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語尾がのびるのは癖なんですか

お正月っていつまでのこというのかなあ⁣
三が日?五日くらいまで?皆んな仕事はいつからなんだろう?なんてことをぼうっと考えながらまだ賑やかな本屋さんへ行って、(賑やかな本屋さんて嫌い)目で雑誌を追った先にあった「散歩の達人 2024年1月号」。⁣
能町みね子のエッセイを読み終えると耳の奥で⁣
「生理じゃなくてもね、ナプキンあてるんだよ。そんで不思議なもんでぇ、ホントに生理来ちゃったりするのぉ、!」とはじけた様子でわたしの耳元に囁いた女の子の声を久しぶりに聞いた気がした。⁣
ああまた、21歳のわたしが来る。このまま目をつぶってしまいたいなあ。⁣

わたしは当時、新宿の百貨店の、あるショップの店長をしていて、同じフロアのあるショップの店長をしていた同世代の女の子と仲良くなった。彼女は元々キツい目をしていて、それなのに頭の高い位置でキツくお団子を結んでしまうから、更にキツくなった顔つきでせっせと鞄を売っていた。それでぇ、とか そうなんだぁ、と少しだけのびる語尾が特徴だけど、何せ顔がキツいんでそんなに甘ったるく感じさせなかった。⁣
あのときそのフロアのスタッフたちはわたしを含めて方々からの寄せ集め、つまり上京組が多く、彼女もその一員だった。お互い会社は違うけど8連勤なんて当たり前、早番遅番?今日も通し通し、関係ないよだって店長だもん。⁣
隣のショップで店長をしていた子は聞けば皆んな分かるだろうあの有名人の彼女で、可愛い声で接客をしていた。目の前のジュエリーショップの店長は元セクシー女優だったらしい。随分声の低い女の人だった。じつはじっとこちらを見る視線が苦手だったので、あまりそっちの通路には立たないようにしていたのと、つるとんたんではできるだけ遠くの席にすわった。⁣
あるとき仲良くしていたフロアのマネージャー的な男の人がつるとんたんに連れてったげる、とわたしと彼女と元セクシー女優の3人を誘ってくれたときは、正直なんで?とふてぶてしく後を付いて行ったけど、なんだかんだ楽しかった。ビルの従業員通行口を出て二丁目へ向かう途中、後列を歩いていたらふいに彼女が耳元で囁いたんだ。⁣
わたしたちは正しくみえる世界の裏で、過酷といえば過酷な労働のなかに、バラエティに富んだ人材たちと共に挑み、最低13cmのヒールを履いてバランスを取って立った。⁣

案の定フロアマネージャーは完全に元セクシー女優狙いのようだったが、わたしたちもしっかりご馳走になった。マネージャー、無理だよ。ビルを出たお姉さんを怖そうなお兄さんが迎えに来ていること知らないの?たまにお店にも来てるよ。名前も覚えていないけど、あのときの売れ残りの高級クリスマスケーキを半値で売るよと言ってくれてありがとう。ケーキの代金、未だに支払ってないことを思い出した。⁣


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