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お手頃価格のハンドブレンダーを使ってみた:「スープ・レッスン」サブレポート

なめらかなポタージュがたちまちできる魔法の道具、ハンドブレンダー。包丁や鍋と違って必要不可欠な台所道具ではないかもしれませんが、これがあると、スープの幅は格段に広がります。

そこで今日は、使ってみたいけど選び方がわからない、という方に向けて記事をお送りします。cakes連載「スープ・レッスン」で公開されるかぼちゃポタージュのレシピも、ばっちり作れます!

ハンドブレンダーを使ったポタージュ作り

低価格ハンドブレンダーを使い比べ

さて、ハンドブレンダーには数万もする高級品もありますが、今回は使ったことのない人にも買いやすく、わかりやすいように

実勢価格5,000円以下
●ブレンダーの基本機能に特化したもの
●熱いスープが作れるよう耐熱性であること


この条件を満たすブレンダーの現行モデル3本を比較しました。チョッパーやホイッパーなど、余分なアタッチメントはなく、本体にスムージーなどが作れるカップが1個、付属品としてついてくるだけです。

「人数が多い家庭にはパワーのある置き型がおすすめ」とか「調理台の近くにコンセントがない方はコードレスのものを選びましょう」とか、選ぶポイントは実はあれこれあるのですが、あまり考えすぎると買えなくなります。まずはブレンダーとしての基本性能を比べましょう。

さて、今回比較のために選んだのはこの3機種。

(左)ブラウン ハンドブレンダー マルチクイック MQ500 4,526円
(中)クイジナート スマートスティックハンドブレンダー CSB-76シリーズ イエロー 4,173円
(右)テスコムPureNatura スティックブレンダー ホワイト THM311-W 1,933円

価格はネットコムやAmazonなどで調査しました。ただし、家電店で買うと5,000円以内では買えない場合もあります。(※価格は12月12日時点のAmazon比較。クイジナートはなぜか色によって値段が違っていました。)

単機能に絞った商品から、小物家電に定評のあるブラウン、プロユースのブレンダーを扱っているクイジナート、そしてさらに安い価格帯だと使い勝手にどれほど差があるのだろうか?ということを知りたく、多くの大手家電店に置いてあったテスコムを選んでみました。
日本のブランドではパナソニックの評判がよいようですが、実勢価格で5,000円を超えてしまうため、今回は残念ながらあきらめました。そのうち使ってみよう。

かぼちゃペーストを作ってみる

ハンドブレンダーは、もともと少量向けの道具です。今回「2人分のかぼちゃポタージュ」を作るイメージで、ハンドブレンダーを使ってかぼちゃをペースト状にしてみました。

蒸し煮した熱いかぼちゃ300gに水50mLを加え、それぞれ1分半ブレンダーをかけ、ペースト状にします。連続使用1分の商品もありますが、時々スイッチを止めて位置を変えたりするため、やや長めに。

まずはブラウンから。

重量:約718g 延長コード:1.2m 消費電力:350W 連続使用時間:1分
2段階スピード機能付きです。アタッチメントのドーム部分はねじれたチューリップを逆さにしたような形。刃は3タイプの中で最もしっかりとして大きい。延長コードは短めです。アタッチメントは両脇のボタンを押すと簡単にはずれます。

デザインはシンプルで無駄がなく、持ち手はグレーでやや男性的。アタッチメントのねじれたデザインによって対流が促されるとメーカー説明にあります。

ブラウンはアタッチメントのドーム部分の裾からしか素材の出入りがありません。そのためドームの中の密閉度は高くなります。その分、鍋やボウルの中の流動性は低くなります。

1分半ブレンダーをかけた状態。もう少し回したいところですが、ここまででもかなりなめらかな仕上がりです。ある程度ペースト状になるまで少しずつ場所をずらしながら攪拌していく必要があります。パワーが大きいからだと思いますが、使っていて安定感があります。音は大きめ。

