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会社をつぶすのはコンサルタントなのか?

ある方に聞いた中小企業診断士によるコンサルティングがあまりに稚拙なことに驚いた。それはまさに教科書通りに行われていたのだ。教科書通りが悪い、というわけではない。それがその企業にあっているかどうかの見極めもないまま進められていることが問題だ。

しかし、もう一つ気になることはある。その問題に気づかないクライアント側も考えておいたほうが良いこともあるのではないだろうか。

ある中小企業診断士のケース「何が言いたいかわからない」

たまたま知り合いとの会話の中で、「中小企業診断士の人に相談している」なんて言う話が出て苦い思い出がよみがえった。
私の会社は保険代理店。ずいぶん昔になるが、メーカーである保険会社の紹介で、中小企業診断士がやってきたことがある。私の会社を分析するというのだ。

そこで、指定された資料(たとえば過去3期分の決算書)などをお渡しし、数週間後、彼はその分析レポートとともにやってきた。そこで彼は言う。
「財務的な分析をしたところ、差し当たって問題はないけど、平均と比べると人件費率が高くて、物件費がどーのこーの、あーだこーだ」
とまったく関心のない説明が1時間ほど続く。

途中私は意識を失っていたのか、次に記憶に残っているのは「コンサルティング契約の料金案内」だった。なんだか、変な薬でも飲まされたのだろうか?私はもうろうとする意識の中、辛うじてこういった。
「で、契約したら、何ができるんですか?」

彼は、あーだこーだという。SWOT分析をして、戦略策定して……またも私は意識を失った。何とか持ち直して聞く。
「それやったら、儲かるんですか?」

相手はきょとんとした表情をしていた。

そもそも平均と比べることに何の意味もない。
平均値をそんな風に重視する中小企業診断士が、同じ口で差別化が大事という。
彼はどうやら、日本語がよくわかっていないらしい。
ちゃきちゃきの日本人なのにもかかわらず。

中小企業診断士は何の専門家か?

実は、この中小企業診断士というのは、けっこう難しい資格。では、いったい何を勉強しているのだろうか。
その一覧がこれ。

経済学・経済政策
財務・会計
企業経営理論
運営管理
経営法務
経営情報システム
中小企業経営・政策

まず、冒頭の経済学・経済政策について。
これは経営環境について、深く知りましょうってことなのであろう。
けどこれって、どういう政策をとればインフレになるとか、そういう話じゃないかと思う。ということは、そのからくりを知っているというより、社会のニュースをどれだけキャッチしているかが肝。
そういう意味では、中小企業診断士だからすごい、という分野でもない。
大事なのは情報の収集力と分析力であろう。情報収集力と分析力を示す資格は、今の日本には、ない。

財務・会計に関しては、税理士、会計士という専門家がいる。
経営法務に関しては、弁護士・社労士という専門家がいる。

経営理論とかそういったところでは活躍できる要素がありそうだけど、大事なのは教科書で知ったやり方あくまで基本。それを現場でどう活用していくかの機転が大事なわけだ、そういった機転や経験値を示す資格もまた、この日本には、ない。

つまり、中小企業診断士という資格よりむしろ、その人の能力を見定めないと大変なことになる。ペーパードライバーをプロの運転手として雇えば大変になるのはご想像の通り。それとおんなじことが経営というところで起こってしまうのだ。

知識だけでは使い物にならないのは、自動車の運転も、コンサルティングも同じなのだ。

使えない中小企業診断士やコンサルタントはかなり多い

ある大手コンサルティング会社のコンサルタントと話をした時思ったことがある。ああ、コイツの知識や経験はこの程度か、と。
失礼な話だが、知識の奥が浅い。
たとえばSWOT分析は、コンサルタントが使う常套手段でもあり、中小企業診断士における教科書にも載っているときく。しかし、これを正しく活用し、戦略に落とし込むには結構神経を使う。単なる四象限を書き出せばいいってものでもない、と私は思っている。

とかくコンサルティング会社はこの手のマトリクスを作りたがる。確かに、情報を整理する手段としては非常にわかりやすい方法だが、整理した情報をどう活用するかというのはまた別の問題だ。そこのボキャブラリーを持っていないと、単に現状を把握したところで話は終わる。

あるコンサルタントは、半日かけて会議の中でSWOT分析評を作り上げ、「ここに会社として集中しよう」と言って終了だった。いやいや、じゃあ具体的にどうするかまで決めないと……と私は思うのだが。

そんな話をしているとふと思いだした本がある。

非常にキャッチーなタイトルにたがわず、中身はコンサルタントがいかに理論をこねくり回し、会社をアンバランスにしていくかが吐露されている。

なぜこういうことが起こるのか。
それは、コンサルタントを使うのではなく、コンサルタントに依存しようとするからではないだろうか?と私は思う。

上手にコンサルタントを使うには……?

はじめに言葉ありき、というのは聖書だったっけ。
ここでは、「はじめに意志ありき」といいたい。
どういうことかというと、すべてを投げ出して、「コンサルタントさんいい方法教えてください」というよりもこんな感じで問いかけてはいかがかと思う。

自分は会社をこうしたい、というざっくりしたゴールを箇条書きにする。
それに対して、現状はこうである、という今の課題を箇条書きにする。
そのうえで、そのギャップを埋める方法についてアドバイスなり、提案が欲しいが、できるかできないか?という問いかけだ。

この時点で、ある程度の見込みを持てるコンサルタントは、ざっくりした方向性を伝えることができるでしょう。しかし、その場で方針レベルの話や、手掛かりさえ示せない場合は、その手段を持っていない可能性が高いと思われる。

AIに仕事を奪われるか?コンサルタントに仕事をつぶされるか?

さて、私はコンサルタントというのは、「使うもの」だと思っている。
コンサルタントに限らず、それぞれの世界のプロは「使うもの」だ。
何をどうしたい、というクライアント側の意志があり、それを実現するのをサポートするのが狭い世界のプロだ。

では、経営コンサルタントは経営のプロなのだろうか?
だとすれば、自分の会社のハンドルを渡してしまえば、いい会社にして返してくれるのだろうか。そんなことがあるはずがない。
そんなことができるなら、そのコンサルタントは次々と会社を興していくのではなかろうか。

そもそもいい会社とは、どんな会社だろうか。
一般的に言われる「いい会社」と私が考える「いい会社」は必ずしも一致しない。その一致しないところが、わたしなりの意志という部分であろう。


さて、一時期よく騒がれた、AIに仕事を奪われるという話。
これをコンサルタントの話に代入すると面白いことが起こる。
会社のハンドルを渡せば、会社はコンサルタントに乗っ取られるのだろうか?たぶんよほど嫌われ者の経営者でなければ、そんなことは起こらない。

コンサルタントは万能ではないのだ。
AIもコンサルタントも同様で、使う存在であって、使われる存在ではない。
世の社長は、もっと自信を持つべきだと思う。

コンサルタントは先生と呼ばれるが、世の経営者が自分の業界の研究をするほどに経営を研究している人はほんの一握りである。
だから、経営者の道具として使い倒せばいい。
間違っても、コンサルタントを過信してはいけない。



こんな本書いてます。(^^)/


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田村薫

父の会社を継いだ二代目社長。 同じ境遇の人たちが身体を壊し親の会社を辞める事例を見た。 原因は親子の確執。原因を解明し、二代目専用コミュニティを通じて、中小企業の二代目が活躍できる状態を目指して活動中。 著書『親の会社を継ぐ技術』https://amzn.to/2JzrqcT
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