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ズッパとは?~スープの豆知識~

ズッパというのは、イタリア語で「スープ」のことです。といっても、日本人が考えるスープとは少し違い、パンを入れて食べるボリュームあるスープのことをそう呼びます。

そもそもスープとは「パン」を指す言葉でした。カチカチのパンをスープにひたして食べやすくしていた、そのふやけたパン切れを「ソップ」と呼んでいたのです。よくスープに浮いているクルトンは、その名残です。

イタリアのスープは、そのルーツを色濃く残しているものが多く、ブイヨンを「飲む」というよりは、具だくさんの「食べる」スープです。パンが水分を吸ってしまうので、汁気はあまりありません。(サラッとしたコンソメのようなスープは、ミネストリーナなどと呼びます)

祖師ヶ谷大蔵に、ズッパを中心にトスカーナ料理を出すオステリアがあります。オステリアは簡単な料理とワインを出す店のこと。そこで食べたズッパを少しご紹介しますね。

これは、パッパ・コル・ポモドーロといって、パンとトマトのシンプルなズッパです。パッパというのは小さな子供の食べ物、みたいな意味合いがあるようです。パンの形ももう見えなくなっていて、お粥状になっています。大人でもほっとする、イタリアのママの味。上のグリーンはバジルソース、トスカーナの名物料理です。
(私もレシピをnoteの記事にしています!作ってみたい方はどうぞ。)

こちらは、チュッピンという可愛い名前のズッパ。魚とトマトを裏ごししたポタージュのようなスープに、大きなパン切れが入っています。そのほか、薄ーく切ったバゲットみたいなパンをカリカリに揚げたクルトンが添えられていて、これですくって食べるとワインが進んでしかたありません。

パンのかわりに、トウモロコシの粉を使った、リンファリナータ。黒っぽいのは黒キャベツです。黒キャベツはカーボロネロという、トスカーナ地方の不結球キャベツで、煮込みに適しています。穀類を入れて腹持ちを良くするというのがもともとの目的なので、こういうスタイルもありなのかなと思います。そう考えると、パスタもスープと同列、という意味が見えてきます。

ミネストローネも頼みました。ミネストローネはズッパとは違うジャンルなのですが、たっぷりの野菜にやはり豆類やパスタ、米など腹持ちの良い食材が入ります。このミネストローネは豆入り。野菜はパプリカ、ズッキーニ、にんじん、かぶの葉(かな?)など、そしてミントの葉が入って初夏らしいさわやかさを添えていました。私たちが思い浮かべるトマトやベーコンが入ったミネストローネとは印象が違いますよね。

どのズッパも滋味深く、ボリュームはありながらも、するっとお腹に収まってしまうやさしい味。メニューにはまだまだたくさんのズッパがあり、前菜や肉のローストもとても美味しかったです。機会があったらぜひどうぞ。

さて、簡単な説明でしたが、ズッパとはどんなものかわかってもらえたでしょうか。このおおらかで豊かなスープの魅力を、お伝えできたら幸いです。

参考図書 『イタリア料理教本』柴田書店

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