続いてクイジナート

重量:約700g 延長コード:1.5m 消費電力:120W 連続使用時間:3分
ボタン2つはブラウンと同じですが、こちらはスピード2段階ではなく、誤作動防止の2段式スイッチ。連続使用時間が3分となっていますが、ハンドブレンダーとしてはかなり長めです。アタッチメントは後ろのボタンで簡単にはずれます。

何といってもこのカラフルさ!小物家電にはこのぐらいの色味があってもいいかなと思います。他に、オレンジ、グリーン、ピンクがあります。

下のボタンを押しながら上のON/OFFスイッチを押すとスタートします。私は女性にしては手は大きい方ですが、片手ではボタンが固いので両手が必要になります。その分安定&安全というわけですね。音はかなり響きます。

アタッチメントの先は、ドーム部分に窓がついていて、ここから攪拌した素材が外に出ていくため、流動性が高くなります。刃は少し小さめ。

両手で押さえていた分、扱いが自由にならず、ちょっと手間取りました。1分半でまだ少し粒が残っています。ここからもう少し回せば同じようになめらかになります。できあがりはブラウンよりふんわりしています。

そして、3機種の中ではもっとも安いテスコム。他のふたつが5000円近くしますので、1,933円は半額以下。これで使えるなら価値があります。

重量:約550g 延長コード:1.7m 消費電力:150W 連続使用時間:1分
スペックは他のものと遜色ありません。特筆すべきは、軽さです。ハンドブレンダーのネットでの感想でよく聞かれるのは、重さのこと。泡だて器やへらのように絶えず動かして使うものではないのですが、軽いのはプラスポイントです。シャフトも細め。アタッチメントは回してカチッとはめるタイプ。

デザインは、残念ながら値段なりという印象です。白一色のブレンダーは他のメーカーでもありますが、これは素材もややおもちゃっぽく、家電にもおしゃれさを求める人には向きません。
テスコムも、クイジナートと同じようにアタッチメントのドーム部分に窓のような穴がついています。

3社とも刃の角度が違うのは、どうしてでしょうか。ちょっとした形の違いで仕上がりが変わるのかもしれません。こちらも刃は小さめ。

連続使用を超えてしまいましたが、1分半で、ブラウンよりもふんわりした仕上がりで、クイジナートよりも細かくなりました。なんと、3機種の中では一番早くペースト状になりました。
ふんわりするのは、空気が入ってホイップ状になるのだと思います。音はブラウンやクイジナートと比べて小さい気がします。
この値段でこれだけできれば、かなり素敵です。煮た野菜など柔らかいもの、赤ちゃんの離乳食作りなら、これで十分です。

軽さの裏返しで安定感がやや弱く、使っていて足元を取られる感じがします。ただ、気になってしかたないというほどではありません。

少人数分なら機能はどれも十分

正直、かぼちゃのポタージュを作るときのような、1分程度の使用では結果に大きな差は出ないというのが正直なところ。実際にポタージュにするときにはもう少しブレンダーをかけます。そうすると、3つのブレンダーによる違いを言い当てることは難しいと思います。裏を返せばどれも悪くない、かなり良いということです。

最終的にペーストにした状態。どれもなめらかでほとんど違いはない。

生の果物や野菜、固いものだとちょっと差が出る

で、これがスムージーだと、少し事情が変わります。生の食材は煮たものよりも固いからです。今回、バナナとりんごと小松菜のスムージーをそれぞれのハンドブレンダーで作ってみたところ、ブラウンは1分半でほぼなめらかになりましたが、他の2つはまだ粒や葉が残っていました。

素材はここからもう少し細かく切り、水を100mL加えて攪拌します。

ブラウン。1分半でほぼスムージー状態に。このあと低速モードで10秒ほどかけるとさらになめらかになります。

クイジナート1分半。こちらは粒も葉もかなり残ってしまいました。滑らかな状態にするには、2分15秒ほどかかりました。

テスコム1分半。こちらも葉やりんごの大きな粒が残っています。それと、連続使用時間の1分を超えると(ほんとは超えてはいけないんです)、本体がかなり熱くなってしまい、元に戻るのに結構な時間がかかります。

