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心理学・脳科学の実験や知見をご紹介

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使える心理学・脳科学の知識を集めました。
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#マネジメント

自由はお金より尊い

一言でいうと自主性の大事さ 活用シーン幸せを感じるためのコツ 内容国民所得分布の中で 所得が低いほうから25%の人のうち「自主性評点の高い人」と 所得が高い25%に入りながらも「自主性評点の低い人」を比べると 貧しくても自由を得ているグループの生活満足度 7.85 裕福だけど自由を与えられていないグループの満足度 5.82 イギリス全国児童発達調査の結果より 幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか ダニエル ネトル (著) 自主性評点というのは、

手本を示そう!

一言でいうと人は集団になると無責任 活用シーンマネジメント・リーダーシップ・傍観効果 内容1970年、心理学者ビブ・ラテインとジョン・ダーリイは、人前で鉛筆や効果を落とすという実験をした。 この実験を六千回繰り返したところ、拾うのを手伝ってもらえたのは、複数の人がその場にいるときは20%、一人しかいないときは40%だった。 彼らはさらに切迫した状況で実験を行った。 被験者にアンケート用紙の記入を依頼する。その際に、壁の通気口から煙が噴き出し、部屋中に充満し始める。 被

「綿密な計画」が成功率を下げると実証した研究

一言でいうとイノベーティブな成果を達成するチームは計画段階にかける時間が少ない 活用シーンマネジメント 内容1990年代初頭、スタンフォード大学 キャスリーン・M・アイゼンハートとべナム・N・タブリージによる研究。 年間売上5000万㌦を超えるアメリカ・欧州・アジアのコンピューターメーカー36社が手掛けた72に製品開発プロジェクトに関して調査を行った。 もっともイノベーティブな成果を達成チームは、計画段階にかける時間が少なく、実施段階における時間が多いチームであること

組織の雰囲気がスペースシャトル「コロンビア号」を爆発させた!?

一言でいうとエンジニアが問題を発見していたのに、その危惧が上層部に伝わらなかった原因は組織の「雰囲気」にあった 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性、学習する組織 内容 2003年スペースシャトル「コロンビア号」は大気圏に再突入する際に燃え上がり、7人の宇宙飛行士全員が命を落とした。 実は、16日前のシャトル打ち上げ当初、その兆候をエンジニアは察知していた。打ち上げ時のビデオ映像には、シャトルの外部燃料タンクから剥がれ落ちて左翼を直撃したと思われる断熱材の破片の大き

新プロジェクトの成否をわけた3つの要素

一言でいうと新しいことをチームで学ぶ際には、 ・メンバーが尊重され ・プロジェクトのポジティブな意義が明確 であることが重要。 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性、学習する組織 内容エイミー・C・エドモンドソンの研究 低侵襲心臓手術(MICS)という新しい手術の導入というチャレンジについて16の病院の心臓外科部門をリサーチした。内4病院の内容を以下に記す。 4つの病院の内2つはMICSを上手く導入できたが、2つは最終的に断念した。 成功と失敗を分けたのは、経営サイ

職場では重大なことほど隠される!?

一言でいうと率直な人でも、ある不安があると社内で意見を言わなくなる 活用シーン組織マネジメント、心理的安全性 内容コーネル大学ジム・デタートとともに行った職場における発言と沈黙についての研究。 職場で率直に意見を言うことは大半の人が思うより少ない。 取材によると、およそすべての幹部やマネジャーが 「仕事関連の大きな問題になりそうなことはハッキリ言わない」 と答えた。 その理由は、ピラミッド型組織において自分の上にいる人を怒らせてしまう不安が広がっている。 『チームが

「結果重視」では人が育たない!?

一言でいうと 学習プロセスに集中すると、成果が出やすい。 活用シーン学習、教育、マネジメント 内容ジョージ・メイソン大学、心理学者バリー・ジマーマン、アナスタシア・キトサンタスの実験。 女子高生にダーツの遊び方を初めて教えた。その際、グループ分けをして3つの方法を試した。 チーム・結果がすべて デキるだけ中心を狙ってダーツを投げるよう指示された(つまり、点数さえ取れれば勝てると教えられた) チーム・学習メソッド 技術を身に着けるプロセスに集中させた。「腕を身体から

幼稚園児のチャレンジ精神は、MBAホルダーの論理的思考に勝る!?

