、それを理由に彼を責めることができるでしょうか。できるかもしれませんが、それはあまり行儀のよい振る舞いとは言えないでしょう。

 つまり水原の行いも積極的に責めるようなことではありません。負けたことではなく、挑戦そのものが大切だからです。水原が横領したのか?大谷が肩代わりしたのか?そんなことはどちらでもよい。挑戦とは前へ進むことであり、歩みを進めない人生に意味なぞありません。奇しくも野球というゲームは歩みを進めることが肝要であります。

 前を走っていくひとを後ろから指差し非難することは簡単です。しかし、そんなものはあなたが後方で立ち止まっているからできることであり、そのあいだに彼は遠く遠く走っていくことでしょう。連邦裁判所とかに。

 それにしても気になるのは大谷の処遇です。ぼくのどんくさい頭脳で考えても、違法賭博の胴元へオオタニショウヘイ名義で入金されていたらまずいのではないか。反社への資金提供と解釈されてもふしぎではありません。そのようなふしぎをごまかすために「大谷から肩代わりしてもらった」という話を撤回したわけでしょう。

 この問題はふたつのレイヤーがあり、ひとつは法的な問題、もうひとつは野球界としての処理です。
 法的には「違法賭博の胴元への大谷名義での送金があった」という点ですが、ここはよくわかりませんが、本当はアウトだけど誤審でセーフ判定といった感じになるのではないかと思います。問題は後者で、この違法賭博が野球を対象にしていたのかどうかという点。アメリカの野球ファンが騒いでいるのは、特にこちらのレイヤーが重視されているからです。
 水原は「サ、サッカーとかにしか賭けてないです!や、や、野球は対象にしたことないです!本当です、賭けてもいいです!」と言っていたそうですが、これをわざわざ表明するというのは、野球界がいかに野球賭博へセンシティブかという証左です。

 水原が野球を賭けの対象にしていないというのが本当だとしても、胴元が野球賭博を扱っていないとは思えない。もしそうなると「違法な野球賭博を扱う胴元へ大谷名義での送金があった」という話になってくる。
 もちろん八百長に絡んでいる、もしくはその疑いが濃厚となれば永久追放もやむなしですが、さすがにそこまではないでしょう。しかし、そのような証拠が出ない一方、送金があったこと自体は事実なので100%の無実の証明はむずかしいでしょうし、落とし所としては期限付きの出場停止くらいではないか。永久追放や出場停止というワードはこういう文脈で現れる。

 ♢

 すこし違う可能性もしておくと、もしも大谷ががっつり違法な野球賭博へ熱中しており水原は替え玉として犠牲にされただけだとしたら。大谷が連邦刑務所にでもぶち込まれたとしたら。
 でもまぁそれはそれで「やっぱ大谷のスケールすげー…宮城刑務所とかじゃないんだ」って思ってしまいそう。ホームランを打つ大谷もいいけど服役する大谷も乙なもの、といったところでしょうか。

 オオタニサン改め囚人番号17となり。
 オレンジ色の囚人服を着たら、お調子者の囚人に「移籍先はサンフランシスコ・ジャイアンツに決まったようだな」とジョークを飛ばされ。
 意趣返しとばかりに塀の中のプレイボールでは毎回のように壁越えのホームランを放つも、案の定「これで脱獄何号目だ?」などといじられてしまい。
 精神的に疲弊し「グローブ送ったのって社会奉仕活動にカウントされないかなぁ」などと考えながら眠る日々。

 とはいえ、万が一そうなったとしても大谷なら大丈夫でしょう。でかいからいじめられないと思いますし、そういう人生はそういう人生で、それはそれで。水原も同上、こういうこともあります。前を向いて歩んでいくしかないのです。

PS.水原へ

そして前にあるのは高松宮記念です。

◎10ビクターザウィナー
○14ママコチャ
▲01ビッグシーザー
☆03ナムラクレア
△11メイケイエール
△12ロータスランド
△17マテンロウオリオン

 今回の問題で思ったのは、世の中の大谷に対する信用が凄まじいということ。ぼくは第一報を聞いた際、素直に「大谷が違法賭博して水原に罪をなすりつけた可能性もありえる!」などと推理しましたが、世間はそんな可能性を微塵も感じていなかったようなので慌てて意見を引っ込めました。危ないところでした。
 ですが、水原。あなたはいまでも大谷を信じているかもしれませんが、もう頼ることはできません。信じるべきはなにか?10ビクターザウィナー。今回は低調なメンバーで、そのなかで短距離王国香港のG1馬が来日するわけですから、疑う必要もない。大きな穴、埋めましょう。


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