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スープ・コラム

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食べ物の読み物です。
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記事一覧

おいしい味噌汁はどこにありますか?

おいしい味噌汁はどこにありますか?

今日11月29日『私のおいしい味噌汁』が発売になります。日本人のソウル・スープと呼べる味噌汁の本です。

私の味噌汁の話をしながら「あなたのおいしい味噌汁」を作ってもらえるように工夫しました。

あなたにとっての「味噌汁」ってどんな存在ですか?

私の場合、一日の仕事を終えた後で(もちろんごはん作りもして)食卓につき、湯気の立つ熱々の味噌汁をすする瞬間。長い溜息が自然に出て体の力が抜けていき、今日

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食べるも使うもミニマルに。暮らしの理想に近づく器を作った話

食べるも使うもミニマルに。暮らしの理想に近づく器を作った話

器から考える料理のこと

スープ作家として活動している私ですが、提案したいのはレシピ以上に、わたしたちの生活そのものです。おいしさと心地よさを感じられるためには、キッチンとか、道具とか、買い物とか。そうした作る人の周辺にあるもの全てが、食の幸せに関わっていると感じています。

毎日の食器も大事です。うつわは趣味の世界ともいえて、こだわりだすとキリがありませんが、それでも、

・洗いものがラクになる

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春です!自炊をはじめる人たちを応援してくれる心強いレシピ本

春です!自炊をはじめる人たちを応援してくれる心強いレシピ本

新生活が始まって、自炊を始めた方も多いのではないでしょうか!
2020年にnoteで一人暮らしを応援するレシピ本を紹介しました。今回はひとり分に限定せず、料理をはじめたい人をサポートしてくれる料理本を何冊か、選んでみます。

料理本は自分のごはんのスタイルに合ったものを選ぶと、とても強い味方になってくれます。ということで、タイプ別におすすめ本を選んでみました。

はじめての自炊!どこから始めればい

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料理家は、てらいなくまっすぐに

料理家は、てらいなくまっすぐに

週末はnoteのイベント『こうして私は料理家になった』で、新刊2冊を出された今井真実さん、本を担当した、杉浦さん、林さん、筒井さんという3人の編集者と話をしました。

私は今回、聴き手という役割です。料理家が料理家にインタビューすることはなかなか珍しいこと。料理家同士は仕事上の交流も少なく、それだけに同業者だからこそ知りたい内容を聴けるチャンスでもあります。役得ですね。

事前に担当ディレクターが

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【イベントレポート】カレーと豚汁・水野仁輔と有賀薫のレシピと本のトーク

【イベントレポート】カレーと豚汁・水野仁輔と有賀薫のレシピと本のトーク

2022年1月14日、外苑前noteplaceにて開催した料理本トーク。編集者やライター、料理家をリスナーとして、お互いのレシピ本にまつわる話をしました。終盤は豚汁とカレーのライブクッキングも披露しながらレシピ化へのアプローチを語っています。本noteはこのイベントをレポートとしてまとめたもので、約12000字に及ぶ内容です。本作り、料理家の仕事にご興味ある方はぜひお読みください。

カレーとスー

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料理を楽しむために大事なこと

料理を楽しむために大事なこと

先日、とあるイベントでスープ作家の有賀薫さんのレシピが話題にあがりました。

そこにいた書籍の担当編集者さんが「みんな作ってSNSにアップしてくれるんですけど、それがぜんぜんレシピ通りじゃなくて…」と言っていたのが印象的で(それに対して有賀さんは「本がきっかけで作ってくれたならそれでいい」と仰っていました)。

「スープ・レッスン」の連載を担当していると、みんなが思い思いアレンジしてくれているのは

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よーいドン、のその前に

よーいドン、のその前に

これは、ヤマハ発動機と開催する「 #エンジンがかかった瞬間 」投稿コンテストの参考作品として、主催者から依頼をいただいて書いた作品です。

母からよく聞かされた、私が子どもの頃のエピソードがあります。それは幼稚園の運動会。かけっこで、よーいドン!とピストルの音が鳴ると、スタートラインに立った私がゆっくりと右を見て、左を見て、もう一度右を見て、みんなが走り出したのを確かめてからようやく走り出していっ