消費電力はブラウンが350W、クイジナートが120W、テスコムは150W。車の運転をする方にしかわからない比喩で申し訳ないのですが、使ってみると、ブラウンは普通自動車、クイジナートやテスコムは軽自動車を運転している感覚なんです。

もちろん各社の設計に差があるため、少ない電力で高いパフォーマンスを出す商品もあります。ただ消費電力はブレンダーの性能のひとつの目安。やはり固いものを攪拌するには、パワーがものをいいます。

今回のブレンダーはどれも氷の攪拌は禁止です。夏場にスムージーを作るなら氷も入れたいところでしょう。スムージーを毎日飲みたいという人は、ブラウンやテスコムの上位機種やバーミックスなど氷に対応したハンドブレンダーか、置き型のミキサーやジューサーをおすすめします。

ポタージュは野菜に一度火を入れるため、ブレンダーにそんなに負荷はかかりません。ただし、ごぼうなどの固い野菜やもう少し多めの量を作るときには、ブラウンがパワーの点で有利だと思います。

パワーのブラウン。安全優先ならクイジナート。案外バランスの良いテスコム。

道具に優先するものは人によって違うので、何を求めるかですが、私が3本の中で1本おすすめするとしたら、ブラウンです。この値段で350Wのパワーがあるのは魅力。固い素材も楽々粉砕してくれ、パフォーマンスが安定的です。対流が悪くダマができやすいのが欠点ですが、鍋やボウルの中で場所を変えながら使えばきれいに仕上がります。

クイジナートは安全装置があるので、小さなお子さんのいる家では安心ですね。可愛さもダントツ。値段からすると、ややマシンとしての性能は物足りなさがありますが、連続使用3分は大きいです。ポタージュや離乳食がメイン機能であれば十分。あと、両手で使うところの評価が別れそう。

テスコムは見た目は頼りないものの、この値段にしてはかなり使えると思います。なめらかなかぼちゃのペーストが短時間で仕上がったのには感動しました。スープや離乳食作りなど、柔らかいものを作る方におすすめします。

今回、5,000円以内ということでご紹介しましたが、ここから値段が上がっていくと

●基本性能(パワーや刃の性能)が高まる
●アタッチメントが増える
●コードレスなど特殊機能がプラス
●デザインや広告宣伝費にお金をかける

というさまざまな方向へ分かれていきます。今回このレポートではブレンダーの基本性能について触れたので「もう少し高いものも視野に入れたい」という方は、自分の求める性能の優先順位を見極めて検討されるといいと思います。

ハンドブレンダーで充実のスープ生活を!

結論は言ってしまったので、おまけとしてちょっとだけ、ハンドブレンダーの仕組みについても。イラストはハンドブレンダーのアタッチメントの先のドームの中の構造です。雑な絵ですみません。

(イラスト1)ドームの中に刃が隠されていて、これが機械部分に内臓されているモーターにより高速回転!刃が回転して鍋の中の食材が下の穴から中に引き込まれ、ドームの中で粉々に攪拌されて、ペーストやスムージーとなり、また穴から外へ出てくる、という仕組みです。

(イラスト2)このスティックは鍋の底に立てて動かないよう押さえておきます。位置をずらすことはありますが、泡だて器やヘラのように動かして使うものではありませんし、刃で鍋が傷つくこともありません。

置き型のミキサーと同じことが、この小さなドームの中で行われているのです。でもハンドブレンダーは直接鍋やボウルに突っ込んで使え、アタッチメントをワンタッチで外して洗うだけと手入れもとても簡単というのが大きな魅力です。

ハンドブレンダーでシルキーなポタージュを作って味わったら、きっと感動するはずです。ぜひ、手に入れてみてください。

ハンドブレンダーを使ったかぼちゃのポタージュのレシピを掲載しています。
cakes連載 旬の野菜をおいしく食べる“スープ・レッスン”
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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。