一言でいうと試行錯誤が重要 活用シーン自己啓発、組織マネジメント、育成 内容「マシュマロ・チャレンジ」というタイトルで有名 ・4人一組のチームになる ・乾麺20本、90センチのひも、粘着テープ、マシュマロを使う ・制限時間18分 上記の条件で、頂上にマシュマロを載せたできるだけ高い自立式の構造物を工作するよう指示される これを (1)MBAホルダー(経営学修士)のグループ (2)CEOのグループ (3)幼稚園児(!) (4)建築家 (5)一般の人 などで比較した。

暴動を防止するには、暴動対策をしないほうがいい!?(イングランドのフーリガン対策 「ハグ・ア・サグ作戦」)

一言でいうと厳重な警戒は、人を刺激する。 対立を生み出すのではなく融合を意識する。 活用シーン暴動の防止、組織マネジメント 内容2004年、サッカーワールドカップに備えたフーリガン対策において、社会心理学者、クリフォード・ストットの提案を一部採用した。警察が人々に送るシグナルを変えれば、暴動を予防できるという仮説を立て、それを実践した。なぜなら、機動隊や装甲車の存在が刺激となり、フーリガン的行動が誘発されると考えたからだ。 ストットはポルトガル警察に対していくつかのルー

メンバーの距離が8mを越えると生産性は劇的に落ちる(双子のプロジェクト)

一言でいうと人は物理的距離が8mを越えると、コミュニケーションが減り、生産性は落ちる 活用シーン生産性向上、プロジェクトの成功、組織マネジメント 内容1970年代、マサチューセッツ工科大学教授、トーマス・アレンは以下のことを検証した。複数の企業が同じ複雑なテーマに取り掛かった場合、より高い成果を上げた企業の共通点を検証した。 結果1 最も優れた結果を出したプロジェクトは、メンバー同士のコミュニケーションの質がとても高い。 結果2 コミュニケーションの頻度と、机の距離の

離職率を下げ250%も会社に残る確率を高めた1時間の研修

一言でいうと会社と個人の距離を縮める工夫で離職率は下がる可能性がある 活用シーン組織マネジメント、 内容2010年ブラッドリー・スターツ、フランチェスコ・ジーノ、ダニエル・ケイブルという三人の研究者により、ウィプロ(インドに本社を持つコールセンター会社)はある実験を行った。 STEP1. 新入社員を二つのグループに分ける STEP2. Aグループ:ウィプロのアイデンテティについて学ぶ1時間の研修を普通の研修に加えた。優秀な社員にあう時間を設けたり、会社の第一印象につい

デミングの14のポイント

一言でいうとどうやるか?というより、人の能力を発揮させる環境が重要 活用シーン組織マネジメント、仕組化、組織内システムの構築 内容「PDCA」の考え方を日本で広めた人と言えるW・エドワード・デミングがビジネス効率を向上させる14のポイント。心理学にも精通しており、その要素が随所にちりばめられている。 1.製品とサービスの品質改善に対する目標の一貫性を確立する。 2.新しい哲学を採用する。新しい物の考え方を採用する。 3.品質向上実現のためには、検査に依存することをやめる

世の中の役に立っていると感じるとき、人は進んで働く

一言でいうと 自分の今の努力が人の役に立つと感じると、前向きな行動が増える 活用シーン組織マネジメント、会社経営(ミッション)、社員教育、モチベーションアップ 内容デイヴィッド・イェーガーとデイヴ・パウネスクの実験 高校生に2つの質問をします。 質問1 「どうしたら世の中はもっと良くなると思うか?」 質問2 「今学校で習っている事の中で、そのために役立ちそうなことはあるか? この質問を受けた生徒は、そうじゃない生徒と比べて 試験勉強の時間が2倍に増えた。 またこれ

組織の変化における現象

一言でいうと 組織を変革するためには、一定の混乱が避けられない。 活用シーン 会社、チーム、クラブ活動、その他組織全般 内容 新しいグループやチームを結成する際には、「形成(フォーム)」「混乱(ストーム)」「規律(ノーム)」「実践(パフォーム)」というサイクルを経る 『こうすれば!組織は変えられる』ピーター・クライン、バーナード・サンダース 組織が実践段階に至るまでには、個々の価値観がぶつかり合う「混乱」の過程を通り過ぎたのち、その組織における規律が出来上がる。