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自著を持って旅に出る

 ちょっといいホテルや、リゾートホテルなどには、図書室(ライブラリー)がある。
 図書室がなくとも、フロントやロビーに本棚が設置されていることもある。
 ホテルが用意した図鑑や写真集などと一緒に、訪れたゲストが読み終えた本を寄付していくのだ。
 ここにたどり着くまでの道中、バスや飛行機の中で読まれた本、あるいはリゾート滞在中に読み終えた本が並んでいる。
 私はホテルのライブラリーを覗くのが大好きだ。
 様々な言語の背表紙が並ぶ本棚は、ここにやってきた旅人たちの息づかいが聞こえてくるようで楽しい。その中に日本語の本があると、無条件に嬉しくなってしまう。

 同じ国、例えばモルディブでも、ホテルのオーナーによって、訪ねるゲストの国に偏りがあり、それが背表紙にも表れる。
 アメリカ資本のホテルは当然英語が多いし、インド資本だとヒンディー語の本が多くなる。行ったことないけれど、日本人が経営するホテルもあるそう。そこにはやはり日本語の背表紙が多いのかな。
 

 ホテルのライブラリーは、図書館とも古書店ともまた違うにおいがする。
 その土地のにおいと、旅人のバックグラウンドのにおいが混ざって、不思議な個性と存在感がある。

 作家になってから、私は自著を持って旅にでるようになった。名刺代わりや、お世話になった人へのちょっとしたお礼に渡すこともあるけれど、これは稀。たいていはホテルのライブラリーにこっそり置いておくため。

 私の本は新品なので、背表紙が妙に目立って気恥ずかしい。みんな普段着なのに、自分だけが気合い入れたドレスを身に着けて来ちゃった……みたいな。
 でも、しばらくすれば、ほかの本と同様に、土地やホテル、旅人のにおいにまみれて、なじんでいくのだろう。

 もし旅先で私のサイン本があったなら、それは私がそこに来たことをこっそり誇示した跡。もし、サインがなければ、ありがたいことに読者の誰かが私の本を旅のお供にしてくれた証だ。

 本を持って行っても、今回のように置いてくる先がなく、持って帰ることもある。(リゾートホテルだから、絶対あると思ったんだけどな……)
 その場合は、思い出にインスタ映えしそうな写真を撮って、Twitterなどでお披露目することにした。

  今回は植物がテーマなので、花や緑と一緒に撮影(^^)

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 電子書籍がメインになってくると、旅人のライブラリーもなくなってしまうのかな……。
 それはちょっと寂しい気がする。


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