プロンプトエンジニアリングはどこまで必要なのか?

注意:かなり個人的な主義主張が含まれています。苦手な方はブラウザバックでお願いします。

ChatGPTが登場して以来、自分が求めているクオリティの回答や精度を求めるためにプロンプトエンジニアリングが注目されている。
実際、ちょっとしたコツのようなものを試すだけで回答内容が変わってくるので、試す価値は大いにあるし、筆者もある程度はプロンプトを工夫している。

ただ(自分の周りだけかもしれないが)、プロンプトエンジニアリングを過剰にありがたがっている人が一定数いることに対して違和感を覚えている。

もちろん、ChatGPTの持つポテンシャルを最大限まで引き出さないといけない状況にある人や実験/研究/探求心の一環としてプロンプトの変化によってどこまで回答内容/精度/クオリティが変わるかを探索する人達もいるだろう。それは否定しないし、そういった方たちの知見が世に広まることでChatGPTをより効率的かつ有効に使えているので、筆者も大変助かっている。

筆者がここで違和感を覚えているのは、上で書いたような探求者でもなんでもない人がプロンプトエンジニアリングについて過剰なほどありがたがってしまっているような状況に対してである。

そう感じてしまっている理由は大きく2つ。

①抽象度の低い技術を一所懸命学んでも、ありがたがってもすぐ更新されてしまうので、無駄が多いのでは?と思ってしまう点
②(これは全くの私見です)本質的にプロンプトエンジニアリングは文脈情報や定義を明文化し、命令文をローコンテクスト化することでChatGPT君が「行間を読む領域」を減らす技術のことなので、①と同様、ささいなコツに振り回されてしまっているのが無駄なように見えてしまっている点。


①について。
ChatGPTは日進月歩だし、実際にモデル自体が学習データを随時更新している。つまり、今まで使っていたプロンプトエンジニアリングのテクが使えなくなってしまう可能性は否定できない(と思う)。確かに、今はOpenAIのChatGPTがテキスト生成AIの覇権を握っている状況のため、ChatGPTに特化したプロンプトエンジニアリングのテクを持っていれば良いが、(1)ChatGPT以外のテキスト生成系AIに切り替わってしまう可能性があるうえ、(2)そのChatGPT自体もドリフトと呼ばれる現象(学習データの増加に伴い、これまでとは異なる回答を作り出すこと)が実際に起きているなど、変化が激しすぎるため、「今のChatGPTに合わせたプロンプトエンジニアリング」を学ぶのは、短期的な視点になってしまっているように(筆者からは)見えてしまっている。

②について。
few-shotやロールプレイなどはまさにそうなのだが、ようするに文脈情報をChatGPTに与えることで、ChatGPTが生成する言葉の可能性を狭めてあげているというのがプロンプトエンジニアリングの本質だと個人的に考えている。
どういうことかを例で言えば、次のようなことである。

「私が好きな色は〇〇。」という文章があったとしよう。〇〇に当てはまる色は何が適切か考えてみてほしい。
無限にあり得るだろう。
しかし、ここで例えば筆者のこれまでの人生や価値観、好みについての情報をChatGPTに与えたらどうだろうか。ChatGPTはそれらの情報の中から〇〇にはまる可能性の高い色を確率的に選び出してくる。
ロールプレイのプロンプトエンジニアリングでは例えば、「あなたは青の時代と呼ばれているピカソです。次の〇〇にはまる色を答えてください。」という指示を追加したらおそらく、ChatGPTは「青」と回答するだろう。要するに青の時代のピカソという情報によって、無限にあり得る選択肢の中から最も適切な可能性が高い色を選びやすくしてあげているわけだ。

長くなってしまったが要するに筆者が言いたいこととしては、ChatGPTに事前情報を与えておくことで回答を導き出しやすくしてあげる補助をし、できるだけローコンテキストになるように記載してあげるのがプロンプトエンジニアリングだと考えている。

ちなみに、仕事にしろ誰かと文字だけで情報を共有する時も極力ローコンテキストにすべきだと個人的に思うのだが、これを読んでいる読者はどう思うだろうか?
例えば、筆者はアニメオタクだった時代もあり、今はデータ分析系の仕事をしている。どちらにも『CV』という単語が頻出する。アニメではCVはキャラクターボイスであり、仕事ではコンバージョンを意味する。ただのアニメオタクの人間とデータ分析の人間が出会った時、お互いが『CV』と聞いて頭の中にイメージするのはどちらだろうか?そういう話にChatGPT×プロンプトエンジニアリングの話が本質的には同じように感じるのだ。


以上、仕事のうっ憤を吐き出しつつかつ、酒を飲みながら書いた文章である。
ここまで読んだ読者はどう考えてるだろうか?

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