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「主婦」の新しい呼び方を考えてみた

「主婦」の新しい呼び方を考えてみた

大人気料理家の山本ゆりさんが、「主婦」や「カリスマ主婦」という肩書で呼ばれることがあり、(どちらかといえば自分は仕事人という自覚があるため)主婦に対して少し申し訳ない気持ちになる、という取材記事を読んだ。

山本さんの気持ちに料理家としてちょっぴり共感。料理家は本当の主婦ではなく、職業だ。私たち料理家の一部がイメージ上、親しみや共感を持ってもらえるように主婦と呼ばれたり、家族のためのごはん作りが高

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汁で呑ませる、汁で呑む

汁で呑ませる、汁で呑む

仕事で京都へ行った折、「志る幸」という、河原町にある汁の店で食事をした。汁物を売りにする、創業90年の老舗の料理屋だ。行きたくて、タイミング合わず行けなかった店だった。

暖簾の奥、入口の引き戸を開けて入ると、パリッとした割烹着姿の店員が席に案内してくれた。店内はちょっとユニークな造りで、中央にL字のカウンターがある。カウンターの内側は厨房ではなく、畳張りの小上がりになっている。店員がそこから給仕

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私が大好きなスープ本3冊

私が大好きなスープ本3冊

主婦と生活社がやっている「料理本リレー」という企画があります。昨年春の緊急事態宣言のときに始まったものが再びはじまっていたらしく、友人でもある食エディター&ライターの柿本礼子さんから回ってきました。

前回のときはちょっとかっこつけてエッセイ風の読み物を紹介しましたが、今回は私がスープを学ぶにあたって、とても参考になった、またはインスパイアされた本を3冊チョイスしてみました。スープ作家の好きなスー

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赤味噌と呼ばれるふたつの味噌

赤味噌と呼ばれるふたつの味噌

「赤味噌」というと、どんな味噌を思い浮かべますか?赤味噌という言葉は、どうも2つの意味で使われているようで、話がかみ合わなかったことがありました。

一般的に「赤味噌」といったら、「見た目の赤い味噌」まず、見た目が赤っぽい(茶色っぽい)味噌を「赤味噌」と呼びます。
味噌は「大豆」と「塩」と「麹」を混ぜ合わせて作ります。仕込んだばかりのときは白っぽい大豆と麹の色が、熟成することで赤く色づくのです。

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味噌と豚汁と発酵と

味噌と豚汁と発酵と

先週『有賀薫の豚汁レボリューション』の発売記念として、下北沢の発酵デパートメントから、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんと味噌×豚汁のオンラインイベントを配信しました。

発酵デパートメントにある味噌から3種を選び、本の中からその味噌に合う豚汁を選んでチューニングするという企画。選んだ味噌3種のフルサイズと『豚汁レボリューション』が視聴券についてくるというセット券が人気で、実際に聞きながら味噌の味比べ

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お椀の中の、ちいさな革命

お椀の中の、ちいさな革命

豚汁を嫌いな人が、この世にいるでしょうか。大ぶりの椀にたっぷりよそってもらう豚汁は、どんな場面でも幸せの象徴です。作る側にしてみれば、具だくさんの豚汁を大鍋に作ればとりあえず食卓は安泰。頼りがいのある一品です。

豚汁って面白いと思ったのは昨年の夏でした。暑くてへろへろになって、今日のごはんはどうしようかなーとなったとき、ごぼうと豚肉だけのシンプル豚汁を作ってみたのです。それがおいしくて。

そり

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こうして私はスープ作家になってしまった

こうして私はスープ作家になってしまった

どうやってスープ作家になったのですか?とよく聞かれます。今朝もこれからClubhouseの、料理家さんの集まるルームでそんなお話をすることになりました。
プロの方々が貴重な朝の時間に何か仕事のヒントになることを探して聴いているルームなので、普段は発信しないコンセプト作りや仕事の考え方をお話したいのですが、インタビューではいつも前段の「スープ作家になるまで」で話が終わってしまうことが多いので、ざっく

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